東京アンダーグラウンド
テンプレート:混同 テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/TVAnime テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『東京アンダーグラウンド』(とうきょうアンダーグラウンド)は、有楽彰展による日本の漫画作品。1998年から2005年にかけて『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)にて連載された。単行本は全14巻。2000年から2003年にかけては嶋田純子による小説版が出版された。2002年にはテレビアニメ版が放送された。
目次
概要
現代日本の東京に、秘密の地下世界が存在しているという設定を背景に、地下世界から逃げてきた2人の美少女との出会いがきっかけで、地下世界の陰謀に巻き込まれることになった男子高校生の冒険を描く漫画作品[1]。劇中のほとんどの場面は人工物に囲まれた、照明に乏しく薄暗い地下世界を舞台としている。主人公および地下世界の登場人物たちは、地水火風などといった何らかのエネルギー(属性)の力を操ることのできる能力者という設定で、主人公らはこの力を武器に戦い、戦いを経て仲間を増やしつつ、連れ去られたヒロインを取り戻すため、地下世界を支配している勢力に立ち向かっていく。
作品タイトルは担当編集者との電話連絡中に決まった仮題がそのまま採用された[2]。著者の有楽は漫画家になった動機を、かわいい女の子が描けることにあったとしており[3]、本作にも2人のヒロインをはじめとして多くの女性キャラクターが登場する。しかし有楽は、いざ連載が始まると見通し不足で連載を開始したことによる構成力の不足や[4]、安定しない絵柄[5][6][7]、締め切りなどに終始悩まされたという。有楽は連載中の絵柄や技法の変遷を「迷走」であると認めつつも、これを「その時々で100パーセントのものを目指して試行錯誤した」結果であると説明している[7]。7年間に渡る連載は、掲載誌で起こったトラブル(2001年のエニックスお家騒動)や、幾度かの中断を挟みつつも続けられた。
単行本のカバー下には本編中のパロディを描いた4コマ漫画や、執筆時の苦労話などを語るあとがき漫画「おまけなページ」が掲載されている。2002年のテレビアニメ化の際には、カバー下の4コマ漫画から拾われたエピソードの一部もアニメ本編に組み込まれた。
物語
無敵のケンカ王と呼ばれる高校生、浅葱留美奈(あさぎ るみな)はある日、「公司(カンパニー)」と呼ばれる地下社会から脱走し地上にやってきた2人の少女、「生命の巫女」であるルリ・サラサと、その護衛役チェルシー・ローレックを匿う。ルリに一目惚れし、知られざる地下世界の存在と彼女らの事情を聞いた留美奈は、逃亡中に傷つき疲労した2人を助けるために公司からの追手と戦おうとするが、呆気なく命を落としてしまう。しかしルリの不思議な能力によって蘇生し、その結果として風を操る能力を手に入れる。
能力を操って戦うことができるようになった留美奈は、チェルシーと共に公司から向けられる刺客たちと戦っていくが、次々と現れる敵に追いつめられ、ルリは再び地下世界へと連れ戻されてしまう。留美奈はルリを救うべく、チェルシーや友人の五十鈴銀之助と共に地下に乗り込む。
留美奈は公司の正義を信じる地下世界の刺客たちとの戦いを繰り広げつつ、戦いを通じて地下世界の住人たちと心を通わせていく。一方の囚われのルリも独自に脱出を試み、結果的には再び捕まってしまうものの、彼女の存在に影響を受けて留美奈と合流する者も現れる。留美奈は仲間を増やしつつ、公司との戦いを繰り広げていく。
背景設定
作中における物語の始まりは1998年4月6日の出来事であると設定されている[8]。作中における地下世界(アンダーグラウンド)が誕生したのはその数十年前とされ、かつては世界中から集められた子供たちを被験者として、秘密裏に人体実験や能力者の研究などを行う実験施設であったが、「龍(ロン)」と呼ばれる存在が暴走したことにより地上から隔離されたとされる[9]。
地上と地下世界を隔てる秘密の出入り口には、廃線となった地下鉄の路線が用いられている[10]。地底世界は複数の階層で仕切られ、内部には複数の集落があり経済活動も行われていて、「公司(カンパニー)」と呼ばれる組織によって統治されている[11]。最下層には公司に反発する者たちが住むスラム街がある[11]。また、「龍」の暴走の影響で生じた、「地下空洞(アンダーグローブ)」と呼ばれる巨大空間が複数の階層を貫く形で存在する[12]。
公司は華泰、白龍、崇神という3人の最高幹部を筆頭に、治安維持部隊を率いる「師兵(スーペイ)」と一般戦闘員である「陰兵(インペイ)」、その他事務や警備などの一般業務に従事する者たちで構成されている[13]。このうち最高幹部と師兵はすべて能力者で構成されており[13]、作中において主人公たちの前に立ち塞がるライバルとして登場する。師兵は戦闘力に応じてA級、B級、C級の3階級に分かれ[14]、8人しかいないA級師兵には最高幹部に次ぐ権限や待遇が与えられているが[15]、C級師兵は施設内の立ち入りや部下の人数が制限されている[16]。公司は秘密裏に虐殺や人員の使い捨てといった非人道的行為を行っているが[17]、かつて無法地帯であった地下世界の治安を短期間で立て直したために、地下世界の人々からは概ね支配者として支持され受け入れられている[18]。
著者の有楽によれば、地底世界の描写は無国籍な近未来世界のイメージを意図しており、影響を受けた作品として1982年のアメリカ映画『ブレードランナー』を挙げている[16]。登場人物の名前に中国風のものが多いのは、東京新宿区歌舞伎町のイメージからの着想であるという[16]。物語の舞台に地底世界を選んだのは、当時の担当編集者と話し合いながら現実味のある作品世界を模索する中で、編集者が話題にした地下世界を舞台にしたテーブルトークRPGから着想を得たことや[19]、街中で見かけるマンホールの下にある世界へと想像を膨らませていった結果であるとしている[20]。
登場人物
主要人物
- 浅葱留美奈(あさぎ るみな)
- 声 - 関智一
- 本編の主人公。高校1年生。15歳 身長168センチメートル 体重56キログラム 血液型A型
- 「可愛い女の子とのバラ色の学園生活」を目指している、活動的な少年。頭に白いバンダナ[注釈 1]を鉢巻のように巻いている。物語の序盤で公司の刺客の赤に一度殺害されるが、その直後にルリの持つ反魂(はんごん)の力で蘇り、同時に地下世界で扱う者がいなかったという「風の能力」を手に入れる。連れ戻されたルリを助けるためにアンダーグラウンドに降りる事を決意する。
- 幼い頃から祖父に古流武術(浅葱流剣術)を無理やり教えられていた関係で、地上では中学時代からケンカが強いことで有名であり、高校入学早々に3年生の番長をあっさり倒す。しかし公司の刺客には歯が立たなかった事から、本格的に祖父に師事し古流武術を身につける。同時に託された「小烏丸」という自分の背丈より長いながらも抜群の切れ味を持つ日本刀と合わせて、「浅葱流剣術『烈風』」を始めとした、急激な気圧の変化が生み出す真空の刃などの必殺技を駆使する。空気の流れを読むこともできる。
- チェルシーとよく衝突する(周りからは痴話喧嘩とみられている)が、彼をよく理解してくれるのもまた彼女である。物語終盤、チェルシーが自らの命と引き換えに白龍を倒し、彼はルリと再会を果たす。
- 物語序盤でルリに惚れ、アンダーグラウンドに入ってからはチェルシーと接近していくが、どちらとも関係は曖昧なままである。
- 好きなものは運動とデート。ただしデートはあくまで将来の夢である。嫌いなものは勉強と修行、そしてケンカ。実はかなりのメカ音痴で携帯電話の使い方も分からなかった。
- 必殺技
- 浅葱流剣術「烈風」
- 風を刀身に纏わせ、刀を振り下ろすと同時に急激な風撃と真空の刃を巻き起こす必殺技。元々は祖父が見せた浅葱流剣術「疾風」だったが、自分で編み出した技の威力を見て、留美奈自身が烈風と名付けた。以降戦いを続ける事で様々な烈風のバリエーション技を生み出していく。
- 超・烈風
- その名の通り最大出力で放つ烈風。無数の巨大な瓦礫を一撃で全て吹き飛ばす威力を見せた。
- 烈風(最弱)
- アニメ版で使用。絡んできたチンピラを追い返すために加減して烈風を放ったが、周囲に大きな被害を出した事から、威力は全く変わっていない。
- 烈風陣
- 赤との再戦時に使用。風の流れを制御して竜巻を作り出し、その竜巻を敵に放つ技。技の思案にはテイルの水の能力がヒントになった。
- サラサ
- 華泰の姉であり、ルリの元となる人物。ルリと異なり長い髪をしていた[22]。8年前に龍の暴走を抑えるために犠牲になるが、彼女の意識は龍に取り込まれた。龍がこの世から消える事を望み、華泰に自分を殺すよう語りかけた。
主人公の仲間
- シエル・メサイア
- 声 - 大谷育江
- (元)公司年少組 10歳 身長130センチメートル 血液型B型
- 雷使いの小柄な少女。通称「雷娘」または「雷チビ」。物語序盤では公司の命令に従っており留美奈の敵として登場、風の能力を身に付けた留美奈を試すが、戦いの末に留美奈の能力の強大さを知り撤退。後に地下世界に連れ戻されたルリの護衛役を任じられ、ルリと親交を深める。しかしルリがこのままだと殺されてしまう事を偶然知って動揺し、苦悩の末に留美奈達に会わせるために彼女を連れて脱出を図る。試みは白龍によって阻まれてしまうが、それ以後は留美奈達の仲間となり、ルリを救うために共闘するようになる。
- 年齢の割に自立心が強いが信頼できる目上の人間に対しては歳相応の性格となる。自身の能力である雷を使った数々の攻撃・必殺技を得意とする。能力制御のために常にリボンを巻いており[23]、リボンを介して電撃を放つ事も可能だが、これを奪われると強力な技のコントロールが出来ずに暴走してしまう[24][23]。しかし、絶対と言われる白龍の水の防護をわずかに貫通した事があり[25]、能力の高さを見せている。
- 登場当初は髪を2本のリボンで束ねてツインテールにしていたが、公司を離反する際にリボンの一方を再会の約束の証としてルリに渡し[26]、以降は髪型を変えている。
- 好きなものはお菓子とリボン。嫌いなものは犬。
- テイル・アシュフォード
- 声 - 笹島かほる
- 公司A級師兵。17歳 身長約172センチメートル 体重約58キログラム 血液型AB型
- 物語序盤、ルリを連れ戻すために派遣されてきた2人の刺客のうちの一人にして公司創設メンバーの一人。プライドが高く、自分の能力に絶対の自信を持っていたが、留美奈との初戦闘で思わぬ反撃をくらい、傷を負ってからは彼に復讐の念を抱くようになる。2度目の戦いでの敗北以後は、「留美奈を倒すのは自分」という信念のもとに動き、公司と敵対する。同じくA級師兵に所属する秋絃とは幼なじみの関係であり、彼女から「泣き虫テイル」と呼ばれていた。
- 「水」の能力を持ち、100トンの水を押し固めた、形状を自在に操れる水の剣「穿水刃」や、ピンポイント攻撃・虚像作成など水を使った多彩な技を使う。これらの技は「能力の制御で僕の右に出る者はいない」と豪語するほどの自信に見合った、凄まじい精度を誇る。後に対留美奈用の必殺技として「狐爆殺」を生み出す。
- アニメ版では2度目の戦いで敗北して以降は登場せず[注釈 4]、物語の途中から生死不明となっている。
- シャルマ・ルフィス
- 声 - 野田順子
- B級師兵 16歳 身長164センチメートル 血液型O型
- 氷使い。かつて師兵時代のチェルシーとコンビを組んでいた色黒の女性。基本的には面倒見のいい関西人気質だが、チェルシーにかなりの対抗心を燃やしている。武器は鞭で、氷・冷気を活かした技を得意とする。なぜか地下世界にいながら関西弁を話す。
- ローレックファンクラブの会員No.1であり、チェルシーとかつて自分を育ててくれた女性を重ね、憧れを抱いていたが[27]、同時にそうした存在であるチェルシーが公司を裏切ったことを許せずにいた[28]。当初は留美奈達と敵対していたが、スラム編以降は仲間に加わる。頭の左右でまとめた髪を太い縦ロールにした髪型から、「ロールパン頭」という通称で呼ばれている[28]。
- 高麗(コウリン)
- 声 - 木村亜希子
- 公司年少組 10歳 身長132センチメートル 体重32キログラム 血液型B型
- 兄の羅と同じく「磁力」の能力を持つ。武器はヨーヨー二刀流で、ヨーヨーやインラインローラーに磁力を込めて戦う。A級師兵になることを目標に最強を目指していたが、白龍に利用された上、留美奈達と共に最下層(スラム)へと落とされる。そこで半獣人の04(レイヨン)と出会い、今度は彼女の治療のために留美奈を襲う。彼女との関係は、兄に「弟のフィアンセ」と茶化されていたとはいえ、当人たちはお互いに悪く思っていない。
- スケボーとヨーヨーが好き。嫌いなものは師兵試験。
- 羅(ロウ)
- 声 - 宗矢樹頼
- 高麗の兄。弟と同じく磁力使い。師兵の中でも下っ端のC級師兵で、弟の方が優秀。しかしそれ以上の欠点は、下手な変装を自分の得意技と思っていることと、上に卑屈で下に傲慢な性格、ルックス。ただし、このヘタレっぷりは、作品がチェルシーの立場やそれしか知らない留美奈たちからの視点であるがゆえ。
- 実際には師兵というだけで特権階級に入るらしく、能力者というだけで「スゴい」らしい。またどんなにコケにされても弟の高麗のために身体を張るという弟思いな一面も見せる。血液型はB型。
- 04(レイヨン)
- 声 - 飯塚雅弓
- 半獣人。年齢12歳程度 身長約136センチメートル 血液型O型
- カッディールの研究の被験者の一人。04とは被験者に与えられた通し番号であり、名前ではない。10人いた被験者の中で唯一脱走に成功。その後、偶然カッディールの研究所に運び込まれ、翼の生えた形に変身する。カッディールを倒し、その後物語の終盤でテイル、留美奈達と再会する。高麗とは格別仲がいい。翼の生えた姿の際は肉体も一時的に成長したものへと変わる。
- 翠(すい)
- 声 - 櫻井孝宏
- 発明家兼格闘家。24歳 身長182センチメートル 体重70キログラム
- かつて公司の師兵が「能力者狩り」と称して住んでいた村にやってきた際、ヘキサを守れなかったことから力を欲するようになり、能力者でなくても能力を扱える練氣銃を開発した。以来、公司を敵視していて、銀之助に練氣銃の使い方を教える。以前からチェルシーとは面識がある。
- 発明好きで部品探しのためかジャンク街も好き。身体能力・戦闘センス・発想力および考察力ともにA級師兵に遜色がないほどの実力者。なお、銀之助曰く、ヘキサの尻に敷かれているらしい。
- エミリア・ルナリーフ
- 声 - 高野直子
- 公司の衛兵。18歳 身長178センチメートル
- 通称エミリー。ローレックファンクラブ会員ナンバー2。チェルシーに憧れているが、ジルハに比べると普通の性格で良識人。
- 能力者ではないが[29]、コンピューター機器の扱いに長けている。地上の復元に熱心だった。嫌いなものは爬虫類。
- ジルハーツ・ミセット
- 声 - 川澄綾子
- 公司の衛兵。18歳 身長145センチメートル
- 通称ジルハ。ローレックファンクラブ会員ナンバー3、および終身名誉会長。後輩のエミリア同様にチェルシーに憧れているが、やや妄想癖が強くファンクラブ員を利用して公司の機材などを無断利用していたりもする。
- 能力者ではないが[30]、一般人の中ではそれなりに強い。
- 任務と紅茶とチェルシーを愛する。嫌いなものはひ弱な男。
公司(カンパニー)
- 華泰(カシン)
- 声 - 森久保祥太郎(テレビアニメ) / 小池亜希子(少年時代) / 上田祐司 (OVA)
- 公司の支配者でNO.1の男。身長約176センチメートル 体重約65キログラム 血液型AB型
- かつて祟神、赤、テイル、チェルシーと共に、混沌としていた地下世界から今のアンダーグラウンドの秩序を築き上げた人物で、「地下世界の英雄」と呼ばれていた。しかし白龍との接触をきっかけに序々に非道な性格に変わっていく。
- 「龍の暴走」で姉サラサを亡くしており、深い傷を負っている。白龍はそこに付け込み、7年前死亡したサラサと瓜二つ少女・ルリを連れ、駆け引きを持ちかける。「地上への報復のため」龍の発掘を手がけるが、本当の目的は龍と一体化したサラサの記憶をサラサのクローンであるルリに転送し、サラサを生き返らせるためであった。全ての能力の源になった「生命の巫女」の血を分けた彼は、全ての属性を無効にする能力、刀であらゆる物を切り裂く能力のほか、属性に縛られないいわゆる「無」と「斬」の二つの能力を持つ。アニメ版では能力の描写が異なり、火、水、雷など、複数の能力を同時に使えるという設定であった。
- 白龍(パイロン)
- 声 - 寺杣昌紀(テレビアニメ) / 子安武人 (OVA)
- 公司幹部にして本作の黒幕。身長約188センチメートル 体重約84キログラム 血液型O型
- テイルと同じく水使いだが、その実力は彼より上で、公司No.2の実力者。ルリを連れ戻すために地上にやって来た。目的のためなら非情な手段も辞さない性格。水を駆使した様々な攻撃・必殺技を得意とする。彼の使う水はただの水ではなく、不純物を極限まで取り除いた「純水」であるため、地下世界の常識に反して雷使いの電気を通さない[31]。また、他の能力者では不可能な、体内に流れる水を支配できるほどの強い能力を持つ[32]。
- 元地上の「箱庭」という実験施設に属していたことがあり、一時は地上に戻ったがクローン技術を使って生み出された華泰の姉である「ルリ」を連れて公司を訪れた。華泰に一度不意打ちを食らい、無傷であったが次の時には頬が切れていた[注釈 5]。元研究者であるため龍の存在に興味を示しており、龍の復活に熱心だった。
- 崇神(スイジェン)
- 声 - 牛山茂
- 公司No.3の男。公司創設メンバーの一人。華泰やチェルシーと近い年齢のハズだが、メガネをかけているせいなのかかなりのフケ顔。能力者ではあるが、普段は事務仕事に追われる苦労人。重力を操り、その実力はチェルシーを上回る。
- 姉への思いを断ち切れない華泰と、留美奈への復讐に燃えている白龍の次に座する身のため、アンダーグラウンドと公司の運命は彼の双肩にかかっており、常に悩み多き人物。血液型はO型。
- 赤(セキ)
- 声 - 三木眞一郎
- 公司A級師兵 身長約180センチメートル 体重約75キログラム 血液型AB型
- 炎使い。公司No.4の実力を持つが、師兵に対する考え方などは、華泰や白龍とは相反するものがある。公司創設メンバーの一人。
- 作中における最初の敵として登場し、その際には喧嘩に自信があった留美奈を、前口上を言い終える間すら与えずに一度殺害した。留美奈との勝負の後に華泰を止めるような発言をしており、原作では作品が急に終わったため出番は無かったが、アニメ版では終盤においてチェルシーと共闘する。
- 原作では物語終盤に留美奈と再戦、記憶を失っているチェルシーを安全な場所へ逃がしてからここに戻るという留美奈の言葉を信じ、その後言葉どおりに戻って来た留美奈と戦い、最大必殺技の我龍双煉掌を繰り出すが留美奈の烈風陣の前に敗れる。敗北した赤はとどめを刺せと言うが留美奈はそれを拒否し、「俺のやり方でルリを救う」という言葉と、その後記憶を取り戻したチェルシーの「あんたは華泰や白龍とは違う」という言葉で赤は部下と共にその場を去った。
- 留美奈を過去の華泰と重ねて見ており、何処か留美奈に期待感を持っている。また部下たちを筆頭にそれなりにカリスマもあるらしく、表紙カバー裏のパロディ漫画では最終決戦後の公司の代表選に推薦されていた。
- 秋絃(しづる)
- A級師兵。半獣を超える力を持つ超獣人。あらゆるDNAを内包し、混成させる力を持つ。そのため、変装も得意。テイルとは幼少の頃からの知り合いで仲が良かった。お節介な性格で、テイルが公司を裏切った時に彼が公司に戻れるよう説得するが失敗する。テイルに対して特別な感情を抱いているが、後半ではそういった目は見られず、公司に従順な師兵として描かれていた。
- ハイエナ
- A級師兵。電気使い。箱庭の実験で視力を失い、その代わり電気を使って敵の位置を知る事が出来る。その能力や身のこなしの良さから、闇打ちが本職で、白龍の特殊部隊とも面識がある。姑息な手段もいとわず、また口数も多いが口達者でもある。
- キーラ
- A級師兵。操の能力者で、相手を操る事が出来る。ただし、能力の使用中は自分も動く事が出来ないという制約がある。
- ダイオン
- A級師兵。奇妙な帽子とマントを身につけている。腐の能力者であらゆる物を土に還すことができる。シャルマの隣人を殺した張本人で、美しい者が朽ち果てる様を見るのが好きという外道。最期はシャルマに殺される。
- ライチ
- 声 - 山口隆行
- 巫女の番兵。通称ライチン。シエルとルリの逃亡を防げなかったので、罰として左遷された[33]。
- 煉照(れんしょう)
- 声 - 宮本充
- 炎使いの師兵。公司における自分の扱いが同じ炎使いの赤に比べて悪い事に不満を感じ、巫女をさらって反乱を起こす。最期はチェルシーに止めを刺される。
- アニメ版では生存しており、地下武闘大会の試合に登場する。そこで再びチェルシーと戦い、互角以上の戦いを見せながらチェルシーをレジスタンスへと誘うが、当然その誘いは断られ、最後には再び彼女に敗れる。
- ランス・カッディール
- ロウワータウン公司保安支局局長。3年前は公司の獣化プロジェクトの責任者で、04ら10人の子供を使って人体実験を行った。実はその実験はカッディール自らが超生命体になるためのものであり、その力によりアンダーグラウンドの王になることを目論んでいたが、失敗し、04に止めを刺される。
白龍の特殊部隊
師兵とは異なる白龍直属の部下。元凶悪犯や死刑囚から構成されており、反乱分子の抹殺や能力者狩りなどの陰の仕事を行う。
- 熱(ねつ)
- 声 - 楠大典
- 熱使い。熱エネルギーにより筋肉の潜在能力を引き出す事が出来る。この四人の中では最も扱いが不遇であり、再登場時はシエルに「おじさんは何でここにいるの?」とまで言われていた。
- 影(かげ)
- 声 - 日野由利加
- 影使い。神経ガスにより相手の視覚を混乱させる事を得意とする。攻撃は毒魔手で行う。
- 煙(けむり)
- 声 - 堀内賢雄(テレビアニメ) / 小西克幸 (OVA)
- 煙使い。煙で姿をくらます戦いが得意。パワーファイターで、大剣使いでもある。
- 音(おと)
- 声 - 杉山佳寿子
- 音使い。「音」は通称で、本当の名前は幻音(うつね)。笛を吹き、その笛の音を聴いたものを操る事ができる他、空気を圧縮して放つ事も出来る。聴力も優れている。
その他
- ヘキサ
- 声 - 小島幸子
- 翠の恋人。瀕死状態にあった翠を介抱した事がきっかけで知り合う。能力者狩りの時に公司に連れ去られ、幻音の能力で操られていたせいで翠と戦うが、チェルシーが幻音の笛を破壊した事により我に返る。その後、翠とはいい雰囲気のようである。彼女も能力者並みに戦闘力が高い。
- じじい
- 声 - 富田耕生
- 留美奈の祖父。浅葱流古武術の達人で非常に強いが、スケベ。物語序盤で留美奈がアンダーグラウンドに旅立つ際、留美奈に武術を教え、小烏丸を渡した。
- ブラッド
- スラムの住人。半獣人。地下武闘大会に参加しており、公司の横槍がなければ留美奈達と戦うはずだった。公司のことは良くは思っておらず、スラム崩壊以後に留美奈達にスラムへの行き方を教えた。スラムのマスターの反乱計画にはあまり興味がないらしく、ごろつきどもと自分たちの国を作ることを夢見ていた。
- 溶(よう)
- 声 - 天田益男
- スラムの住人。酸の能力者で、触れるものを溶かす事が出来る。その能力により、付近の住人を支配していたが、シャルマに倒される。
- 神楽幸平(かぐら こうへい)
- 元・箱庭の研究者。よれよれの白衣と無精ひげ、眼鏡が特徴的な痩躯の中年。研究者の中では珍しく、被験者にも優しかったため、龍の民からは慕われている。禁龍鉱を応用したアンチ能力腹巻を開発し、チェルシー達に修行させた。白龍とも面識がある。
- アモン
- 龍の民の親分格。チェルシーの事を「姉御」と呼び崇めている。その巨躯に見合うだけのかなりの力持ち。
- トビン
- 龍の民。身のこなしが鋭く、チェルシー達の修行に付き合う。目つきも悪いが口も悪い。
ドラマCD
2000年にはドラマCD『コミックCDコレクション 東京アンダーグラウンド Vol.1 霧幻の罠』が発売された。主人公らが地下世界に旅立つ前の時期を描いたオリジナルエピソードで、ドラマCDオリジナルの登場人物も登場する[34][35]。チェルシーのキャストは後のOVA版に準じたものとなっているが、『Vol.2 ハート・ストリング』でテレビアニメ版の配役に変更された。
またこれとは別にテレビアニメ版のキャストに準じた配役で、全3巻のドラマCDが発売された。 テンプレート:節スタブ
OVA版
テレビアニメ版に先駆けての2001年には、『月刊少年ガンガン』・『月刊ガンガンWING』・『月刊Gファンタジー』・『月刊ステンシル』、4誌合同スペシャルアニメビデオにおいて、本作のショートアニメが収録された。
- キャスト
- スタッフ
- 演出 - 大庭秀昭、篠崎康行
- 絵コンテ・キャラクターデザイン・作画監督 - 佐々木敏子
- 美術 - 砂川千里
- 彩色設計・色指定 - 伊藤靖子
テレビアニメ
テレビ東京系で2002年4月2日から9月24日の期間で全26話が放送された。原作第8巻までの内容が概ね原作に沿った形で映像化され、終盤はテレビアニメ独自の展開で華泰、白龍との対決が描かれた。
スタッフ
- 原作 - 有楽彰展(スクウェア・エニックス「ガンガンコミックス」刊)
- 監督 - 伊達勇登
- シリーズ構成 - 隅沢克之
- キャラクターデザイン - もりやまゆうじ
- サブキャラクターデザイン - 六道那拓美
- 美術監督 - 一色美緒
- 色彩設定 - 川見拓也
- 撮影監督 - 松本敦徳
- 音楽 - 多田彰文
- 音響監督 - 高桑一
- プロデューサー - 東不可止、山西太平、萩野賢
- アニメーションプロデューサー - 朴谷直治
- 製作 - テレビ東京、電通、ぴえろ
主題歌
- オープニングテーマ
- 「情熱」(第1話 - 第17話)
- 作詞 - 小玉キョウ / 作曲・編曲 - 木村玲 / 歌 - [iksi:d]
- 「HEY YOU!!〜失ってはならないもの〜」(第18話 - 第25話)
- 作詞 - 小玉キョウ / 作曲・編曲 - 木村玲 / 歌 - [iksi:d]
- エンディングテーマ
- 「覚醒都市」(第1話 - 第25話)
- 作詞・作曲・歌 - 新居昭乃 / 編曲 - 保刈久明
- 「Eternal Flower」(第26話)
- 作詞 - 藤林聖子 / 作曲・編曲 - 石塚知生 / 歌 - 寺田はるひ
- 挿入歌
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 放送日 |
---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 地上 運命の出逢い | 隅沢克之 | 伊達勇登 | 六道邪柘美 | 2002年 4月2日 | |
第2話 | 反魂(はんごん) 生命(いのち)の巫女 | 岡嶋国敏 | 久城りおん | 大坪幸麿 | 4月9日 | |
第3話 | 覚醒 風・動くとき | 西園悟 | 浦田保則 | 大西貴子 六道邪柘美 |
4月16日 | |
第4話 | 満月 ルリの想い | 横手美智子 | 佐藤昌文 | 実原登 | 4月23日 | |
第5話 | 対決 二人の水使い | 小林一三 | 栗井重紀 | 小林一三 | 4月30日 | |
第6話 | 修行 それぞれの決意 | 大和屋暁 | 入好さとる | むらた雅彦 | 伊東克修 | 5月7日 |
第7話 | 突入 地下世界へ | 西園悟 | 武本康弘 | 荒谷朋恵 | 5月14日 | |
第8話 | 師兵(スーペイ) 闇に潜むワナ | 久城りおん | 大坪幸麿 | 5月21日 | ||
第9話 | 練氣銃 ともに戦うために | 大和屋暁 | まついひとゆき | 浦田保則 | 大西貴子 | 5月28日 |
第10話 | 逆襲 水使い再び… | 横手美智子 | 佐藤昌文 | 実原登 | 6月4日 | |
第11話 | 死闘 憎しみを越えて | 西園悟 | 小林一三 | 栗井重紀 | 小林一三 | 6月11日 |
第12話 | 反逆 光への脱出 | まついひとゆき | むらた雅彦 | 番由紀子 | 6月18日 | |
第13話 | 約束 リボンにこめた想い | 大和屋暁 | 荒谷朋恵 | 上野真理子 | 6月25日 | |
第14話 | 追撃 タワーゲートの刺客 | 横手美智子 | 久城りおん | 大坪幸麿 | 7月2日 | |
第15話 | 襲撃 引き裂かれた絆 | 隅沢克之 | 浦田保則 | 大西貴子 | 7月9日 | |
第16話 | 衝撃 忘れえぬ旋律 | 佐藤昌文 | 実原登 | 7月16日 | ||
第17話 | 漸撃 笑顔のために | まついひとゆき | 浦田保則 | 金塚泰彦 | 7月23日 | |
第18話 | 再会 涙ぬぐう風 | 西園悟 | むらた雅彦 | 番由紀子 | 7月30日 | |
第19話 | 焦燥 とどかぬ想い | 横手美智子 | 岡嶋国敏 | 昆冨美子 | 8月6日 | |
第20話 | 刺客 磁力使いのワナ | 大和屋暁 | 久城りおん | 大坪幸麿 | 8月13日 | |
第21話 | 最下層(スラム) 反逆者たちの街 | 西園悟 | 荒谷朋恵 | 米田光良 | 8月20日 | |
第22話 | 結集 処刑場(キリングフィールド)への招待状 | 佐藤昌文 | 実原登 | 8月27日 | ||
第23話 | 激戦 頂点を目指して | 大和屋暁 | まついひとゆき | 浦田保則 | 大西貴子 | 9月3日 |
第24話 | 理由 裏切りの炎 | 横手美智子 | むらた雅彦 | 金塚泰彦 | 9月10日 | |
第25話 | 崩壊 癒されぬ心 | 隅沢克之 | まついひとゆき | 熊谷雅晃 | 斉藤英子 | 9月17日 |
第26話 | 光へ 想いをひとつに! | 浦田保則 | 番由紀子 | 9月24日 |
原作との相違点
- 原作での華泰は能力を吸収して、相手の能力を使えなくする。しかし、アニメ版では様々な能力を扱う事ができるようになっている。
- 崇神はアニメ版で戦うシーンが無いので能力が明らかになっていない。なお、原作で使用する能力は重力である。
書誌情報
漫画
- 有楽彰展 『東京アンダーグラウンド』 エニックス、スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉、全14巻
- 1998年7月22日初版(1998年6月22日発売)、ISBN 4-87025-313-5
- 1999年2月22日初版(1999年1月22日発売)、ISBN 4-87025-441-7
- 1999年8月22日初版(1999年7月22日発売)、ISBN 4-7575-0058-0
- 2000年2月22日初版(2000年1月22日発売)、ISBN 4-7575-0162-5
- 2000年9月22日初版(2000年8月22日発売)、ISBN 4-7575-0290-7
- 2001年2月22日初版(2001年1月22日発売)、ISBN 4-7575-0384-9
- 2001年8月22日初版(2001年7月21日発売)、ISBN 4-7575-0489-6
- 2002年2月22日初版(2002年1月22日発売)、ISBN 4-7575-0618-X
- 2002年8月22日初版(2002年7月22日発売)、ISBN 4-7575-0733-X
- 2003年3月31日初版(2003年3月22日発売)、ISBN 4-7575-0896-4
- 2003年9月22日初版(2003年8月22日発売)、ISBN 4-7575-1007-1
- 2004年4月22日初版(2004年3月22日発売)、ISBN 4-7575-1140-X
- 2004年10月22日初版(2004年9月21日発売)、ISBN 4-7575-1274-0
- 2005年7月22日初版(2005年6月22日発売)、ISBN 4-7575-1429-8
小説
- 有楽彰展(原作)・嶋田純子(著)、エニックス、スクウェア・エニックス〈Comic Novels〉、全4冊
- 『小説 東京アンダーグラウンド いばら姫の恋人』、2000年2月25日発売、ISBN 4-7575-0189-7
- 『小説 東京アンダーグラウンドII ドリーム・メイカー』、2001年10月26日発売、ISBN 4-7575-0565-5
- 『小説 東京アンダーグラウンドIII 真夏のレジスタンス』、2002年8月30日発売、ISBN 4-7575-0761-5
- 『小説 東京アンダーグラウンドIV シャングリラの巫女』、2003年10月31日発売、ISBN 4-7575-1062-4
その他
- エニックス編 『パーフェクトガイドブック 東京アンダーグラウンド』 エニックス、2002年、ISBN 4-7575-0682-1。
- エニックス編 『ポストカードブック 東京アンダーグラウンド』 エニックス、2002年、ISBN 4-7575-0704-6。
- エニックス編 『TVアニメ 東京アンダーグラウンド オフィシャルガイド』 エニックス、2002年、ISBN 4-7575-0760-7。
脚注
注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 パーフェクトガイドブック、145頁。
- ↑ 単行本第1巻、185頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、146頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、146,148頁。
- ↑ 単行本第2巻、184頁。
- ↑ 単行本第5巻、表紙カバー袖。
- ↑ 7.0 7.1 テンプレート:Cite book
- ↑ 単行本第1巻、53頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、82-83頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、84頁。
- ↑ 11.0 11.1 パーフェクトガイドブック、86-88頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、84,86頁。
- ↑ 13.0 13.1 パーフェクトガイドブック、92-96頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、94頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、95頁。
- ↑ 16.0 16.1 16.2 パーフェクトガイドブック、141頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、97-104頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、88頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、140-141頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、167頁。
- ↑ 単行本第2巻、185頁。
- ↑ 単行本第6巻、114頁。
- ↑ 23.0 23.1 パーフェクトガイドブック、28頁。
- ↑ 単行本第1巻、156頁。
- ↑ 単行本第4巻、179頁。
- ↑ 単行本第4巻、143頁。
- ↑ 単行本第7巻、36話。
- ↑ 28.0 28.1 パーフェクトガイドブック、31頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、34頁。
- ↑ パーフェクトガイドブック、36頁。
- ↑ 単行本第4巻、151,168頁。
- ↑ 単行本第4巻、180-181頁。
- ↑ 単行本第6巻、100頁。
- ↑ 単行本第6巻、裏表紙カバー下。
- ↑ パーフェクトガイドブック、80頁。
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