パーキングブレーキ

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パーキングブレーキレバー(日産・キューブZ10用)
ファイル:Pedal.jpg
一番左端にあるペダルが脚踏み式のパーキングブレーキ(日産・オッティAT車仕様))
ファイル:Aero Star MP37F Allison Shift selector and Parking brake lever.jpg
大型車のホイールパーク式パーキングブレーキレバー(中央 : 三菱ふそう・エアロスター用)
ファイル:Tokyu Bus TA1525 Hino RB10 Gearbox and parking brake.jpg
大型車のセンターブレーキ式パーキングブレーキとギアボックス(日野・RB10用)
ファイル:Parkingbrakelamp.jpg
ブレーキ警告灯
パーキングブレーキ使用中やブレーキフルードの液面低下時に点灯する

パーキングブレーキテンプレート:Lang-en-short)とは、

  1. 機械の動作や移動をとめるための手動式の制動機構。または、その機構で止める行為。
  2. 自動車ブレーキ機構のひとつ。駐車ブレーキとも表記される。また、運転席の横にあるものは和製英語サイドブレーキとも呼ばれる。英語では、通常のブレーキが効かない場合に非常用として使われるためエマージェンシーブレーキ (emergency brake) とも、また手で操作する物はハンドブレーキ (hand brake) とも呼ばれる。

いずれも止めるための仕組みは摩擦ブレーキで、多くの場合、動作はてこねじカムなどによって倍力される。また、操作の伝達もロッドケーブル歯車チェーンによる機械式となっている。

自動車用

操作方法

自動車のパーキングブレーキは、従来は床のブレーキレバーを手で上に引き上げたり、ダッシュボード付近から手前に引っ張り出したりしていたことから、「ハンドブレーキ」「サイドブレーキ」と呼ばれていた。しかし、近年、足踏み式(解除については手元のレバーを操作するハンドリリース式とペダルを再度踏みこむフットリリース式がある)や、押しボタンスイッチで作動させる電気式パーキングブレーキを採用する流れがあり[1]、「ハンド」「サイド」ともに実情にそぐわなくなってきたことから、カタログの表記などでは「パーキングブレーキ」あるいは「駐車ブレーキ」という呼称に統一されている。

パーキングブレーキは駐車時のみならず、フットブレーキの故障などで車を停止できなくなったときの非常用ブレーキとしても制動手段として使用される。方法は、ギヤを低い方にチェンジし、エンジンブレーキを作用させる。次に、パーキングブレーキを少しずつ引いていき、摩擦により制動をかけていく。

氷点下では長時間の駐車の際に、ブレーキ周りやワイヤー被覆内の水分が凍結し、ブレーキ解除が不可能になる恐れがあるため、パーキングブレーキを使わないことが推奨されている(オートマチックトランスミッションではP位置にレバーをセットし、マニュアルトランスミッションではエンジン停止後、1速(上り坂)あるいは後退位置「R」(平地・下り坂)にセットする その後、輪止めを車輪にかませることが推奨される)が、電子式についてはワイヤーを介さないため、その必要はない[2]

構造

パーキングブレーキ機構は、ほとんどの場合はリアブレーキに備え付けられる[3]

一般的にはワイヤーで駆動されるものが多く、1980年代ディスクブレーキが採用され始めた頃は、ワイヤー駆動でリアキャリパーを作動させるタイプのものが存在したが、このタイプのパーキングブレーキは自己倍力作用がなく制動を維持する力が小さいため[4]、ほどなくハブ内部にパーキングブレーキ用の小型のドラムブレーキを内蔵したインナードラム式(ドラムインディスク)に取って代わられた。後輪がドラムブレーキの場合は自己倍力作用による制動を維持する力が強く、リアブレーキとパーキングブレーキを一つのハブに収められるため、車両総重量の大きい大型トラックバスを始め、大衆車軽自動車などで広く用いられている。

ライトトレーラーでは、車体に設置したワイヤーやチェーンをホイールに引っかける簡易な方式のパーキングブレーキも、近年認められるようになった。

センターブレーキ

中期ブレーキ規制対応以前に製作された大型車や、一部の四輪駆動車ではプロペラシャフト(推進軸)を拘束する「センターブレーキ」が採用されていた。これは通常トランスミッションの直後に設置されており、ファイナルドライブギア減速比に応じて拘束力がさらに強まる長所があるが、片輪が接地していない場合、ディファレンシャルギアの作用によって反対側も回転してしまい、車両が転動する危険もあるため、特に摩擦係数の低い雪道や凍結道への駐車には適していない。これらの道での転動は、他の方式に比べて起きやすいといえる。中期ブレーキ規制対応大型車輌の場合、「ホイールパーク式」のパーキングブレーキが主流となっている。

ホイールパーク式(エアブレーキ)

大型車のほとんどは基礎ブレーキがエアブレーキで、そのためのエアコンプレッサーを持っており、パーキングブレーキの動作にも圧縮空気を用いている。圧縮空気でパーキング用のブレーキチャンバ(通常はブレーキチャンバが二重構造になっており、主ブレーキ用の空気室とは別にパーキング用の空気室がある)を加圧することにより、パーキング状態が解除されるもので、シフトレバーや運転席の横に短い操作レバーがあり、一般的にレバーを上げると駐車状態、下げると走行状態となる[5](マキシ式と呼称される場合もある)[6]

オートバイ用

オートバイにおいては、斜面で停車してスタンドを立てた際に車体がずり下がり、転倒する恐れがあるために、古くはワイヤー式ドラムブレーキを装備する車種[7]において、機械的にブレーキレバーを固定する簡素なパーキングブレーキ機構を備えるものが存在した。しかし近年では大柄で重い車体を持つビッグスクーターにおいて、乗降の際の安全性を確保する目的で、過去に見られたブレーキレバーロック機構とは異なる、専用のパーキングブレーキを装備した車種が見られるようになってきている。

脚注

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関連項目

テンプレート:自動車部品

テンプレート:オートバイ部品と関連技術
  1. 電動式は欧州の高級車などから普及が始まった。日本車における初採用はレクサス・LSであり、その後いくつかの日本車にも採用されている。
  2. 初代レンジローバーのパーキングブレーキはプロペラシャフトと同軸のセンターブレーキであるが、その動作にはワイヤーに代えてロッドを用いており、ある程度の凍結であればパーキングブレーキレバーを押し込むことで解除できるようになっている。
  3. 前輪にパーキングブレーキ機構が備え付けられた車種としては、スバル・レオーネが挙げられる。これには、対米輸出に際し、「駐車ブレーキは駆動輪に設けること」とされたアメリカのいくつかの州法に適合させる目的があった。
  4. それ以外にも、ワイヤーディスク機構は構造上スライド式キャリパーにしか内蔵できず、ブレーキキャリパーのマルチピストン化にも対応できなかったため、早期に廃れてしまった。
  5. バスの場合、インパネ側にレバーがある場合があり、その場合は上げて走行、下げて駐車となる。
  6. 大型セミトレーラトラクタの場合は、パーキングブレーキとは別にトレーラ側にだけブレーキを掛けるレバーがあり、それを「ハンドブレーキ」と呼ぶ場合があるが、駐車ブレーキのことではない。
  7. ホンダ・CT110ホンダ・リードなど