香雪美術館
テンプレート:博物館 香雪美術館(こうせつびじゅつかん)は、兵庫県神戸市東灘区にある、東洋古美術を中心とした美術館。運営は公益財団法人香雪美術館。
概要
朝日新聞社創立者で、茶人でもあった村山龍平(むらやま りょうへい、1850年 - 1933年)の収集品を収蔵展示するため、1972年(昭和47年)に財団法人香雪美術館(2010年に公益財団法人香雪美術館へ名称変更)が設立され、翌1973年(昭和48年)に開館した。館名の「香雪」は村山の号である。
村山は伊勢国(現在の三重県度会郡)の出身で、上野理一とともに朝日新聞の創設者である。岡倉天心らが中心になって1889年(明治22年)から発行された美術雑誌「国華」(2004年現在、引き続き刊行中)の苦境を救うため、朝日新聞社が同誌の発行元となったことが、村山が古美術に関心を持つきっかけになったという。収集は刀剣武具から始まり、仏教美術、茶道具へと広がっていった。なお、香雪美術館の収蔵品のなかには、村山の娘婿で、のちに朝日新聞社長となった村山長挙(むらやま ながたか、1894年 - 1977年)の収集品も含まれている。
運営主体である公益財団法人香雪美術館は、株式会社朝日新聞社の発行済み株式の10%(2008年9月時点)を保有する第5位の、また朝日放送の同7.0%(2010年6月時点)を保有する第3位の、テレビ朝日の同5.00%(2010年9月時点)を保有する第3位の大株主である。
文化財
重要文化財(美術工芸品)
日本絵画
- 絹本著色聖徳太子像
- 絹本著色稚児大師像
- 絹本著色二河白道図(にがびゃくどうず)
- 絹本著色毘沙門天像
- 紙本著色稚児観音縁起
- 紙本著色病草紙(やまいのそうし)残欠
- 紙本著色法華経絵巻
- 紙本墨画淡彩山水図 雪舟筆
- 紙本淡彩湛碧斎図 愚極賛
- 紙本淡彩瀟湘八景図 六曲屏風
- 紙本著色レパント戦闘図・世界地図 六曲屏風
中国絵画
- 紙本墨画布袋図 梁楷筆 大川普済(だいせんふさい)賛
- 紙本墨画維摩図 因陀羅筆
彫刻
- 木造薬師如来立像
工芸品
- 志野山水文矢筈口水指
- 太刀 銘吉家作 (京都国立博物館に寄託)
- 太刀 銘正恒 (京都国立博物館に寄託)
書跡
- 大慧宗杲墨蹟 尺牘(だいえそうこうぼくせき せきとく) 十二月十日才長老宛
重要文化財(建造物)
旧村山邸の建物6棟及び土地が2011年に「旧村山家住宅」の名称で国の重要文化財に指定された。明治末期から大正期の建築である。
- 洋館 - 1908年上棟、翌年竣工、河合幾次設計
- 書院棟 - 1918年竣工
- 玄関棟 - 1918年頃
- 茶室棟 - 1911年(1918年増築)
- 衣装蔵 - 1912年頃
- 美術蔵 - 1918年頃
- 土地(宅地及び山林16,850.59平方メートル)土地内の門柱、編笠門、石塀、池を含む
敷地の中央南寄りに書院棟が建ち、その東に玄関棟と美術蔵、玄関棟の南に洋館と衣装蔵が建つ。書院棟の北方には渡廊下を介して茶室棟がある。茶室棟は藪内家燕庵(えんなん)写しの茶室「玄庵」(三畳台目、相伴席付き)と、四畳半の茶室「香雪」からなり、玄関、待合、寄付、腰掛、砂雪隠、腰掛待合が付属する。
建物は自然の起伏を生かして配置され、各建物間は渡廊下で結ぶ。明治末期 - 大正期の大規模邸宅が付属建物や庭園を含めて保存されている点で貴重であり、土地を含めて重要文化財に指定されている。
所在地
- 兵庫県神戸市東灘区御影郡家2丁目12-1
交通アクセス
周辺情報
参考文献
- 「新指定の文化財」『月刊文化財』574号、第一法規、2011(旧村山家住宅の解説あり)
関連項目
- 箱根彫刻の森美術館
- ひょうごっ子ココロンカード - 対象施設。