陽子
陽子(ようし、プロトン、proton)は、物理学におけるハドロンの一つである。中性子とともに原子核を構成することから、これらを核子と総称する。質量1.672 621 777(74)×10-27kg[1]は電子質量の1836.152 672 45(75)倍に相当する[1]。直径は1.7550fm(1.7750×10-15m)。
電荷は+1、スピンは1/2、アイソスピンは1/2、ストレンジネスは0であり、超電荷は1/2である。アップクォーク2個とダウンクォーク1個で構成されている。水素(軽水素)の原子核は、陽子1個のみから構成される。よって、水素イオン(H+、イオン化したH)は陽子そのものであるため、化学の領域では水素イオンをプロトンとよぶ。
化学的な水素イオンの性質については水素イオン、原子核内で核子同士をまとめておく力についてはパイ中間子を参照。
歴史
陽子は1918年にアーネスト・ラザフォードによって発見された。アルファ粒子を窒素ガスに打ち込むと、水素の原子核固有の反応が検出された。窒素ガスは密閉状態にあるため、水素は窒素から分離されたに違いなく、水素の原子核は窒素に含まれていると推測した。これから、当時水素の原子核は電荷が1でありそれ以上分割することができないとされていたため、最も基本的な物質の構成要素であると結論付けた。ラザフォードは、この物質をギリシャ語の最初を表すプロトス (protos) からプロトン(proton、テンプレート:IPA-en)と名づけた。
陽子の崩壊
標準模型によれば、陽子の寿命は無限であるとされているが、大統一理論は、非常に長い時間をかけて崩壊することを予言している。
神岡鉱山にカミオカンデが作られた目的の一つは陽子の崩壊を観測することで、陽子の寿命が1033年ならば、1033の陽子を集めれば1年に1個の陽子の崩壊が観測できることになる。現在、この崩壊現象は観測されておらず、スーパーカミオカンデを含めた実験結果から陽子の寿命は少なくとも1033年(10溝年)以上であると主張されている。 陽子崩壊は陽子内部のクォーク同士が10-31m以内に接近したときに起きる現象であるが、これはクォークの大きさが10-31m以下・または点状粒子であることを前提としている。クォーク半径が10-31m以上であると、クォークの中心同士はそれ以上は接近できず、陽子崩壊は起こらない。
大統一理論によると、陽子は主に次式のように陽電子とパイ中間子、又はニュートリノとパイ中間子に崩壊する。
- <math>p \rightarrow e^+ + \pi^0</math>
- <math>p \rightarrow \nu + \pi^+</math>
脚注
関連項目
- ↑ テンプレート:Link 2010 CODATA による。