除夜の鐘
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テンプレート:Sidebar 除夜の鐘(じょやのかね)は、日本仏教にて年末年始に行われる年中行事の一つ。12月31日の除夜(大晦日の夜)の深夜0時を挟む時間帯に、寺院の梵鐘を撞(つ)くことである。中国から宋代に渡来した習慣とも言われる。梵鐘自体のことではない(通常の梵鐘が使われる)。
108つの由来
除夜の鐘は多くの寺で108回撞かれる。この「108」という数の由来については次のような複数の説がある。格別にどれが正しいということはないが一般には煩悩説が有名である。
なお、寺により、撞く回数は108回と決まらず、200以上の場合等がある。
- 1. 煩悩の数を表す
- 2. 一年間を表す
- 3. 四苦八苦を表す
- 四苦八苦を取り払うということで、4×9+8×9=108をかけたとも言われている。
作法
鐘を撞く前には鐘に向かって合掌する。108回撞く寺院においては、多くが108回のうち107回は旧年(12月31日)のうちに撞き、残りの1回を新年(1月1日)に撞く。ただし、静岡県富士宮市の大石寺では例外的に年明けと同時に1つ目が撞かれる。
除夜の鐘と放送
上野・寛永寺にて1927年(昭和2年)、JOAK(NHK放送センターの前身である社団法人東京放送局)のラジオによって史上初めて中継放送された。
NHK『ゆく年くる年』で、日本各地の寺院にて除夜の鐘が撞かれながら年が明ける様子を全国中継しているが、『ゆく年くる年』の番組開始当初のタイトルこそ『除夜の鐘』であった。
その他の鐘
朝夕の鐘
108回の鐘は本来、除夜(大晦日の夜)だけでなく、平日の朝夕にも撞かれるべきものである。しかし、普段は略して18回に留められる。
初夜の鐘(そやのかね)
午後8時、その日最初に撞かれる鐘。正岡子規が詠んだ「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の「鐘」は、奈良・東大寺の初夜の鐘であった。