阿部薫 (サックス奏者)
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阿部 薫(あべ かおる、1949年5月3日 - 1978年9月9日)は、フリー・ジャズのアルトサックスプレイヤー。他にソプラニーノ、バスクラリネット、ハーモニカ等もプレイする。
人物
演奏スタイルはフリー奏法を基盤とした激情型。 ミュージシャン大友良英に多大な影響を与える。
ブロバリン98錠を服用して中毒死。テンプレート:没年齢。事故か自殺かは判明していない。なお最後の公演にトリオとして日野晃がドラマーで参加していた。
生前は演出家芥正彦と交流がありイベントで共演していた。 ミュージシャン三上寛とは共演こそないが交流はあった。
稲葉真弓による伝記風小説を原作にした映画『エンドレス・ワルツ』が町田康主演、生前に阿部と交際があった若松孝二が監督で制作された。
元妻は作家の鈴木いづみ。歌手の坂本九は阿部の叔父(母の弟)である。
現在、遺品のサックスは灰野敬二の元にある。
年譜
- 1949年 神奈川県川崎市に生まれる。
- 1967年 川崎市立橘高等学校中退。
- 1968年 ジャズスポット「オレオ」にてデビュー。
- 1970年 コンサート《解体的交感》に出演。同年レコード発表。
- 1973年 鈴木いづみと出会い、婚約。
- 1976年 長女誕生。レコード『なしくずしの死』発表。
- 1977年 鈴木いづみと離婚。ミルフォード・グレイブス『MEDITATION AMONG US 』のレコーディングに参加。
- 1978年 デレク・ベイリー『DUO&TRIO IMPROVISATION』のレコーディングに参加。若松孝二監督『十三人連続暴行魔』に出演、音楽担当となる。9月9日 急性胃穿孔にて死去。
ディスコグラフィー
*( )は録音年
- 1970年3月、新宿(1970)阿部薫TRIO
- 解体的交感(1970)高柳昌行との共演作
- 集団投射-Mass Projection(1970)高柳昌行との共演作
- 漸次投射-Gradually Projection(1970)高柳昌行との共演作
- DUO/Jazz Bed(1971)山崎弘との共演作
- アカシアの雨がやむとき(1971)佐藤康和との共演作
- 風に吹かれて(1971)
- 暗い日曜日(1971)
- またの日の夢物語(1972)
- 光輝く忍耐(1972)
- 木曜日の夜(1972)
- 彗星パルティータ(1973)1973年3月act's105でのライブ録音。プロデューサーは芥正彦。
- なしくずしの死(MORT A CREDIT)(1975)
- 北(NORD)(1975)吉沢元治との共演作
- スタジオ・セッション 1976.3.12(1976)
- ソロ・ライヴ・アット・騒vol.1~10(1977~1978)
- オーヴァーハング・パーティー(1978)豊住芳三郎との共演作
- Last Date 8.28, 1978(1978)
- The Last Recording(1978)
関連書籍
- 阿部薫覚書―1949-1978(1989)阿部薫覚書編纂委員会編、ランダムスケッチ刊
- 阿部薫1949~1978(1994)中上健次、小杉武久、坂本龍一、間章、平岡正明他著、文遊社刊
- 鈴木いづみ×阿部薫 ラブ・オブ・スピード(2009)文遊社刊
- ライブ・アット騒(GAYA)─ 阿部薫、鈴木いづみ、フリージャズメンとの日々(2011)騒恵美子著、DU BOOKS刊
- 阿部薫写真集 OUT TO LUNCH(2013)五海ゆうじ撮影、K&Bパブリッシャーズ刊