鉄道撮影

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鉄道撮影(てつどうさつえい)とは、鉄道を主題とした写真撮影、あるいは動画の撮影をすることである。列車を専門にしている人は列車撮影とも呼ぶ。

概要

鉄道趣味としては最も古くから行われてきた基本的な形態の一つである。また、それをメインとして楽しむ鉄道ファンのことを、近年は撮り鉄(とりてつ)とも呼ぶ。日本においては、明治時代に撮影された「岩崎・渡邊コレクション」が、当時の鉄道を克明に記録した資料として伝わっており、昭和初期に創刊された鉄道趣味雑誌も、写真撮影に主眼を置いていた。さらに、趣味から進んで、鉄道写真の撮影を専門とするプロ写真家である鉄道写真家も存在する。

撮影対象は、鉄道車両、構造物(駅舎や橋梁など)などから、鉄道関係者や利用者などの人物にまで多岐に及ぶこともある。撮影の目的、手法も多種多様である。

撮影手法

以前は写真撮影を趣味に置く人はフィルム式の一眼レフカメラが代表的であったが、デジタルカメラの普及も進んでいる。動画撮影にはビデオカメラを使用する。

ファイル:Meitetsu 1000 Series EMU 037.JPG
流し撮りの例
シャッタースピード 1/100

駅のそば、駅の構内、あるいは同じ列車を追跡して何度も撮るなどの手法がある。

撮影に使用する道具

カメラ
撮影派にとっては必須道具。2000年代に入ってからはデジタル一眼レフカメラも普及している。フィルムにこだわる者も多い。
三脚
これも撮影派にとっては必須ともいえる道具である。夜間撮影のほか、望遠レンズや複数のカメラを使用する場合に用いられる。脚立と併用して使うものも多い。
その他
カメラなどといった撮影機材を入れるのに、「銀箱」と呼ばれるアルミケースやリュックサックなどを使う。
鉄道趣味雑誌
近年では鉄道写真の撮り方についてレクチャーした書物や、鉄道写真専門の撮影地ガイドも多く販売されている。

トラブル

ファイル:Tori-tetsu 20051218.JPG
撮影地で目的の列車を待つ鉄道ファンたち
ファイル:撮り鉄によって破られたネットフェンスの修理後の状態.JPG
撮影者の中には夢中になるあまりフェンスを破壊してまでカメラレンズを入れてしまう者も。無論、犯罪行為(器物損壊罪)である。画像は補修後の状態。

鉄道撮影は古くから存在し趣味として発展を遂げてきた一方で、一部の悪質なマニアの行動により、さまざまなトラブルが繰り返し発生している[1]。鉄道ライターの杉山淳一は、鉄道ファンの自浄作用は期待できないとした上で、違法行為や受忍限度を超える行為に対しては身柄を拘束し法的措置を講じるべきだと主張している[2]。近年は単なる趣味としての撮影でなく、画像・動画の投稿サイトやブログでのアフィリエイト収入を目当てに、衆目を引く画を撮ろうとしてマナー違反や違法行為を公然と行う者もいる。

  • 1976年京阪100年号事故で児童に死者が出た。このことから、都市周辺での蒸気機関車保存運行を国鉄が断念し、地方線区での恒久的実施に方針を切り替えざるを得なくなるという事態に発展している(1979年より「やまぐち」として実施)。
  • 1984年、鉄道事故の光景や事故発生時に出動する救援車と事故復旧作業の撮影などをたくらんだ鉄道マニア3名が、小浜線内で急行「わかさ」を脱線させるなど、福知山鉄道管理局管内だけでも25件の列車妨害事件を起こして逮捕された[3]
  • 2008年11月29日東海道本線寝台特急富士はやぶさの撮影中に倒れた三脚を起こそうとして線路内に立ち入った人物が、貨物列車と接触して死亡した。
  • 2010年2月、ジョイフルトレイン「あすか」の撮影を目的にファンが鉄道敷地内に侵入し撮影していたことが原因となり、安全確保のために多数の列車が運休になるなど多大な影響が出た。西日本旅客鉄道(JR西日本)は、警察に被害届を提出した。
  • 2010年5月6日上越線でSL列車の撮影に向かったまま行方不明となっていた人物が、捜索の末に崖から転落死していたのが発見された[4]

対策

2006年には、東日本旅客鉄道(JR東日本)新潟支社が異例ともいえる鉄道ファンへの注意喚起の案内を公式ホームページ上で2度にわたり公開したことがある。

「撮影名所」の消滅

撮影ポイントについて土地の所有者や沿線の住民・農家などと鉄道撮影趣味者の間でトラブル(撮影に支障する樹木を勝手に折るなど)が起きその後立ち入りが制限されたことや、侵入者対策として土地の所有者や鉄道会社が大型の安全フェンスの設置などを行い、これにより撮影ポイントに到達できなくなったり良好なアングルでの車両撮影が不可能になったことによるものも見られる(例:東海道本線サントリーカーブ[5]北陸本線鳩原ループ)。

フラッシュ撮影の問題

夜間や光量が不足している場合に、運行中(走行中や停車中問わず乗務員に向かって)の車両を近距離や正面などから直接フラッシュを焚いて撮影することは、運転士の目に残像が残り、信号や計器類の視認に支障を来たし、ひいては定時運行を阻害する要因になる。そのため、特に夕暮れ時から夜間・夜明け前のフラッシュ撮影は安全運行のために行ってはならない禁忌とされ、しばし乗務員などから注意されることもある[6]

脚注

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関連項目

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  1. テンプレート:Cite news
  2. テンプレート:Cite news
  3. テンプレート:Cite web
  4. SLファン滑落か…がけ下に男性遺体 - 読売新聞 2010年5月6日。2010年5月9日閲覧。(2010年5月9日時点のアーカイブ
  5. テンプレート:Cite news
  6. 鉄オタまた“脱線”オレンジ電車引退でやりたい放題… - ZAKZAK 2010年10月15日。2010年10月15日閲覧。(2010年10月18日時点のアーカイブ