近鉄1420系電車
テンプレート:鉄道車両 1420系電車(1420けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道が保有する通勤形電車の一系列。
概要
1420系はVVVFインバータ制御試作車として登場した1421Fのことで、1984年(昭和59年)9月3日に1250系の1251Fとして製造された。近鉄のVVVFインバータ制御車第1号であり、また架線電圧1500Vの鉄道線では初めての新製VVVFインバータ車両である。
三菱電機製GTOサイリスタ素子のVVVFインバータ制御装置を搭載した2両編成であり、登場時は1250系(初代)を名乗っていたが、1987年(昭和62年)の1250系(2代)の1252F(現在の1422系1422F)以降の車両登場時に同形式と区別するため、車番はそのままで形式名のみを1251系に改番。1990年(平成2年)に1230系(1233系、1249系)の増備のため、再度現在の形式名に変更されている。
製造当初はモニタ装置を搭載していたが、現在は撤去されている。
電算記号は、登場当初はVC51であったが、その後上記改番により大阪・名古屋線系統の新青山トンネルを跨ぐ運用ができる2両編成を意味するVW21に変更されている。
走行機器・性能
1984年(昭和59年)当時の世界最大の高耐圧である4,500V、2,000AのGTOサイリスタ素子を使用している。主制御器はSIV-G135形を使用。主電動機に三相交流誘導電動機であるMB-5014A(165kw)を装備し、従来の直流直巻電動機と比較してメンテナンス・フリーを実現している。また、従来の抵抗制御車に比べて加減速度の向上を実現している。制動装置は回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ(HSC-R)方式を採用し、従来の界磁チョッパ車や抵抗制御車との混結も考慮している。電空演算システムを採用し、本来Tc車が受け持つべき制動力の一部をMc車の電力回生制動力に分担させている。MGはHG-77463-Oir形(70kVA)をTcに設置している。CPはTcに当初D-3-F形を設置していたが、後にHS-10形に変更している。最高速度110km/h、大阪線新青山トンネル22.8‰上り勾配では103km/h以上の登坂性能を確保し、33‰上り勾配においても均衡速度は97km/hを確保している。
大阪線における本系列単独での山岳区間運用を考慮して制輪子は鋳鉄制輪子のままとなっている。車体更新の際に踏面清掃装置が追設されている。
車体デザイン
改造・車体更新
2006年(平成18年)4月より休車となっていたが、2007年(平成19年)12月より車体更新工事に着手した。2008年3月に更新工事を完了し、同年4月より営業運転に復帰した。更新により、座席や内外装材の張り替え、運転台計器色が青からベージュ系に変更され、車端部への転落防止幌や車椅子スペースも設置されている。同時に制御器の更新も行われ、一部部品の交換が行われている。スイッチング素子自体はGTOのままであるが、ゲート制御マイコンが32ビットとされたほか、スイッチングパターンを記録した基盤も更新されている。
編成・配置と運用線区
テンプレート:TrainDirection | |
Tc ク1520形 |
Mc モ1420形 |
2011年4月1日現在は高安検車区に所属しており[1]、前述の通り1421Fの1編成しかない。
試作車であるため、登場から前述の車体更新までは不慮の故障発生時を想定して、運用時には同じく試作車的要素の強い界磁チョッパ制御の1400系1401Fと半固定編成を組んで青山町駅以西で使用されることが多かった。ただし2005年(平成17年)9月以降、年間に数回の割合で名古屋線の近鉄名古屋駅、鳥羽線鳥羽駅まで運用の関係で入線することがある。更新後は1422系・1437系、1253系と共通運用されている。信貴線には専属編成である1430系1431F・1432Fの代走運用として入線することもあるが、1編成しかないことから2410系や1422系・1437系などの2連車が充当されることが多い。
脚注
参考文献
- 『1250系カタログ』近畿日本鉄道 1984年