超巨大戦艦

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超巨大戦艦(ちょうきょだいせんかん)は、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば宇宙戦艦ヤマト』)及び『宇宙戦艦ヤマト2』に登場する架空の宇宙戦艦。デザイン担当は松本零士宮武一貴

概要

白色彗星帝国のガトランチス本星(都市要塞)に収納されていたズォーダー大帝の旗艦。大帝自身が艦長である様子。白色彗星帝国が保有する最大級の宇宙戦艦。アナクロニズム造船所製のプロトタイプ、艦名は「戦艦パラドックス」との設定がある[1]。都市要塞崩壊前はその一部として機能しており、機関は補助動力として直結されていた。

彗星帝国の都市要塞の崩壊後に登場する最後の切り札であり、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに登場する宇宙要塞を除き、艦艇では最大級のスケールを誇る。

全長は資料によって様々で、12.2km[1]とも、8km[2]とも言われる。小説版では「日本列島に及ぶ」との記述がある(同小説版では、白色彗星帝国自体がアメリカ大陸並のサイズと記されている)が、TV版ではこの艦を収納していた都市要塞(白色彗星帝国)の直径が日本列島より短い。

艦体解説

艦型
艦橋構造物は潜水艦の司令塔(セイル)状で艦体底部に主砲である単装の「超巨大砲」を抱え、艦の側面中心部分に推進ノズルが付いた巨大な翼を持つ。艦体中央部は巨大砲塔が積み重なった戦闘区画となっており、艦尾にはクラスター式のエンジンとX字型に伸びた舵状パーツを備える。艦首にも噴射ノズルらしき孔が左右に5個ずつ計10個付いているが、詳しい用途は不明[3]。塗装は漆黒。艦首の孔は赤~橙色に発光する。
兵装
ヤマトより大きい10数基の砲塔と、無数の旋回砲塔(地球艦に似た砲身を有する)や回転速射砲塔、底部に設置されている伸縮式の「超巨大砲」[4]を持つ。
砲の光線色は、彗星帝国軍の艦艇は赤紫色であるが、超巨大戦艦は橙色となっている。

超巨大砲

艦の約2分の1の大きさ(4000mから6000m)もある超巨大砲は、砲口部に光の粒子が集まってエネルギーを溜め込み、独特の音を放ちながら発射される。その際、砲後部から白い波動(衝撃波)が出る。破壊の規模は日本列島を覆い尽くす。

『宇宙戦艦ヤマト2』では、日本列島から始まり、東アジアの都市や島などを短時間で破壊しており、連射性能が高い描写がある。

劇中での登場

登場時の描写は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』と『宇宙戦艦ヤマト2』で使い回しされているため同じである。炎に包まれた要塞都市より下部岩盤を割りつつ、上部の超高層ビル群をなぎ倒しながら浮上する。

さらば宇宙戦艦ヤマト

満身創痍の戦闘不能のヤマトに威力を見せつけるため月に向けて超巨大砲を発射、破片がヤマトにぶつかる。地球を救うため、古代進はヤマトと自身の命を賭けた攻撃を決意し、超巨大戦艦に向けて発進。

反物質生命体であるテレサが現れ、共に進み消滅した。

宇宙戦艦ヤマト2

怒りに満ちたズォーダーはヤマトに一斉射撃を行い、撃沈は免れたが徳川彦左衛門など主要な乗組員を含む多数の乗組員が戦死、全ての砲が使用不能となる。戦闘不能のヤマトに、ズォーダーは見せしめとして、地球に対して超巨大砲で都市や島に砲撃を加え、このまま地球は破壊される運命を辿るかに思われた。地球を救うため、ヤマトと自身の命を賭けた攻撃を決意した古代進の前にテレサが現れ、代わりに自分が戦うことを告げやめるように説得。

テレサの出現を見た、ズォーダーは戦闘を放棄して撤退するが間に合わず、テレサの命と引き換えの能力解放により断末魔の叫びと共に消滅した。[5]

諸元

全長 12,200m[1][8km(8000m)][2]
全幅 6,029m[1]
全高 2,305m[1]
基準排水量
主機
乗員
武装
  • 超巨大砲×1門
  • 4連装巨大砲塔×3基
  • 3連装巨大砲塔×11基
  • 砲身付き旋回砲塔多数
  • 回転速射砲塔多数
  • ミサイル発射管多数
  • その他不明

関連作品での設定

超巨大戦艦ガトランティス

プレイステーション用ゲームソフト『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では、宮武一貴により、再デザインされ、新たな設定と描写が追加された。艦名がガトランティスとなった。

超巨大砲
月に向けて砲を撃つ際、本来の力で撃つと地球ごと吹き飛ばしてしまうため手加減するようにズォーダーが部下に注意するシーンがある。それ以外にも砲の光線の色が他の艦船と同じ赤紫色となった。
分離式機動砲塔・殲滅戦艦
4連装と3連装以外にも連装砲塔を多数装備し、この砲塔は艦から分離して独立した戦闘能力を持つ戦艦になる。
それぞれの砲塔に番号と艦名が付けられているようである。分離式第37番機動砲塔・殲滅戦艦「アスタロス」がヤマトの相手をした。全長はヤマトとほぼ同じ。普段はガトランティスの砲塔として収納されているが、戦艦モードになると垂直ノズルを噴射して分離、宇宙空間で「裏返し」になり、縦に折り畳まれたミサイル発射ユニットが艦橋を囲むように横に展開される。艦橋は砲塔として機能している時も収納などはされずそのままの形である。

商品化

  • バンダイプラモデルシリーズ「宇宙戦艦ヤマト メカコレクション」に「ズォーダー大帝艦 超巨大戦艦」のタイトルでラインナップ。シリーズ番号はNo.6。
  • 上記とは別に同じバンダイで二周り程大きいプラモデルが発売されていた。都市帝国とズォーダーが描かれた壁紙が付属し、そこからスチール線でモデルを保持させて飾ることが可能。
  • メガハウスの「宇宙戦艦ヤマト コスモフリート コレクション」第3弾「さらば友よ編」にラインナップ。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 「さらば宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士たち-デラックス版」(オフィスアカデミー、1979年)のp280、p281より。
  2. 2.0 2.1 バンダイから発売の超巨大戦艦プラモデルキットの解説書より。
  3. 初期デザインでは艦首は大戦艦に近いものや、実在する船舶を思わすものが考えられていた。詳細は外部リンクを参照。
  4. 劇中でズォーダー大帝は主砲と述べている。
  5. 小説では、この時の表現を「超巨大戦艦が溶解した様に見えると、大爆発が起こり、超巨大戦艦は砕け散った」とある。

参考文献

  • 「デラックス版 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(オフィスアカデミー・1979)

関連項目

テンプレート:宇宙戦艦ヤマト