豊島 (香川県)
テンプレート:Mboxテンプレート:Infobox 豊島(てしま)は 瀬戸内海の東部、小豆島の西方3.7kmに位置する島。直島諸島に属す。
行政区分は香川県小豆郡土庄町に属し、島内の大字にはテンプレート:ルビ、テンプレート:ルビ、テンプレート:ルビの3つがある。
目次
地理と自然
檀山
標高339m。島のほぼ中央に位置し、頂上からは瀬戸内の島々を一望できる。天気の良い日であれば、瀬戸大橋や淡路島も見ることができる。
山頂付近には樹齢100年から250年前後と見られるスダジイの群生林が見られ、麓にはクヌギ林が広がっている。ごく最近まで人の手が入っていたようで、里山の様相を呈する。
唐櫃の清水
唐櫃岡(からとおか)地区にわき出る湧水。喉の渇きを覚えた弘法大師が杖で地面を掘ったところ、清水がわき出たとの伝承がある。古くから地区住民の生活・交流の場として用いられてきた。
壇山の麓に広がるクヌギ林が豊かな水を涵養していると見られ、河川、ため池、水路などの水面面積は他の離島テンプレート:どこの3倍にもなる。
遺跡
- 礼田崎貝塚
- 島の南に位置する、西日本では最も古い部類の貝塚。およそ9,000年前のものであることが確認された。
- 水ヶ浦遺跡・横引ヶ浜遺跡
- 島の西端に位置する、縄文時代末期から弥生時代にかけての遺跡。住居跡らしき形跡や出土品があったが、後述する産廃の不法投棄事件の折、事業者によって破壊された。
産業
豊島石
「豊島石」という石材を産出する。塩基性角礫凝灰岩。耐火性に優れ、多くは生活用品に加工された。また苔が付きやすい特性のために、灯籠などの石材にも重用された。
豊島村史によれば平安末期からおよそ1,000年にわたって石の採掘が行われていたという。
一次産業
水資源に恵まれ、自給して余るほどの農産物が生産されていた。また早くから酪農も行われていた。瀬戸内の潤沢な漁場に恵まれて漁業も盛んで、文字通りの「豊かな島」であったが、過疎化と高齢化の煽りを受け、いずれの産業も不振に見舞われている。
教育と福祉
- 土庄町立豊島小学校
- 土庄町立豊島中学校
- 乳児院「神愛館」- キリスト教社会運動家賀川豊彦によって、第二次世界大戦戦前のサナトリウム跡を利用して設立された乳児院
- 農民福音学校 - 賀川豊彦によって設立された農民学校で、セツルメント論に基づく教育が行われ、今日の大学レベルの農学が教えられた
- 特別養護老人ホーム「ナオミ荘」
- 知的障害者更生施設「みくに園」
交通
- 小豆島フェリー
- 豊島フェリー - 家浦港と高松港を結ぶ不定期旅客フェリーと、定期高速船を運航
- 四国汽船 - 家浦港と直島(宮浦港)・犬島を結ぶ高速船を運航(休航日あり)
- 島内では、土庄町が家浦港-唐櫃港・家浦港-甲生集会所前を結ぶバスを運行している。(自家用車両を使用しているが有料)
- 瀬戸内国際芸術祭の会期中は増便されるが、こちらは小豆島交通の営業用バスを使用している。
観光・名所・名産
イベント
豊島事件(産廃不法投棄)
豊島総合観光開発(豊島開発)が、1975年から16年間、産業廃棄物を違法・大量に投棄・野焼きし、1990年に兵庫県警が摘発した。公害等調整委員会が実態調査を行い、投棄された廃棄物は約56万トンとされた。同委員会が調停手続し、豊島開発が住民に解決金を支払うこと、香川県が住民に謝罪し廃棄物を撤去・処理すること等を定めた調停が成立した。
この調停に基づき、香川県直島で廃棄物処理中である。不法投棄現場は一般市民の立入りを禁止し、重機による産廃の掘り出しと、直島に産廃を移送するための梱包作業が行われている。予約をすれば、産廃現場と産廃問題に関する資料館を見学できる。後の調査で産廃物の量は91万トンに訂正された。
年表
- 1975年12月 産業廃棄物業者の豊島総合観光開発が産業廃棄物処理業の許可を香川県に申請する。
- 1978年テンプレート:02月 香川県は、豊島総合観光開発に対して産業廃棄物収集運搬業(汚泥、木くず及び家畜のふん)、処分業(みみずによる土壌改良剤化処分)を許可する。
- 1990年11月 兵庫県警が豊島総合観光開発を廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反容疑で事業場を強制捜査する。
- 1990年12月 香川県は、豊島総合観光開発に対して産業廃棄物処理業の許可を取り消し及び産業廃棄物撤去等の措置命令を行う。
- 1991年テンプレート:01月 兵庫県警が経営者等を逮捕する。
- 1991年テンプレート:07月 神戸地裁姫路支部が豊島総合観光開発と経営者等に有罪判決を下す。罰金50万円、懲役10月(執行猶予5年)。
- 1993年11月 豊島住民が県知事に公害紛争処理法に基づく公害調停を申請する。
- 1993年12月 公害調停の書類が国の公害等調整委員会に移送される。
- 1996年テンプレート:02月 豊島住民が高松地裁に豊島総合観光開発に対して損害賠償を提訴する。
- 1996年テンプレート:08月 菅直人厚生大臣(当時)が現場を視察。問題解決の端緒となった。
- 1996年12月 高松地裁が豊島総合観光開発に対して慰謝料の支払いと、廃棄物の撤去を命じる判決を出す。(豊島住民勝訴)
- 1997年テンプレート:03月 豊島総合観光開発及び経営者に対し、破産宣告
- 2000年テンプレート:06月 公害調停成立。
- 2012年テンプレート:03月 豊島の汚染土壌を、滋賀県大津市内の民間業者が施設内で処理する計画が明らかとなり、業者の周辺住民らが、琵琶湖の汚染の恐れがあるとして滋賀県公害審査会に公害調停を申請(記事)。
- 2012年テンプレート:05月 前述の調停に関して、香川県と業者が契約解除で合意し、汚染土壌の県外処理は白紙に(記事)。
産廃特措法適用
特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(産廃特措法)にもとづき、2003年12月9日、不法投棄事案として環境大臣同意[1]。概算費用は281億円。
行政責任として、公害調停の最終合意に際して、廃棄物の認定を誤り原因者(豊島開発)に対する適切な指導監督を怠ったことを認め、申請人を含めた豊島住民の方々に知事から直接謝罪した[2][3]