調神社
当社には鳥居がなく、代わりに注連縄が張られている。両脇には狛兎。
調神社(つきじんじゃ) は、埼玉県さいたま市浦和区にある神社。式内社で、旧社格は県社。
別称として調宮(つきのみや)とも呼ばれる。
概要
社名の「調」は「貢(みつぎ)」に同じで、調物(= 貢物)を納めるための倉が古代建てられたことに由来する。また、読みは斎宮(いつきのみや)に由来するという説もある。その音から「ツキ」に恵まれる神社として信仰される。また「ツキ」を「月」にかけたことによる月待信仰が古来よりあり、狛犬ならぬコマウサギがいる神社として有名である。
そのほか、鳥居を建てないことになっていることでも有名である。
祭神
主祭神は以下の3柱。
歴史
社伝の『調宮縁起』によれば、開化天皇3年に創建されたとされる。
崇神天皇の時代に伊勢神宮の斎主・倭姫命が参向し、境内に神宮に献る調物を納めるための倉を建て、武総野(武蔵、上総・下総・安房、上野・下野)の初穂米・調の集積所と定められた。この際、倭姫命の命により調の運搬の妨げとなる鳥居や門が取り払われ、現在に至るまで建てられていない。
平安時代中期の『延喜式神名帳』に「武蔵国足立郡 調神社」と記載され、式内社に列している。中世ごろからは「調」が「月」と同じ読みであることから月待信仰と結びつき、兎を神使とみなす兎信仰が行われるようになった。
1337年(延元2年/建武4年)、足利尊氏が一色範行に命じて荒廃した社殿を復興した。1590年(天正18年)、小田原兵乱で焼失したが、徳川家康の関東入部後から江戸時代初期にかけて再建された。
1873年に近代社格制度において郷社に列し、1898年に県社に昇格した。
境内
社殿
- 調神社 拝殿正面.JPG
拝殿
社殿は本殿と拝殿が一体となった権現造。 - 調神社 神楽殿.JPG
神楽殿
- 神池
境内の兎
- 調神社 神池の兎.JPG
神池の兎
- 調神社 手水舎の兎.JPG
手水舎の兎
- 調神社 コマウサギ.JPG
狛兎
摂末社
- 稲荷神社
本社旧本殿。一間社流造、銅板葺。棟札から享保18年(1733年)建立とされる。多くの兎の彫物が装飾されている。安政年間まで本殿として使用された。 テンプレート:-
- 調宮天神社
- 金毘羅神社
主な祭事
- 十二日まち (毎年12月12日に開かれる大市)
- 熊手を求めやってくる人も多い。
- 夏越しの大祓に茅の輪潜りをおこなう。
このほか、1月1日には県内から多くの初詣客が来て参拝待ちの行列が外までできる。
文化財
さいたま市指定文化財
- 調神社旧本殿1棟(付 木札)(建造物) - 昭和53年3月29日指定
- 扇面三十六歌仙絵(絵画) - 三六面中十八面が現存。寛文9年(1669年)奉納。1978年3月29日指定
- 神輿鳳凰(工芸品) - 神輿の頂に取りつけられていた鳳凰。室町時代作。1978年3月29日指定
- 調神社扁額(書跡) - ケヤキ材。正面に楷書で「調神社」と書かれている。享和2年(1802年)に松平定信によって書かれた。1978年3月29日指定
- 調宮縁起(古文書) - 寛文8年(1668年)玉蔵院十二世寂堂による撰。1978年3月29日指定
- 調神社の境内林(天然記念物) - 昭和45年3月10日指定
現地情報
- 所在地
- 交通アクセス
- JR東日本宇都宮線 (東北線)・高崎線・京浜東北線 浦和駅 (徒歩約10分)
- 周辺
参考文献
- 青木義脩 『調神社』(浦和市郷土文化会、1978年)
- 青木義脩 『調神社』(さきたま出版会、1995年、ISBN 4878912502)