血液型占い

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血液型占い(けつえきがたうらない)は、ABO式血液型を属性として占う、日本特有の占い方法のひとつ。

概要

現存する占いのうち最も属性の数が少なく、短時間または少ないページですべての属性についての解説ができることから、テレビ番組や雑誌の占いコーナーでよく用いられる。しかし紹介されるのは常にその結果のみであり、占い方が明らかにされた例はない。また、「血液型性格分類」と同様に性格を診断するものに加え、その日の運勢や、恋愛対象の相手との相性なども占うものまで幅広い。

西洋占星術四柱推命と異なり、占い方が定まっていない。民放テレビの情報番組等で血液型占いコーナーが放送されているが、一部の占いの結果を番組制作スタッフが独自の判断で創作していることも知られている。毎日行われる占いの場合、日々変化している運勢がどのような理由で血液型による影響を受けるのかについて、説明すらないのが通例である。

占い師によっては血液型占いに星座占い九星などを併用して占うことがある(例:A型のおひつじ座、B型の一白水星)。

ABO式血液型が占いの対象となるケースがほとんどで、他に存在する血液の因子であるRh式HLA型といった型が占いの対象になることは滅多にない。

血液型占いのからくり

血液型占いの根拠とされることの多い血液型性格分類は、科学的には支持されていない。研究者らによって統計的調査・再調査・追試験が何度も行われているものの、現在に至るまで結論の一致が見られないのが実情である[1]

例として、日本とアメリカ合衆国における1万例以上の社会調査データを用いた2014年の研究においても、血液型と性格に意味のある関連性は見出されなかった[2]

血液型性格分類に科学的根拠がないとされるにもかかわらず、血液型占いが当たっているように感じる理由として、以下のことが挙げられている。

  • 占いに使われている性格の表現というのは、誰もが「あ~、そうかも」と思えるものが多い[3]。「思いやりがある」「さみしがりや」などがわかりやすい例であるが、誰にでも多かれ少なかれ当てはまるものである[3]。明るい性格の人であっても暗い気分の時があり、しっかりした人であっても、いつでもどこでもしっかりした人でいられるわけではない[3]。そのため、「××型だから○○」という表現を多く並べれば並べるほど、たいがいの人に当てはまる性格分析が出来上がってしまう[3]。このことを心理学では「バーナム効果」と言い、誰にでも当てはまる”あいまいで一般的な性格をあらわす記述”を、自分だけに当てはまる正確なものだと誤解してしまう現象として知られている。
  • 例えば「A型は几帳面」という思い込みがあると、A型の人が几帳面に行動する場面ばかりに目が向くようになり、A型の人がいいかげんな行動をする場面があっても「めずらしい」の一言で済ませてしまうようになる[4]。このことを心理学では「確証バイアス」と言い、自分の信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反する情報を軽視・排除してしまうという現象として知られている。
  • 例えばA型の人が「A型は几帳面」という情報を何回も聞くと、それを意識した行動を無意識のうちにとるようになってしまう[5]。行動が多少なりとも変わった状態で再び「A型は几帳面だ」という情報が入ってきた場合に、当たっていると感じてしまう。このことを心理学では「予言の自己成就」と言い、根拠のない予言であってもそれを信じて行動すると、予言通りの結果になってしまうという現象として知られている[5]

起源

[6]血液型オーストリアの医学者カール・ラントシュタイナーによって1900年に発見され、翌年の1901年に論文発表された。日本人として最初にその知識を得たのは原木復医師であり、1914年に帰国し日本人の血液型調査を実施して血液型と性格との関係性について調査結果を発表した。この調査が軍の上層部の目にとまり「血液型別の部隊を編成しよう」として軍医を総動員して血液型の研究に軍が着手した、とされる。

2013年現在の血液型占いの元となった研究には「血液型と気質」があり(古川竹ニ[7]、1932年東京三省堂)、公表後にわかに血液型ブームがおこったものの、データの少なさや統計処理のずさんさが指摘され、また血液型と性格の関連を否定する意見が多く出され1934年にはブームが終焉した。

批判

BPO(放送倫理・番組向上機構)は2004年に、「血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう要望する」との声明を発表[8]。民放連の放送基準「第8章 表現上の配慮」54条に抵触するとして、「血液型判断に対し、大人は“遊び”と一笑に付すこともできるが、判断能力に長けていない子どもたちの間では必ずしもそういうわけにはいかない。こうした番組に接した子どもたちが、血液型は性格を規定するという固定観念を持ってしまうおそれがある」とした[8]

さらに人命にかかわる危険もあり得るとされる。 1990年にある国会議員が刺され失血死した(とされている)事件の際に、異なる型が輸血されるという医療事故が生じた。 議員が公表していた血液型が実際とは異なっていたからであるが、これは選挙における有権者への印象を考慮したためで、背景には当時流行していた血液型占いがあるのではないか、という指摘がある[9]

血液型占いコーナーのあるテレビ番組

脚注

  1. 村上宣寛(2005)『「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た』日経BP社
  2. 縄田健悟(2014)「血液型と性格の無関連性 ―日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠―」『心理学研究』85(2), 148-156.
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 テンプレート:Cite news
  4. テンプレート:Cite news
  5. 5.0 5.1 テンプレート:Cite news
  6. 「第86回常設展示 占いあれこれ」国立国会図書館[1]より起筆した
  7. 東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学)
  8. 8.0 8.1 テンプレート:Cite web
  9. 支倉逸人 『検死秘録』 p.118- 光文社 2002年 ISBN 4334973523

関連項目

外部リンク