脊椎動物
脊椎動物(せきついどうぶつ、Vertebrata)は、動物の分類のひとつ。現在主流の説では脊索動物門に属するとされ、脊索と置き換わった脊椎をもつ。魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の5類からなり、無脊椎動物に比べて(脊椎動物である)人間にとって類縁関係が近く、なじみの深い生物によって構成されているグループである。
特徴
- 多数の椎骨がつながった脊椎(背骨)をもつ。
- 脳と脊髄(あわせて中枢神経と呼ぶ)をもち、それぞれは頭蓋骨と脊椎に守られている。
- ヘモグロビンを含む血液を持つ。(極地に生息する魚などに一部例外あり)
- 少なくとも一つの半規管を持つ。
- 大型の種が多い。魚類の幼生には1mm以下のものがあるが、成熟時の体長としては最小のものでも6〜8mm程度になる。このため多くの動物門にある間隙性生物が存在しない。また、最大の水棲動物(現生種のシロナガスクジラ。ただし体長だけならマヨイアイオイクラゲが上回る)と最大の陸上動物(絶滅種では竜脚類の一種。現生種ではアフリカゾウ)の両方を含む。
分類
脊椎動物を、脊椎動物門として取り扱う分類と、より広い範囲の動物を含む脊索動物門の一部である脊椎動物亜門として取り扱う分類があるが、近年は後者が多数派になってきている。
動物全体を、脊椎動物とそれ以外のすべてを含む無脊椎動物との2つに分ける分類もあるが、これはヒトを含む脊椎動物を重要視してそれを中心に考えるときの便宜的な分類法である。脊椎動物の種数は動物界全体の5パーセントにも満たない。(動物の分類を参照)
ヌタウナギ綱は、伝統的な分類では脊椎動物の無顎類(無顎上綱)に含まれるとされてきたが、この仲間は脊椎を持たない。そこでこれを脊椎動物から外し、かわりに従来の脊椎動物と同じ範囲を含むグループとして有頭動物を導入するという分類が提唱されている。 一方、ヌタウナギの胚発生において、ヒトを含めた顎口類等と同じく脊椎動物に特徴的な「神経堤細胞」を確認したとの研究結果が出ている。[1]
脊椎動物亜門
脊椎動物亜門に含まれる綱は、下記のとおりである。
なお、棘魚綱、肉鰭綱、条鰭綱の上位分類として硬骨魚綱 Osteichthyes を設ける分類もある。この場合、3綱は亜綱として扱われる。上に示した分類体系は、現在主流となっている Nelson (2006) の分類に従っている。詳細は魚類の項を参照。
有頭動物を導入する分類では以下のようになる。
脊椎動物門
また下記の分類法は、脊椎動物を門として扱っている別の分類法のひとつである。
進化
上の綱リストは、下のグループほど後になって地球上に現れたものの順に配列されている。逆に、上のものほど原始的な脊椎動物の特徴をより多く残しており、最初に現れた脊椎動物は、現在の無顎類のような動物であったのではないかと推定されている。