祖母山
祖母山(そぼさん)は、大分県(豊後大野市、竹田市)と宮崎県(西臼杵郡高千穂町)にまたがる、標高1,756mの山であり、宮崎県の最高峰である(大分県の最高峰は標高1,791mの九重山中岳)。日本百名山の一つ。
祖母連山は熊本県、大分県、宮崎県と3県にまたがる。火山活動によって形成された山であるため巨大な岩石が随所に見られ、登山ルートは整備されたものから獣道まで多種多様である。ハイキング感覚で楽しめる手軽なコースから、断崖を登りながら進む上級者向けのコースまである。頂上付近はどのコースを辿っても急な岩登りコースがあらわれる。祖母山周辺は鉱物資源が豊富で江戸時代から昭和中期まで採掘が行われていた。
山の形成
2回の火山活動期によって祖母山系の基礎となる山地が形成されたとされる。1回目の火山活動は約1300万年前、火砕流を伴う火山活動が始まり2つのコールドロン(カルデラ:祖母カルデラと傾カルデラ)を形成した。この時出来た2つのカルデラは2回目の火山活動により埋め尽くされ、現在カルデラを目視することは出来ない。
約1290万年前、再びコールドロンが始まりこの時鉱山の形成が行われたとされている。約1000万年前火山活動は終了。侵食により準平原になった後、300万年前に隆起、阿蘇山系の大規模な活動による火砕流の影響を受けて現在の祖母山の姿となった。
祖母山の自然
火山活動によって出来た花崗岩が随所に見られ、低山部では渓谷、中高山部では断崖が随所に見られる。ミヤマキリシマやリンドウ、紅葉なども数多く自生しており四季を通じて登山客が訪れる。
植物
ブナ、ツガなどの原生林に覆われており、低地は照葉樹林帯、中腹は針葉樹林帯、山頂付近はスズ竹、ブナ帯が見られる。ウバタケニンジンは祖母山系と四国の一部にしか見られない非常に貴重な植物である。祖母山を別名姥岳(ウバタケ)と呼ぶことから発見者の牧野富太郎がこのように名付けた。
動物
特別天然記念物のニホンカモシカの生息南限地帯とされている。他にも、ヤマネ、ニホンジカも見られる。ツキノワグマはほとんど目撃情報がないので絶滅した可能性が高い。
鉱山
祖母山の麓に尾平鉱山跡がある。元和3年(1617年)に開鉱され、以後昭和29年(1954年)に閉山されるまで日本有数の鉱山として栄える。尾平以外にも大分県側で九折鉱山、木浦鉱山、宮崎県側で見立鉱山、土呂久鉱山などがあった。産出物は銅、錫、鉛やマンガン、水晶などの稀少鉱物。
その他
米軍機墜落事故
1945年(昭和20年)8月30日、大型戦略爆撃機B-29が祖母山の南に位置する親父岳付近に墜落した事故。乗組員12名全員が死亡。現在も機体の一部と星条旗が山中に残っている。