火引弾

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テンプレート:対戦型格闘ゲームキャラクター 火引 弾(ひびき だん)は、カプコン対戦型格闘ゲームストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。ゲーム内ではダン (Dan) と表記される。

概要

ストリートファイターZERO』(以下『ZERO』)にて、隠しキャラクターとして初登場。隠しキャラクターは一般的に強く設定されることが多いが、ダンは意図的に弱く設定されていることが最大の特徴である。

シリーズの主人公であるリュウケンと同じく剛拳(ゴウケン)に師事していたことがあり、立場的には彼らの兄弟子にあたる。そのため使用する技も彼らに似ているが、ダンは修行の途中で剛拳に破門されており、自身が考案した我流格闘術「サイキョー流」を用いているため、実力は中途半端。

中平正彦の漫画作品である『ストリートファイターZERO』および『さくらがんばる!』での設定がゲーム本編に取り入れられ、春日野さくらブランカとは関係の深いキャラクターとなっている。

キャラクター設定

香港在住の日系人。父親の火引強ゴウ)も格闘家だったが、ムエタイの帝王サガットとの試合に敗北して命を落とす(その際、強はサガットの片目を奪っている)。それ以来ダンはサガットを父の敵として追い続けている。それと同時に、独自に編み出した格闘術「サイキョー流」を世に広めるべく、弟子集めと道場開設のため世界を駆け回っている。

シリアスなバックストーリーを持つ一方で、『ストリートファイターZERO2』(以下『ZERO2』)以降の作品では、実力の割には自信ばかりが高いコミカルなキャラクターとして位置づけられている。

父の死後、リュウ、ケンの師である剛拳のもとで修行をしていたが、サガットへの憎しみを看破されて破門された。本来なら拳を封じるところを剛拳は踏み止まり、「拳は捨てよ」とだけ告げている。リュウたちの入門はその後になるため『ZERO2』ではケンに「俺と似たような技を使うとは何様のつもりだ?」と啖呵を切っているが、『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』)の時代ではダンは互いの関係を知っていた[1]。竜巻旋風脚は使えず、我道拳や晃龍拳が技として不完全なのも修行途中で破門されたことが理由[2]

濃い茶色の髪を後ろで束ね垂らしている。ピンク色など変わった色の胴着を着る理由はファッションセンスがないためとされている[3]。なお、リュウやケンと異なり上着の下にアンダーシャツも着ている。

『ZERO』のキャラクターセレクト時の顔はスティーヴン・セガールをイメージして描かれている[3]

父親の火引強は既に故人だが、『ポケットファイター』では緑色の胴着に天狗のような顔をしており、頭に天使の輪を乗せた姿で登場している。『ストIV』の家庭用移植版ではオープニングアニメで遺影としてわずかに姿を見られるが、容姿は『ポケットファイター』のものとは異なる。

人物像

勘違いに近いほどの自信家であり、自惚れが強い性格(ただし、ベクトルは間違っていても努力は怠っていない)。実力に伴わない大きな態度から、他の登場人物からは呆れられることも多く、初登場作品となる『ZERO』のエンディングにおいてもベガから「バカさ加減も最強」と皮肉られている。一方、前向きで威勢の良い性格と捉えられることもあり、『CAPCOM VS. SNK』シリーズではロレント藤堂竜白からその点を評価された。

『ZERO3』以降は春日野さくらの師匠を自称しているが、実際には技のコツをレクチャーした程度の間柄である。ブランカとは親友であり、彼のことを本名の「ジミー」と呼ぶ。他人には咆哮としかとれないブランカの言葉(『さくらがんばる!』と『ZERO3』でのブランカは普通に喋れない)を理解できる。多言語話者であり、日本語英語タイ語広東語に堪能な上、フランス語ロシア語もいくらか理解できることから、さくらからは通訳としても頼られている。

『さくらがんばる!』ではあっさり倒されるなど三枚目な扱いも多かったが、ストリートファイターとしての心得を訓示したり、手がかりのほとんどない海外の旅での案内人になったり、と頼れる先輩ファイターとして描かれており、ゲーム本編とは違った硬派な一面を見せている。また、肉体的な耐久力が相当に高いようで、一方的にやられながらもケンを辟易させた。『ZERO3』ではブランカのピンチにさくらを連れて助太刀に現れるシーンがある。

『ZERO』と『ZERO2』では父を死に追いやったサガットへの復讐に燃えているが、『ZERO3』における自身のストーリーはサガットを倒した後となっており、彼と会った際にはこれまでとは一転してサイキョー流入門を勧めるという器量を見せている。一方でサガットのストーリーではいまだに父の敵討ちに燃えており彼に挑戦している。

ストリートファイターII』で行われた世界格闘大会には参加していないが、これについては「電話代を払っていなかったため大会の開催を知らなかった」とされている。『ストIV』シリーズではサイキョー流を世界に広めるため、さくらとブランカを引き連れて格闘大会に参加する。また同作では「ママのために偉くなりたい」と相談に訪れたブランカに世界格闘大会への出場を提案している。

『ストIV』では生え際が後退していたり(勝利メッセージ時に髪を気にするセリフあり)、恰幅が良くなっていたりと外見に変化が見られるものの、格闘家としては現役である。『ZERO』シリーズでは相手を罵倒するようなコメントが目立っていたが、『ストIV』シリーズでは生活が苦しいまことに対して親身に接したり、ファンの多いザンギエフを羨ましがったりとより人間味溢れる描写がなされている。

『ポケットファイター』では道場を開くために、自分より弱くて最初の弟子に相応しいとしてさくらに目をつける。エンディングでは彼女を弟子にし、技を全部マスターされるが「ダサいしカッコ悪いし使えない」という理由で逃げられる。アメコミ版でもさくらの師匠となるが、すぐ追い越される三流格闘家として悪い扱いを受けている。端役であり、リュウたちとの関連性は描かれていない。

落ち物パズルスーパーパズルファイターIIX』においては「サイキョー流パズル道場」でゲームの案内役を務めている。同作品の隠しキャラクターとしても登場しているが、攻撃パターンがゲーム中で最弱の赤一色、攻撃アクションが全て相手に攻撃を行わない挑発になっている、最終ステージで豪鬼に叩きのめされる、勝利画面のグラフィックが一人だけ非常に小さく描かれている、ニュートラルの構えが常に笑顔など、『ZERO』シリーズ以上にコミカルなギャグキャラクターとしての側面が強調されている。この路線は『ポケットファイター』にも引き継がれている。

OVA『ストリートファイターZERO - THE ANIMATION - 』ではバルログに切り裂かれたり、バーディーに絞め上げられたりと、扱いが悪い。

サイキョー流

ダンが使用する我流の格闘技。漢字表記は「最強流」だが、基本的にカタカナで表記。

剛拳の教えを元にダンなりの改良を加えたものだが、「挑発を重視した格闘スタイル」など技の錬度や実用性に関しては胡散臭い部分が多い。『CAPCOM VS. SNK』シリーズではガイルから「素質を無駄にするスタイル」、鑑恭介からは「そんな格闘技は聞いたことがない」と言われている。

『ZERO』の時点ではサイキョー流の名は存在せず、『ZERO2』のエンディングでサガットを倒し自分が最強と確信したダンが開いた流派となっている。故郷である香港に道場が置かれ、弟子もそれなりに集まっている[4]。『ZERO3』以降では交流の深いさくらやブランカもサイキョー流一派だと強引にダンは考えているが、当人たちは否定している。

『ストIV』シリーズでは知名度が低いため、入門志願者や門下生はほとんどいない。その結果、師範であるダン自身が広告塔となり、自らサイキョー流の強さを証明することで弟子集めに奔走することになる。また、「サイキョー流道場」を開くも資金繰りに苦労している様子が自身やブランカのエピソードで語られている。本編では語られていないが、かつて世界を回り、様々な人物と交流したダンの経験から製造業にも着手するようになったという裏設定が存在し[5]、スポーツウェアやスパーリング用のボディアーマーなどの格闘技用品のほかに、果ては洗濯用洗剤にまで「サイキョー流ブランド」の商品を開発している。『スーパーストリートファイターIV』(以下『スパIV』)のアーケードモードでは深夜帯とはいえ、テレビCMを放映することにも成功している。『ストIV』公式サイト内でも初心者向け講座としてダンを師範に据えたサイキョー流道場が開設されている。

カプコンの3D格闘ゲーム『ジャスティス学園』シリーズでは通信教育業界にも進出しており、『私立ジャスティス学園 熱血青春日記2』において登場人物の一人が「ケン・マスターズ格闘術」とともに「サイキョ〜流格闘術」の名前を挙げている。

開発者の声

「中途半端なヤツ」

『ZERO』のダンの開発者は、「ダンのコンセプトは“中途半端なヤツ”です。しゃがみガード崩しはないし、我道拳は少ししか飛びません。ダンで連勝を続けるのは大変ですが、断空脚をメインに、ガンバって勝ち抜いてください」と述べている[6]

一服の清涼剤として

開発者の一人である船水紀孝によると、ダンはバランス調整が楽であり、どんなに弱くともダンでプレーしてくれる人がいるし、強くしたらダメだから強くしないように注意すればいいだけであったという。船水は「負け抜けの入れ替わりで対戦しているときに、1人が勝ち続ける場合ってあるじゃないですか。ずーっと連勝していると、20連勝ぐらいから、ワイワイとやっていたのが、急にシーンとしはじめて、だんだんまわりの雰囲気が堅くなってくる、『あいつあんな単調な攻めばかりしやがって』とか言って急に座らなくなったりする、そういうときにダンが入ると、急になごむんです(笑)。毛がクーっと逆立っていたのが、笑った顔になって。入るほうは、ダンだったら負けてもかまわないって挑むじゃないですか。で、ヘタに入られた側が負けたりなんかすると、これが妙に盛り上がったり(笑)。その「すごく場がなごむ」っていう効果を考えると、ダンを入れてよかったなぁってつくづく思いますね。ボクら開発陣の息抜きって考えていただければ(笑)」と語っている[7]

SNK作品との関連

ダンのキャラクター設定はSNKの格闘ゲーム『龍虎の拳』(以下『龍虎』)のパロディになっていて、外見や各種の必殺技なども『龍虎』の主人公リョウ・サカザキロバート・ガルシアを足して割ったような姿に作られている。このようなパロディを行った理由として、開発者のインタビュー[8]では「他社のゲームに、苦労して作った(キャラクターのアニメーション)パターン(=リュウとケン)をそっくり真似られた」ことを挙げている。これに立腹した開発者の一人が、「『真似をするな』との意味を込めて、おちょくりキャラとして」作らせてください、と船水に進言したとしている。「二流格闘家」というコンセプト自体は現在の形になる以前から決まっていた[9]

『Street Fighter Alpha』シリーズ(日本国外版『ZERO』シリーズ)では、ゲーム内でのダンの台詞やダンに向けられた台詞に「Art of Fighting」(『龍虎』の英題)や「King of Fighters」といった言葉がいくつか含まれており、SNK作品との関連をさらに濃く示している。

CAPCOMとSNKとのクロスオーバーシリーズにおいて、リョウ・サカザキ本人からは「ニセモノ野郎」と呼ばれ、リョウ以外のSNKのキャラクターからはロバート・ガルシアと間違われている。

ダンの父親の強が天狗のような顔をしているのも初代『龍虎』に登場する天狗の面を被ったキャラクター・Mr.カラテのパロディである。Mr.カラテの正体はリョウの父親であるタクマ・サカザキが変装した姿。ゴウの初出は『ストリートファイターZERO』の設定画で、後の『ポケットファイター』でもこの姿で登場している。『ZERO』設定画で公表された際に「鼻が極端に大きい」「耳紐がついている」などMr.カラテ同様に仮面をつけているように描かれたが、『ZERO2』設定画で再び公表され「素顔である」と明記された(鼻は自前であり、耳紐のような物は白髪およびホクロであるという)。

マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』では、ダンのエンディングは初代『龍虎』のエンディングをパロディにしており、最終ボスである「メカ豪鬼」を倒そうとした瞬間、ダンの妹(ダンそっくりでセーラー服を着ている)が現れ「やめて! お兄ちゃん! その人は、私たちの…」ときて「END」と締めくくられる。『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』(以下『頂上決戦 最強ファイターズ』と表記)ではこの設定を基にして、リョウとタッグ組むと「やめて! おにいちゃんズ」とタッグ名がつき、エンディングではリョウとの会話後に妹について言及している。

CAPCOM VS. SNK』シリーズでは『PRO』と『2』において、『餓狼伝説』のキャラクターであるジョー・ヒガシと同時に登場しており、対とされている描写がある。同シリーズ第1作『カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000』のエンディングではミレニアムファイト第一回大会の優勝者として、この2人が登場している。

『頂上決戦 最強ファイターズ』では、ライバルキャラクターとしてリョウが設定されており、またユリ・サカザキともラウンド開始前に掛け合いが発生する。

SNKプレイモアの『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』(以下『SVC CHAOS』)ではさらに露骨な技のコピーが見られるほか、対戦前会話デモでMr.カラテを自分の父のニセモノ呼ばわりしている。

ゲーム上の特徴

ダンは意図的に弱いキャラクターとして作られている。カプコンの船水は「どのキャラクターも尖った部分が必要で、ダンの場合は『弱い』ことで尖らせている。マニアックな人が使って苦労して勝つ、そんな遊びもあっていいのではないか」としている[8]

隠しキャラクターとして登場した『ZERO』では、立ち絵や技のグラフィックはリュウ・ケンからの使い回しである。対CPU戦では条件を満たすことで乱入してくるが、積極的に攻めてくることもなければ、こちらの攻撃をガードすることもほとんどない。何もせずに待っていると「我道拳」「晃龍拳」「断空脚」をそれぞれ弱→中→強の順に出してくるが、それ以外はほとんど何もしてこない。

通常技の多くは個々の威力は平均的だが判定が弱く(相手キャラクターの技と重なった際に打ち負けやすい)、また気絶値[10]が著しく低く設定されていた。必殺技も同様に判定が弱い上に隙が大きく、飛び道具の飛距離が短いなど使いづらいものが揃っている。ただし突進技の「断空脚」は性能が高めで、全体的な攻撃力は劣ってはおらず、とりわけスーパーコンボLv3の「晃龍烈火」は威力・気絶値ともに優れている。

『ZERO2』以降はデフォルトで登場することが多くなった。グラフィックが新規に描き下ろされ、通常技は『ZERO』の時よりもさらに使いづらいものに差し替えられた。

他作品に出演する際は毎回新しい技が追加されており、単純に技数を比較した場合ではリュウやケンのそれを上回る。その中には実用性が低いものも多いが、その全てが弱い技というわけではない。開発側の思惑通りに「ほぼ全ての作品で最弱クラスの性能ながら勝ちようはある」という、ストイック且つマニアックな玄人向けキャラクターとなっている。

設定上で「弱い」「半人前」といった属性を付加することでコメディリリーフと位置づける例は、他社でもSNKの『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズの矢吹真吾などが挙げられるが、ダンのようにゲームデザイン上からも「弱さ」を醸し出しているキャラクターは稀である。

挑発

ダンの特徴のひとつに挑発がある(必殺技の項にて詳述)。『ZERO』シリーズでは原則として1ラウンドに1回だけ相手を挑発できるが、ダンのみは無制限に挑発が使用可能。また直立状態・しゃがみ状態・ジャンプ中でそれぞれ違った挑発行動となる上、必殺技やスーパーコンボにも挑発が用意されている。

ダンの挑発が無制限に出せることについて、開発者は「このほうがダンらしいと思ったからです」と述べている[11]

技の解説

投げ技

背負い投げ
相手の体を両手で掴んで放り投げる。リュウ、ケン、豪鬼らの使用する同名の技と性質はほぼ同じ。『CAPCOM VS.SNK』シリーズでは投げたあと、挑発をする。『ストIV』では使用しない。
漢投げ
『ZERO3』でのみ使用する空中投げ。技の内容は「背負い投げ」とほぼ同じ。
我道突き
『ストIV』の前方投げ。相手の胸ぐらを掴み、因縁をつけてからボディブローで吹き飛ばす。
サイキョー払腰
『ストIV』の後方投げ。1回ではうまく投げられず2回目で成功する、という動作になっている。

特殊技

サイキョー流防御
『ZERO3』のV-ISMでのみ使用可能な、ダン専用の特殊な防御。相手の攻撃をガードした直後にコマンドを入力することで、相手をダンの前方へ強く押し返す。『X-MEN VS. STREET FIGHTER』や『ヴァンパイア セイヴァー』などのカプコンの対戦型格闘ゲームで基本システムとして採用されている「アドバンシングガード」と性質はほぼ同じ。

必殺技

我道拳(がどうけん)
片腕を振り被り、前方に突き出して掌底から気弾を放つ。飛び道具技だが射程距離が非常に短く、一歩分ほどしか飛ばずに消えてしまう(『CAPCOM VS.SNK』シリーズおよび『ストIV』では比較的飛距離が長い)。『ストIV』のEX版は飛距離が強より増し、弾が2発出る。
マーヴルVS.シリーズでは『ZERO』シリーズより弾のサイズが小さい上にほとんど飛ばず目の前に停滞してしまうが、ヒット時に相手を吹き飛ばす。『SVC CHAOS』では気弾の形が小さな球状になっているが、それ以外は他シリーズとほぼ同様。
断空脚(だんくうきゃく)
山なりの軌道で跳びながら蹴りを放つ。蹴りの回数は弱で1回、中で2回、強で3回。『ZERO2』以降は1発目が飛び膝蹴りになった。剛拳に破門されてから独自に編み出した技とされている[2][12]。他キャラクターの多くの技が空中対応になった『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』においても空中で使用できなかったが、『ZERO3』以降は空中でも出せるようになっている。
晃龍拳(こうりゅうけん)
地上で拳を構え、突き上げつつ跳ね上がる。『ZERO2』以降は腕をまっすぐ伸ばさず肘を曲げたまま上昇する。「昇龍拳」に近い技だが無敵時間がないために打ち負けやすく、性能は劣る(初代『ZERO』のみ、跳ねる瞬間まで全身無敵)。ただし稀に全身が白く光り、その場合は無敵になる。無敵になるタイミングは作品により様々だが、『ZERO2』では1/8の確率で、『ZERO2 ALPHA』と『ZERO3』では23回目で無敵に、以降は15回周期で無敵状態になる。
『ストIV』では画面後ろ側の拳を突き上げる。従来作と異なり、技の出掛かりは完全無敵。弱は攻撃判定が出る前に打撃・飛び道具無敵が消え、中・強は攻撃判定出現まで完全無敵が持続する。EX版は上昇中が完全無敵で2段技に変化するが、威力は強晃龍拳に劣る。
プレミアムサイン
『マーヴル』VS.シリーズのみの技。色紙にサインを書いて投げる。投げるまでが遅いが「我道拳」よりも飛距離がある。色紙を突き出すときにも攻撃判定があり、投げた後は軌道を上下に操作可能。この技でKOした場合は(通常の必殺技でありながら)ハイパーコンボフィニッシュと同じ演出が発生する。『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』で憲磨呂がCPUダンに対して挑発すると必ずこの技を出す(憲磨呂の挑発が「サインくれよ!」というものであるため)。
我道翔吼拳(がどうしょうこうけん)
『SVC CHAOS』のみの技。両腕を広げ大型の「我道拳」を放つ。モーションやグラフィックなどは「覇王翔吼拳」そのものだが、もとが「我道拳」のため飛距離は短い。『頂上決戦 最強ファイターズ』でも「震空我道拳」のLV2版として同様の技を使っている。
究極天地我道突き(きゅうきょくてんちがどうづき)
『SVC CHAOS』のみの技。片手を構えた後に正拳突きを繰り出す。ほぼリョウの「天地覇煌拳」そのものでガード不能技でもあるが、攻撃判定の出現が遅い。また、当たったとしても手を痛める演出があるため、当てても当たらなくても大きな隙が生ずるお遊び的な技。ただし対CPU戦においては一部の敵に対して大きな効果を発揮する。『ストIV』ではこの動作が通常投げの「我道突き」として流用されている。

スーパーコンボなど

震空我道拳(しんくうがどうけん)
気を高めて掌底を突き出し、複数ヒットする「我道拳」を放つ。通常の「我道拳」より射程が長く、飛び道具としての機能も果たす。『ZERO』シリーズでは飛び道具系スーパーコンボの中で唯一、ローズの「ソウルリフレクト」で跳ね返されてしまう。マーヴルVS.シリーズでは全く飛ばなくなっている。『SVC CHAOS』では「我道翔吼拳」と入れ替わりに使用不可になった。
晃龍烈火(こうりゅうれっか)
「晃龍拳」を連続で繰り出す。ケンの「昇龍裂破」に類似した技だが、あまり前進しないため距離を置いて使うには不向き(『ZERO』シリーズや『CAPCOM VS. SNK』シリーズではLv2以上で出すと前進距離が伸びる)。ヒットした時点で相手が空中にいても巻き込んでいく性質を持ち、対空迎撃などで役に立つ場面が多く、ほぼ真上に飛ぶ点でもそれを手伝っている。ただし『CAPCOM VS. SNK 2』では空中の相手に全段ヒットしなくなっている。『ZERO2 ALPHA』までは気絶値が非常に高く、全段ヒットさせれば全技中2番目の気絶値を誇る。『SVC CHAOS』では性能が他作品よりも向上している。『CAPCOM VS. SNK』シリーズや『SVC CHAOS』では、この技を繰り出す際に「サイキョー流奥義!」と叫ぶ。
必勝無頼拳(ひっしょうぶらいけん)
その場で猛烈な勢いの打撃技を連続で繰り出した後、「晃龍拳」でフィニッシュ。Lvが上がるごとに攻撃のヒット数が増えるが、作品によっては上がるにつれて途中でリーチが極度に短い攻撃が出るものがあり、途中で空振りしたりガードされることも多い。『マーヴルVS.シリーズ』では性能が上がり、1発でもヒットすれば相手をロックして全て命中する。『ZERO2』ではサガットに対してLv3で決めると、最後にダンが叫ぶ台詞が変化する。『ZERO3』ではX-IZMとZ-IZMで使用可能。同作のエンディングでは回復し無敵のはずのベガが再びこの技を喰らい倒されている。『ストIV』シリーズでもスーパーコンボとして使用。
漢道(おとこみち)
前進して相手を掴んで相手もろとも自爆する技で、マーヴルVS.シリーズでのLv3専用ハイパーコンボおよび『SVC CHAOS』のEXCEED(試合中一度だけ使用可能な技)。ダン自身の体力ゲージは1ドットになってしまう上に、『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』では投げ抜けをされてしまうため、魅せ技としての要素が強い。ただし登場するごとに性能が少しずつ上がっており、『MARVEL VS. CAPCOM 2』では体力が1ドットになるものの、全技中トップの攻撃力を誇る。『SVC CHAOS』では体力の減少がなくなった。『最強ファイターズ』では1ドットになるが、相手に4分の1程度しかダメージを与えられない。
オヤジブラスト
『ポケットファイター』のマイティコンボ。発動時のボイスは「オヤジビーム」。父親・強の幽霊が登場して、鼻から強力なビームを放つ。発動は遅く威力も低めだが、射程距離が長くヒット数も多い。
殉哭殺(じゅんこくさつ)
『ポケットファイター』のマイティコンボ。強の幽霊が登場して、「瞬獄殺」のような技を繰り出す。この技で相手に勝利すると、背景に「天」ではなく「父」の字が表れる。なお、突進する強の幽霊は弾扱いとなっており、飛び道具が当たると消えてしまう。
真・晃龍拳(しん・こうりゅうけん)
家庭用移植版『ポケットファイター』で追加されたマイティコンボ。アーケード版には存在しない。連続攻撃を決めてからかなり高くまで上がる「晃龍拳」を出す。
漫画『さくらがんばる!』のケンとの対決の1コマでも同名の技が出ている(全身を光らせ晃龍拳を放っているが、技を当てる前にKOされてしまった)。
疾走無頼拳(しっそうぶらいけん)
『ストIV』のウルトラコンボ。両腕をクロスさせた状態で前方へ突進し、相手に接触すると攻撃が発動。連続で6発の打撃を繰り出したあとに「晃龍拳」でとどめを刺し、画面に向かってポーズを決める。相手に避けられたりガードされた場合は転んでしまい、大きな隙ができる。
覇王我道拳(はおうがどうけん)
『スパIV』で追加された第2ウルトラコンボ。リョウ・サカザキの「覇王翔吼拳」をパロディとした必殺技であり、両手に溜めた気を一つに組み合わせた後、前方に強力な波動を放つ。その波動の威力に負け、反動でダン自ら後方に吹っ飛んでしまうという演出がある。

挑発

各種の挑発はダンを象徴する存在である。登場作品によって他のキャラクターの挑発にラウンド中1回の制限がある場合でも、ダンのみ無制限で挑発を出すことができる。

通常挑発、しゃがみ挑発、空中挑発
それぞれ直立、しゃがみ、ジャンプ状態での挑発。片手を挙げ、拳を顔の前に掲げるポーズを取りながら台詞を叫ぶ。空中挑発は着地してしまえば、ほぼ隙がないので比較的安全に出すことができる。さらに『ZERO3』のX-IZMでは立ち状態の挑発にわずかな攻撃判定があり、威力は低いが対空技として一応使うこともできる。
この挑発ポーズは勝利ポーズとしても使用されており[13]、バリエーションとして同じポーズで胴着の上半身をはだけたり、涙を流しながら父親を偲んで叫ぶものも存在する。
『ポケットファイター』では立ち状態としゃがみ状態の区別が付きにくいため、しゃがみ挑発は専用のポーズ(正面を向いて両手を顎の下に沿え、間抜けな顔をしながら手足を揺れ動かす)に変更されている。
前転挑発、後転挑発
必殺技のように特定のコマンドを入れつつ挑発のボタンを押すことで、前転か後転した後で挑発する。前転は相手をすり抜けられ、後転は相手との距離を離せるが、その後の挑発で隙だらけとなる。
挑発伝説
前転挑発を繰り返し、ジャンプ挑発、さらに挑発(「よゆうッス」)を重ねてフィニッシュするスーパーコンボ。挑発を繰り返すだけという技。基本は挑発なので、スーパーコンボでありながら攻撃性能は皆無。作品によっては、前転挑発中に相手に接近した際には、相手の前後に纏わり付く様に前転挑発→ジャンプ挑発を行うものもある。
最後の決めポーズは、足を揃えて笑顔で片手の親指を立てるという『龍虎の拳』に登場するユリ・サカザキの勝利ポーズを真似たものであり、こちらも勝利ポーズとして登場することがある。最後まで出し切ると、双方のスーパーコンボゲージが完全に溜まる作品がある。『SVC CHAOS』では途中の挑発モーションにユリの挑発やジョー・ヒガシの挑発(『KOF'99』以降などのもの)と似たものが混じっている。『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』ではスーパーコンボフィニッシュ時に英語の音声が入る演出があったが、ダメージ判定は途中のサイン色紙を掲げる手のみなので相手を倒すことがきわめて難しく、それゆえこの技のみ発動時に技名の英語ボイスが入るようになっている(運良くサイン色紙を掲げる手でフィニッシュ出来た場合は英語音声で勝利演出が発生する)。
この「挑発伝説」を開発したカプコンのプログラマーである原田康則は、「最後に"よゆうッス"って言っているときに昇龍拳とか入れると、カウンター・ダメージでさらにたくさん体力を減らせるっていうオマケがあるんですよ。だから、出された側は、ブン殴るなら、一応最後まで見てからにしたほうが、よけいに体力減らせて得なんです(笑)」と話している[7]
挑発神話
『ZERO3』のZ-ISMにおけるLv3専用スーパーコンボ。発動後の一定時間、どの攻撃ボタンを押しても挑発が出る

その他

  • キャラクターとしての由来は『COMPLETE FILE STREET FIGHTER II』(朝日ソノラマ)に掲載された安田朗のイラストが元になっていて、そのイメージを活かして『ZERO』『ZERO2』『ZERO3』でサガットがオレンジ色の道着に下駄を履いたダンをわしづかみにして投げ捨てるという演出[14]がある。また、『ZERO』開発当初はその演出のみの登場予定だった[3]
  • 『ZERO』では256分の1の確率でパーフェクト勝利時に「よゆうッス」のポーズを取る[15]

主な登場作品

担当声優

脚注

テンプレート:Reflist

引用・参考文献

  • 『マイコンBASICマガジン別冊 ALL ABOUTシリーズVol.11 ストリートファイターZERO』スタジオベントスタッフ 電波新聞社 1995年10月25日
  • 『マイコンBASICマガジン別冊 ALL ABOUTシリーズVol.14 ストリートファイターZERO2』 スタジオベントスタッフ 電波新聞社 1996年6月30日
  • 「頂上対談 船水紀孝 vs 安田朗」『ストリートファイター15周年 最強読本』宝島社 2003年9月26日 ISBN 4-7966-3545-9
テンプレート:ストリートファイターの登場人物
  1. 家庭用『ストリートファイターIV』におけるさくらのオープニングアニメーション。
  2. 2.0 2.1 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO』275ページ
  3. 3.0 3.1 3.2 ゲーメストムック『ストリートファイターZERO』の開発者インタビューより。
  4. 『ALL ABOUT カプコン対戦格闘ゲーム 1987-2000』電波新聞社より。
  5. 『ストリートファイターIV/スーパーストリートファイターIV オフィシャルコンプリートワークス』インタビューより。
  6. 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO』「from開発スタッフコメント」・116ページ
  7. 7.0 7.1 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO2』開発者インタビュー 362ページ
  8. 8.0 8.1 「頂上対談 船水紀孝 vs 安田朗」『ストリートファイター15周年 最強読本』宝島社、2003年9月26日、p35、ISBN 4-7966-3545-9より。
  9. 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO』開発スタッフインタビュー260ページ
  10. 体力に対するダメージ以外に設定されている数値。これが一定時間にキャラクターごとの気絶耐久値を超えると気絶し、一定時間行動不能となる。
  11. 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO』265ページ
  12. 『ZERO2』のサガットのストーリー内で父親・強の必殺技は膝蹴りとされている。
  13. もともと、このポーズは『龍虎の拳』のロバート・ガルシアの勝利ポーズの一つと同じもの。
  14. 『ZERO』『ZERO2』『ZERO3』ではリュウのCPU戦に登場するサガットの登場ポーズで投げ捨てられている。『ZERO3』のみCPUサガットのISM選択によってダンの扱いが変化し、X-ISMではタイガーアッパーカット(下駄は履いていない)、Z-ISMでは登場なし、V-ISMでは従来通り投げ捨てられる。
  15. 『ALL ABOUT ストリートファイターZERO』12ページ