はこね (列車)
テンプレート:Sister はこねとは、小田急電鉄が新宿駅 - 箱根湯本駅間を小田原線・箱根登山鉄道鉄道線経由で運転している特急列車の愛称。
本項では、小田原線を運行する「スーパーはこね」・「さがみ」及び東京地下鉄線内に乗り入れる「メトロはこね」・「メトロさがみ」・「ベイリゾート」についても述べる。
なお、小田急電鉄はこれら新宿 - 箱根湯本間を運行する特急列車を「箱根行のロマンスカー」と総称して広告する場合が多く、一般にそう認識されることが多い。
運行概況
基本的には新宿 - 小田原・箱根湯本間通しの運行で、小田原発着列車(及び小田急線内完結)に「さがみ」、箱根湯本発着列車に「はこね」「スーパーはこね」の名称を与えている[1]。運行時間もロマンスカー全体で平日の朝ラッシュ時を除きほぼ1時間3本、土曜・休日は4本程度運行される。また、夕方18時以降に新宿駅を出発する「ホームウェイ」も一部の列車は箱根湯本まで乗り入れる。 また、地下鉄線内に乗り入れる「メトロさがみ」「メトロはこね」については、前者が本厚木→北千住間に1本、後者が北千住 - 箱根湯本間に平日は1往復、土曜・休日は2往復が設定されている。なお、前者は「メトロホームウェイ」を含めて年間30日程度運転する「ベイリゾート」が本厚木 - 新木場間に1往復が設定されているが、同列車の運転日は「メトロさがみ」「メトロホームウェイ」が運休となる。
ただし、停車駅を見ればわかるように「スーパーはこね」を除き運行する列車により停車駅が一定していない。1995年までは名称により停車駅が定まっていたが、箱根への観光輸送から小田原線内の地域輸送・通勤輸送へとシフトしたため停車駅の組み合わせが増やされた。しかし停車駅はおおむねパターン化されており、2012年3月改正現在「はこね」は、平日は町田・本厚木・小田原停車が大半であり、土休日は町田・小田原停車が多数である。また「さがみ」は「はこね」の補完的な役割を果たすため、新百合ケ丘・相模大野・本厚木・秦野・小田原停車が主である。なお新百合ヶ丘に停車する場合は向ケ丘遊園には停車せず、同様に町田停車は相模大野通過、秦野停車は新松田通過である。(逆もあり)
例えば、平日、土曜・休日で構成に小規模ながらも変化があり、例えば平日に上りの「スーパーはこね」は運行されず、回送の間合い運用の関係で本厚木駅発の「はこね」が運行される。
ベイリゾート
東京ディズニーリゾート利用者を主なターゲットとした特急であり、小田急線主要駅と東京ディズニーリゾート最寄駅の舞浜駅を有するJR京葉線との乗換駅である東京メトロ有楽町線新木場駅までを、土曜日など年間30日程度の特定日に、朝(8:04)新木場駅着と、夜(21:00)新木場駅発の1日1往復、60000形「MSE」にて運行した。有楽町線内はゆりかもめとの乗換駅である豊洲駅にも停車し、お台場地区への利用客にも配慮した形になっている。
特急列車ではあるが、運行速度は決して速いものではなく、特に東京メトロ線内では、前後を走る電車との兼ね合いで、多くの途中駅で停車するなど、ゆっくりとしたペースで走る。
なお、有楽町線ホームドア設置の関連で2011年10月以降運行を休止し、[2][3]2012年3月17日のダイヤ改正により正式に運転中止となった。
- 上り「ベイリゾート90号」(8時04分新木場駅着)
- 土曜・休日の朝に運転される「メトロさがみ80号」(本厚木発北千住行)の行き先を新木場に変更。
- 下り「ベイリゾート91号」(21時00分新木場駅発)
- 土曜・休日の夜間に運転される「メトロホームウェイ43号」(北千住発本厚木行)の始発駅を新木場に変更。
運転日(2009年度の場合)
- 1月2日
- 4月 - 2月の各月第2・第4土曜日
- 5月3日 - 5日
- 8月・12月の毎土曜日
停車駅
- 小田急線内:本厚木、町田、新百合ヶ丘、成城学園前(乗車、下車とも可)
- 東京メトロ線内:表参道、豊洲(両途中駅とも上り新木場行き列車からは下車のみ、下り本厚木行き列車へは乗車のみ可)、新木場
この他、代々木上原と霞ケ関で運転停車が行われる[4][5]。どちらの駅でも乗降はできない。
走行路線(上り:新木場行きの場合)
- 下り本厚木行きの場合、霞ケ関駅にて北千住方面ホームに一度停車し(乗降不可)、再び発車後霞ケ関駅の先まで進み方向転換をし、再び霞ケ関駅代々木上原方面ホームに停車(乗降不可)。その後連絡線を通り代々木上原方面に入る。
東京ディズニーリゾート来場での問題点
- 8時04分、新木場駅着では、東京ディズニーリゾートの開園時刻(8:00)に間に合わず、人気アトラクションのファストパスが確保できなかったり、アトラクションの待ち時間が生じる可能性もある。
- 21時00分、新木場駅発では、20時半頃に舞浜駅を出発しなければならず、閉園時刻(22:00)まで滞在できない。
車内サービス
車内サービスとして特筆すべきものとして、車内販売であるワゴンサービスを「スーパーはこね」「はこね」を中心に設定しており、そのうち50000形「VSE」使用列車についてはカフェを備え、軽食のシートサービスを実施している。概要は、小田急ロマンスカー#供食サービスを参照してほしい。
停車駅
会社名 | 東京地下鉄 | 小田急電鉄 | ※ | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
路線名 | 有楽町線 | 千代田線 | 小田原線 | ※ | ||||||||||||||
列車名\駅名 | 列車番号・ 予約コード※ |
新木場駅 | 豊洲駅 | 北千住駅 | 大手町駅 | 霞ケ関駅 | 表参道駅 | 新宿駅 | 成城学園前駅 | 向 ヶ 丘遊園駅 |
新百合 ヶ 丘駅 |
町田駅 | 相模大野駅 | 本厚木駅 | 秦野駅 | 新松田駅 | 小田原駅 | 箱根湯本駅 |
「スーパーはこね」 | 07xx | ● | - | - | - | - | - | - | - | - | ● | ● | ||||||
「はこね」 | 00xx | ● | - | - | - | ● | - | - | - | - | ● | ● | ||||||
平日の 「さがみ68・70号」 |
06xx | ● | ← | ← | ← | ← | ← | ● | ● | ← | ● | |||||||
「はこね」 「さがみ」(上りのみ) |
01xx | ● | - | - | - | ● | - | ● | - | - | ● | ○ | ||||||
「はこね」 「さがみ」 |
03xx | ● | - | - | ● | - | ◎ | ● | ● | - | ● | ○ | ||||||
02xx | ● | - | ● | - | ● | - | ● | - | ● | ● | ○ | |||||||
「メトロはこね」 | 042x | ● | ● | ● | ● | = | ● | - | - | ● | - | - | - | - | ● | ● | ||
「メトロさがみ」 | 0470 | ● | ● | ● | ● | = | ← | ← | ← | ● | ← | ● | ||||||
0480 | ● | ● | ● | ● | = | ● | ← | ● | ● | ← | ● | |||||||
「ベイリゾート」 | 089x | ● | ● | = | = | - | ● | = | ● | - | ● | ● | - | ● |
- 凡例
- ●…停車
- ◎…相模大野で「えのしま」と分割又は併結の場合がある
- ○…「はこね」のみ入線し停車(「さがみ」は乗り入れない)
- -…通過(矢印はその方向のみ運行)
- =…経由しない
- 「メトロはこね」と新宿を10両で発着するEXEの「はこね」は片瀬江ノ島方面との併結を除き小田原で分割・併合を行う。
- ※ 予約コードは、列車番号のうち上1桁目の「0」を抜く。また、下二桁のxxは以下の通り。
- 1 - :「(メトロ/スーパー)はこね」
- 60 - :「(メトロ)さがみ」
- 東京地下鉄線に乗り入れる列車については代々木上原駅に停車するが、全列車が運行乗務員交代のための運転停車であり、客扱いは行わない。なおロマンスカーアテンダントは交代せず、小田急レストランシステムの社員が全区間通して乗務する。
- イベント開催などに際し、定期列車が参宮橋駅・伊勢原駅・開成駅などに臨時停車する場合がある。同様に、臨時列車も運転されることがある。
車両
「」付きの愛称がある車両については、特急専用車両として使用されている、または使用されたものである。
現用車両
2012年時点では、全ての「スーパーはこね」は50000形「VSE」で運行されている。(休日の一部運転日を除く)
「はこね」は現用車両のすべてで運行されている。また、新宿 - 相模大野間を「えのしま」と併結して走る列車はEXEのみで運行される。
「さがみ」はVSE以外の車両で運行されている。また、新宿 - 相模大野間を「えのしま」と併結して走る列車はEXE及びMSEで運行される。
「えのしま」はVSE以外の車両で運行されている。また、新宿 - 相模大野間を「あさぎり」と併結して走る列車はMSEのみで運行される。「はこね」「さがみ」と併結して走る列車はEXE及びMSEで運行される。
「あさぎり」はMSEのみで運行される。
「ホームウェイ」はVSE以外の車両で運行される。
「メトロはこね」「メトロさがみ」「メトロホームウェイ」はMSEでのみ運行されている。
ただし、車両点検等により他形式での運行になる場合もある。
- OER RomanceCar Super Hakone -LSE old color-.jpg
50000形「VSE」の代走として走る7000形「LSE」「スーパーはこね」
(2007年12月5日 登戸駅) - OER Romancecar Hakone & Enoshima.JPG
相模大野駅にて分割・併結が行われる30000形「EXE」「はこね・えのしま」
(2007年3月28日 新百合ヶ丘駅) - OER-EC50000-1.jpg
鶴川駅に進入中の50000形「VSE」(2005年3月21日)
- Odakyu60000 mse metoro-hakone.jpg
60000形「MSE」「メトロはこね」
(2008年6月1日 新百合ヶ丘駅)
過去の車両
- 1600形…「戦災復興車」として整備されたロングシート車両。
- 1910形…クロスシート車両で製造された戦後最初の車両。
- 1700形
- 2300形
- 2320形…沿革中にある準特急に主に充当された。セミクロスシート車両
- 3000形「SE」「SSE」
- 3100形「NSE」
- 10000形「HiSE」
- 20000形「RSE」…「あさぎり」を中心とした運用が組まれていたため、「はこね」での運用は土曜・休日のみであった。
- OER-3100-NSE-Super-Hakone.jpg
3100形「NSE」「スーパーはこね」
(1996年10月12日 和泉多摩川 - 登戸) - OdakyuSeries10000HighDeckerSuperExpress.JPG
10000形「HiSE」「はこね」
(2007年6月30日 新宿 - 南新宿) - OER Romancecar Hakone -RSE-.JPG
土曜・休日に限り運行していた20000形「RSE」「はこね」
(2007年11月23日 登戸駅)
沿革
- 基本的には無停車・座席指定制とされ、土曜の午後に新宿を発車する形で運行。
- 1942年(昭和17年) - 太平洋戦争の戦時体制強化によって「週末温泉特急」が運行休止し、会社は東京急行電鉄(大東急)に合同。
- 1948年(昭和23年) - 東急から分離。また同年座席定員制の特別急行券を徴収する列車として、新宿 - 小田原間に特急を週末に限り運行開始。
- 運行当初は専用車両ではなく戦災復興車両として整備された通勤形車両である1600形により運行される。
- 1949年(昭和24年) - 特急に専用車両1910形が就役。いわゆる「ロマンスカー」のはしりとされる。また、同車投入時より「走る喫茶室」サービスを開始する。
- 1950年(昭和25年) - 箱根湯本乗り入れに伴い特急列車を毎日運行に変更。
- 1951年(昭和26年) - 専用車両として1700形が就役。また、特急に座席指定席制を採用。
- 1953年(昭和28年) - 多客時に専用車両による特急列車の補完として自由定員制の「サービス急行」を運行開始。休前日運転とし、新宿駅 - 小田原駅間無停車で運行。
- 1955年(昭和30年) - 2300形就役。
- 1957年(昭和32年) - 特急専用車両として3000形「SE」が就役。
- 1959年(昭和34年) - 自由定員制の「サービス急行」の名称を準特急に変更。2300形・2320形が充当される。
- 1963年(昭和38年) - 3100形「NSE」就役。これにより特急は30分ヘッドの運行が可能になり、準特急の運行が廃止される。また、列車愛称を「あしがら」「あしのこ」「きんとき」「はこね」「おとめ」に整理。出発順に「第n『愛称名』」の形式で運行。
- すでに記したように、それまでは列車ごとに愛称を設定。その結果、この時の愛称整理が行われる前は特急だけでも「あしのこ」「明星」「あしがら」「さがみ」「大観」「仙石」「はつはな」「湯坂」「明神」「はこね」「乙女」「神山」「姥子」「金時」「早雲」「夕月」、さらにその補完列車(準特急)に「須雲」「桔梗」「もみじ」「きく」「高原」(1960年〈昭和35年〉3月改正時・当時特急は16往復)といった多種多様の愛称が付けられることとなる。
- 1966年(昭和41年) - 中間停車駅を有する「さがみ」の運行を開始。停車駅は向ヶ丘遊園と新松田のみ。また、従来の新宿 - 小田原間無停車列車に「はこね」の名称を専属で与える。「あしがら」「あしのこ」「きんとき」「おとめ」の愛称消滅。
- 1967年(昭和42年) - 「さがみ」と並んで中間停車駅を有する特急として「あしがら」の運行を開始し、愛称が1年ぶりに復活した。停車駅は新原町田(現:町田)のみ。なお、運行当初は朝上り・夕方下り合わせて5本であったことから、これを「通勤特急」格とする。
- 1968年(昭和43年) - 「さがみ」、本厚木駅に停車開始。
- これ以降、「はこね」と「さがみ」「あしがら」の名称と停車駅との変更は1990年代に入るまでなく「箱根特急」の色彩が強い「はこね」と区間特急として運行される「さがみ」「あしがら」とに分かれる。また、主に午後に発車する新宿 - 箱根湯本間列車について平日は町田停車の「あしがら」、休前日と休日は町田通過の「はこね」として同じ時刻で曜日ごとに異なる列車名で運行。
- 1980年(昭和55年) - 7000形「LSE」就役。
- 1987年(昭和62年) - 10000形「HiSE」就役。
- 1991年(平成3年) - 「はこね」に20000形「RSE」が就役。この車両には東海旅客鉄道(JR東海)との共同運行となった「あさぎり」に使用する関係でJRのグリーン席に相当する「スーパーシート」を設定。小田急線内でも料金を設定して使用したため、初めて2クラス制を採用する。
- 1995年(平成7年)3月4日 - 「あしがら」の一部列車が本厚木駅に停車するようになる。
- 1996年(平成8年)3月23日 - 30000形「EXE」就役。「はこね」のほとんどの列車が町田駅に停車するようになったため町田駅を通過する「はこね」を「スーパーはこね」に改称。新宿 - 町田間で「あしがら」又は「はこね」と「えのしま」との併結運転を開始する。また「あしがら」に秦野駅発着列車を設けたことから朝夕の一部の列車が停車するようになる。
- 1998年(平成10年) - 「えのしま」と併結運転の「あしがら」又は「はこね」の停車駅及び分割・併合を従来の町田駅から相模大野駅に変更。
- このうち、「サポート」は社内、「ホームウェイ」は一般、それぞれの公募によって決定。
- 2002年(平成14年) - 「サポート」の一部(相模大野停車のすべて)が新百合ヶ丘駅に停車するようになる。
- 2004年(平成16年) - 列車名の名称を停車駅基準から行き先別とする。「サポート」が廃止、「さがみ」が復活。
- 「スーパーはこね」:新宿 - 箱根湯本発着列車のうち小田原のみ停車する列車(変更なし)。
- 「はこね」:新宿・小田原両駅以外にも停車する箱根湯本発着列車。
- 「さがみ」:小田原線内完結列車。
- 2005年(平成17年) - 50000形「VSE」就役。
- 2008年(平成20年) - 60000形「MSE」就役。「メトロはこね」「メトロさがみ」「ベイリゾート」運行開始。
- 2011年(平成23年) - 「ベイリゾート」運行休止。
- 2012年(平成24年)3月16日 - 10000形「HiSE」、20000形「RSE」退役。これに伴いスーパーシートの設定が廃止される。
- 60000形「MSE」での「はこね」「さがみ」の定期運用開始。
- 「メトロはこね」を平日にも1往復を設定、毎日運行とし全列車が成城学園前に停車開始。
- 2013年(平成25年)3月23 - ダイヤ修正実施により、土曜休日のさがみ・えのしま65号、さがみ・えのしま80号がそれぞれ、はこね・えのしま15号、はこね・えのしま16号に変更される。
出典・脚注
関連項目
テンプレート:Navbox- ↑ ただし箱根湯本行きロマンスカーと併結する小田原発着列車は「はこね」で運転される。
- ↑ 三栄書房『鉄道のテクロノジー』通巻12号 p.126
- ↑ テンプレート:PDFlink - 小田急電鉄ニュースリリース 2011年8月9日
- ↑ 『鉄道ファン』(交友社刊)2008年5月号 P.72 「小田急電鉄60000形 MSE運用情報」より
- ↑ テンプレート:PDFlink(2011年1月26日閲覧)