深蒸し茶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:出典の明記

ファイル:Fukamushicha.jpg
深蒸し茶を淹れたところ

深蒸し茶(ふかむしちゃ)は茶の製造方法の一種で、煎茶、玉緑茶、玉露、かぶせ茶などに用いられる。当然ながら、釜炒り茶に深むし茶はない。生茶葉から煎茶を造る最初の工程である「蒸し」の時間を、1分から3分程度と長く取るものを深むし茶という。茶葉を乾燥したり揉んだりする前に、茶葉の細胞がほぐれ成分が出るように通常は10秒から1分程度蒸す。静岡など日照時間が長い地域で栽培された茶葉は肉厚となるため、従来の製茶方法では青臭さが残り、旨みの抽出も少なくなることから深蒸し製法が採用された。深蒸し茶は通常、深緑色で濁って見える。九州においては、被覆栽培されたものを深蒸し茶にするケースが多い。また、蒸し機の回転数を極端に上げ、茶の葉を粉砕したものを深蒸し茶といって販売されている場合もある。

深蒸し茶の歴史

深蒸し茶の製法の確立には諸説あり、一概にどこの町で開発されたとは言えないが、昭和30年代から40年代初頭までに牧之原台地一帯で改良を続けながら製法が確立したとされる。現在、菊川市牧之原市掛川市島田市が深蒸し発祥の地として名乗りをあげている。しかし、歴史的文献がないため、明確な深蒸し発祥の地の特定には至っていない。 現在はいろいろなところで深蒸し茶を販売するようになり、特許侵害のようにも思えるが、深蒸し茶は特許を取得していない。 牧之原台地は、平成の合併以前は榛原郡金谷町榛原町相良町小笠郡小笠町菊川町に区分けされ、平成の合併以降も島田市牧之原市菊川市の3市にまたがる台地であり、またもともと入会地であったために権利関係の交錯した場所でもあったため、過去幾度にもわたって町境の変更が行われている。

参考

  • 蒸し時間が10秒から20秒程度を浅蒸し茶手揉み茶はこの部類が多い)、20秒から1分程度を普通蒸し茶と呼ぶ向きもあるが、製茶用語としてはあまり定着していない。
  • 長い蒸し時間によって香りが弱くなるため、玉露などをブレンドして香りを補うことがある。
  • 性質上、粉のように細かい葉が多くなりがちなので、急須の目詰まりを起こしやすい。しかし深蒸し茶用急須を使うことで、目詰まりを起こしにくくなる。
  • 2011年1月12日のNHKためしてガッテン、さらに2011年1月21日のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」の放送において静岡県掛川市の深蒸し茶が長寿に効果があると放映されたが、これは人口10万人以上の市町村に限定して平均余命を調査した結果として掛川市が注目されたもので、深蒸し茶の効能は掛川産のみならず、静岡県の深蒸し茶であれば同様の効果が得られる。製造過程の特徴で「深蒸し茶」と命名されており「掛川市」の製法が他地域と異なるものではない。