海底二万哩
テンプレート:Portal ディズニー テンプレート:Infobox Film 『海底二万哩』(かいていにまんマイル、原題:20000 Leagues Under the Sea)は、1954年のアメリカ映画。ジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万里』を、ウォルト・ディズニーが映画化した作品である。日本におけるDVD版は、『海底2万マイル』のタイトルで発売されている。
ストーリー
19世紀後半、世界各地の海で船舶が謎の怪物に襲われ沈没する事件が相次いだ。アメリカ合衆国政府は海洋学者アロナクス教授による調査艦を派遣したが、怪物の体当たりにより沈没してしまった。怪物の正体は謎の人物ネモ艦長の操る潜水艦、ノーチラス号で、教授と助手のコンセイユ、銛打ちの名手ネッドは艦内に捕らわれ、ネモ艦長と行動を共にせざるを得なくなる。
概要
フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの古典SFの名作『海底二万里』の映像化としては、1916年のユニバーサル・ピクチャーズの『海底六万哩』[1][2]などがあったが、本作は初のスコープ・サイズ、カラー作品で、当時はアニメーション製作を主体としていたウォルト・ディズニーが、実写版として製作した映画である。時代設定や大筋は原作に沿っているが、脚色も加えられ、特に結末は原作と異なったものになっている。
監督のリチャード・フライシャーはディズニーの競争相手だったアニメ作家マックス・フライシャー[3]の息子である。リチャード・フライシャー自身はドキュメンタリー・フィルムを中心に活動してきた人物で、1947年に "Design for Death" でアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞していた。本作の後、ミクロ化した潜水艇が人体内部を航行するSF映画『ミクロの決死圏』や、大作『トラ・トラ・トラ!』などを手がけている。撮影のフランツ・プラナーは『ローマの休日』の撮影監督で、同作を含め6回アカデミー撮影賞にノミネートされることになる人物であった。また、音楽のポール・J・スミスは『ピノキオ』などの音楽を手がけ、同作でアカデミー作曲賞を受賞している。
特撮は、特殊効果を『シンデレラ』などに参加した、ジョン・ヘンチとジョシュア・ミードーが担当。視覚効果を、『メリー・ポピンズ』でアカデミー視覚効果賞を受賞するピーター・エレンショー、『ロスト・ワールド』にも参加しアカデミー賞の技術効果賞などに3度ノミネートされたラルフ・ハメラスらが担当した。劇中に登場するノーチラス号のデザインは、ハーパー・ゴフによるもの[4]で、ディズニーランド・パリにあるディスカバリーランドのアトラクション、ノーチラス号のミステリーや、東京ディズニーシーのミステリアスアイランドに停泊しているノーチラス号は、その再現である。
出演は、アカデミー賞に3度ノミネートされることになるカーク・ダグラスとジェームズ・メイソン、『ラインの監視』でアカデミー主演男優賞を受賞したポール・ルーカスらであった。また、ピーター・ローレは後に原子力潜水艦の活躍を描いたSF映画『地球の危機』に出演し、また『八十日間世界一周』や『気球船探検』にも出演してヴェルヌ原作の映画に縁のある俳優でもある。
本作はアカデミー美術賞と同特殊効果賞を受賞した。また、同編集賞にもノミネートされている。
登場人物
- アロナックス
- 本作の主人公で語り部の、海洋生物学者。
- 連続沈没事故について、新聞の取材の中で「怪物がいるのではないか」と発言したことにされてしまい、それが元でアメリカの調査艦に同乗する。が、ノーチラス号による体当たりによって船が沈没。助手のコンセイユ、銛打ちのランドと共に、ノーチラス号に保護される。
- ネモ船長には「仲間のために命を張れる人間」と評価され、最も親しくなる。ネモの過去や、ノーチラス号の秘密の動力についても、彼だけが特別に見せてもらった。彼の論文は、ネモもよく読んでいた。
- コンセイユ
- アロナックスの助手。
- 調査艦から投げ出された教授を追って自らも飛び込むなど、教授に対して忠実な男。だが、ノーチラス号に入ってからは、ネモ船長と親しくなるアロナックスと距離が生じ、ランドと共に話す機会も増える。
- ネッド・ランド
- 銛打ちとして調査艦に雇われていた、ギター好きな陽気な男。調査艦の上で歌を披露したり、ノーチラス号に拾われてからも貝殻や骨を使ってギターを自作するほど。
- 血気の盛んなところがあり、度々トラブルを起こす。ネモ船長とは相性が悪い。
- 銛打ちとしての腕は確かで、ノーチラス号に襲い掛かりネモ船長を食い殺そうとしていた大イカを、急所に一発で銛を打ち込んで仕留めた。また、触手に絡めとられたまま海に引きずりこまれたネモを助けたり、潜水するノーチラス号の甲板上にしがみ付き続けるなど、屈強な肉体も持つ。
- ネモ船長
- ノーチラス号の船長。19世紀末としてはありえない技術の結晶であるノーチラス号を作り出した天才。
- ノーチラス号を操って、世界各国の海で艦船を沈めて回っている。
- 海底世界を異常に愛しており、反面、地上を嫌悪する。酸素補給と艦船攻撃の際ぐらいしか浮上したり地上に上がったりすることはなく、それ以外の食事や電力などは全て海産物でまかなっている。
- ある国の軍が秘密裏に開発している孤島で、火薬や武器の開発のための奴隷として使役されていた過去を持つ。異常に地上を嫌悪し、艦船を攻撃するのもそのため。
- 少なからず常軌を逸した面があるものの、基本的には理知的で紳士的な人物。読書家で、アロナックスの論文を愛読していた。勇敢でもあり、ノーチラス号に巻きついた大イカに自ら戦いを挑む。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
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TV版 | ポニー版 | ブエナビスタ版 | ||
ネッド・ランド | カーク・ダグラス | 宮部昭夫 | 江原正士 | 岸野幸正 |
ネモ艦長 | ジェームズ・メイソン | 横内正 | 佐古正人 | |
アロナクス教授 | ポール・ルーカス | 内田稔 | 小川真司 | |
コンセイユ | ピーター・ローレ | 龍田直樹 | ||
ノーチラスの一等航海士 | ロバート・J・ウィルク | 曽我部和恭 | ||
ブレティン誌記者 | デイトン・ルーミス (ノンクレジット) |
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ファラガット艦長 | テッド・デ・コルシア | 西村知道 | ||
ビリー | J・M・ケリガン | 辻村真人 | ||
ポスト誌記者 | ジャック・ガーガン (ノンクレジット) |
安西正弘 |
スタッフ
- 製作:ウォルト・ディズニー
- 監督:リチャード・フライシャー
- 原作:ジュール・ヴェルヌ
- 脚本:アール・フェルトン
- 音楽:ポール・J・スミス
- 撮影:フランツ・プラナー
- 編集:エルモ・ウィリアムズ
- 特殊効果:ジョン・ヘンチ、ジョシュア・ミードー
- 美術:ジョン・ミーハン
- セット:エミール・クーリ
リメイク
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが、2010年頃の公開を目指し、本作の再映画化を進めている[5][6]。2013年6月より撮影がオーストラリアで行われる予定だったが、2014年まで延期すると発表された[7]。
脚注
外部リンク