沈没
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沈没(ちんぼつ、sinking)は、船舶・舟艇などが水没すること。沈没した船は沈没船と呼ばれる。
概要
船舶のほか、固定した水上施設(海上プラットフォーム、桟橋、メガフロートなど)、航空機(水上に墜落・不時着した後、あるいは水上機)などについても用いる。
潜水艦などについては、もちろん水中での運用は沈没ではなく、深度の制御が不能となり、自力で浮上できなくなった場合、「沈没」とされる。
必ずしも船体全部が水中に没するとは限らず、浅瀬などでは着底後も船橋など上部構造物の一部が水上に露出したままの場合もある。
沈没と法律上の扱い
- 日本船舶が沈没したときは船舶所有者はその事実を知った日から2週間以内に抹消登録し、遅滞なく船舶国籍証書を返還しなければならない(船舶法14条1項)。
- 船長は船舶が沈没したときは国土交通大臣にその旨を報告しなければならない(船員法19条)。
- 船舶が沈没した場合には船員の雇入契約は終了する(船員法39条1項)。
- 船員保険において、船舶が沈没した際、現にその船舶に乗っていた被保険者若しくは被保険者であった者の生死が3か月間分からない場合又はこれらの者の死亡の事実が3か月以内に明らかとなったが具体的な死亡時期が分からない場合には、葬祭料、障害年金差額一時金、遺族年金、遺族一時金及び遺族年金差額一時金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没した日にその者は死亡したものと推定される(船員保険法42条)。
比喩的表現
大辞泉によると、遊びに夢中になって仕事や用事を忘れてしまうこと。という意味があることから、長期間の海外個人旅行をしているバックパッカーなどが、旅行の本来の目的である観光を中断し、一つの街への滞在を目的としてしまうことを「沈没」と呼ぶ。1996年に「旅ときどき沈没」(著:蔵前仁一 ISBN 978-4938463380)が出版されていることから、1990年代から使われてきた。日本人旅行者には、主に東南アジアの都市で、宿泊施設や食事などの物価が安く、比較的治安が良く、ビザの取得が容易で、風光明媚な場所、日本人宿が存在する場所が好まれている。
「沈没」を目的として海外に長期滞在する人もおり外こもり(そとこもり、ひきこもりをもじった表現。)と呼ばれることもある。
参考文献
- 『日本を降りる若者たち』 著:下川裕治 ISBN 978-4-06-287917-0
- 『外こもりのススメ 海外のほほん生活』 著:安田誠 ISBN 978-4-344-81378-6