水晶の龍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox水晶の龍』(すいしょうのドラゴン)は、スクウェア(現・スクウェア・エニックス)より1986年12月15日に発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステムゲームソフト。スクウェアがDOG(Disk Original Group)ブランドで発売した作品で、コマンド選択型のアドベンチャーゲーム

概要

SF的な設定の舞台で、宇宙空間に現れた水晶の龍の謎、人々、シンシア、ナイルの失踪事件を調べる少年ヒューを主人公プレイヤーとして操作する。

スクウェアが当時から得意だったアニメーションを多用したビジュアルシーンは、本作品でも特に女性の絵を中心に発揮された。また、本編中のキャラクターデザインと作画協力を佐藤元、アニメーション部分を日本サンライズ(現・サンライズ)が担当した点でも話題を呼んだ。

発売直後の1986年に上記のアニメーションとともにシンシアの声が挿入されたテレビCMが放映された。

ゲームストーリー

ある日、ガールフレンドのシンシアにシャトルでの宇宙遊泳に誘われたヒュー。楽しい時間を過ごす彼らだったが、突如目の前に噂に聞いたあの「水晶の龍」が! シンシアのシャトルは破壊され、ヒューも強烈な衝撃を受け、目の前が真っ暗になった。気が付くとそこは別の宇宙船の中。そばにはユージンと名乗る見知らぬ女性がいた。ヒューはシンシア、ナイルの行方を追うべく行動を開始した。

ゲームシステム

十字キーのみを操作すると、黒い矢印型のカーソルが画面内を動く。また画面上方にはコマンド(行動内容)を表すアイコンが並んでおり、これはBボタンを押しながら十字キーを左右に入力することで点灯箇所が動く。Aボタンを押すことで、選択したコマンドが前述の矢印カーソルの指し示す場所で実行されるようになっている。

コマンドは全部で9種類ある。以下に画面左側にあるものから順に記述する。これらとは別に、セレクトボタンを押すことで現在所持するアイテムを確認できる機能もある。いずれも途中でキャンセルするにはスタートボタンを押す。

なお、ゲーム中にリセットボタンを押すとゲームスタート直後のドラゴン出現シーンに戻るが、ゲームの進行状況によっては指示に従ってディスクカードの裏面をセットする作業を要する。

移動
放射状に4方向に広がる矢印で表されたコマンド。
見る / 調べる
目を象った絵で表されたコマンド。
取る / もらう / 買う
物を拾い上げる手で表されたコマンド。
話す
口を象った絵で表されたコマンド。
使う
親指を立てた手で表されたコマンド。
開ける / 閉める
ドアを象った絵で表されたコマンド。
操作する
ボタンのようなものを押す手で表されたコマンド。
手放す
投げ捨てられた物の絵で表されたコマンド。
セーブ / ロード
ディスクカードを象った絵で表されたコマンド。

登場キャラクター

ヒュー・ルーカス
本作の主人公。シニアスクールの3年生。14歳。
シンシア・レクセリアス
本作のヒロイン。
ナイル・アジャンダ
ヒューの親友。12歳。
ユージン
ヒューを助けた謎の美女。
おばば
街外れの研究所にいる科学者。本名は不明。
バヌーガ
実体を持たない悪魔。本作の最終ボスにあたる。
トモちゃん
当時人気だった女性アイドルグループ少女隊」のメンバー。ゲーム中のある場所と、取扱説明書漫画にゲスト出演している。この漫画の作者でもある佐藤元は、彼女の大ファンであったという[1]

「ウソ技」に関するエピソード

広告等にも使用された冒頭でのヒロインの1人であるシンシアが手を広げているシーンにおいて、当時のゲーム雑誌ファミリーコンピュータMagazine』の裏技紹介コーナーで「この場面からヒロインのシンシアと野球拳ができる」としてシンシアの服が一枚ずつ脱げていく画像写真が掲載された。

ただしこれは、読者プレゼント用クイズを兼ねて、他誌による情報の盗用を避けるために同誌が掲載していたウソ技(ウソテク、嘘の裏技)だったため、再現は不可能である。画像は、編集部が手間隙をかけて本物らしく加工したものである。企画段階では単に「シンシアとジャンケンができる」という程度の内容だったのが、画像処理スタッフが手だけでなく服まで加工をはじめ、結果としてこのような形になったという。なお、当時の任天堂の規定では人物のへそが見えるゲーム画像を禁止していたので、その観点からもありえない技である[2]

このウソ技が誌面に掲載後、このソフトの在庫が無くなってしまい、書き換えの回数が増えたといわれている[3]。イラストを手掛けた佐藤の下にもたくさんの問い合わせが来て、中にはウソ技に関与していたのではないかと誤解されたこともあった[4]。佐藤自身も実際にこのウソ技を試したものの上手くいかなかったため、『テクノポリス』の関係者に問い合わせたところ、ウソだということを知りショックを受けている。なお、このウソ技を逆手にとって、『THE 銭湯』に野球拳ネタを仕込んでいる[4]

ゲームはプレイしたことがなくてもこのウソ技だけ知っているという子供は多かった。平野耕太原作の漫画進め!!聖学電脳研究部』でもこのことに触れている。なお2007年現在、このウソ技をフラッシュムービーで再現した物がある。

関連書籍

脚注

  1. 取扱説明書40ページより
  2. GAME SIDE』(マイクロマガジン社)Vol.08 P.44
  3. 『超実録裏話ファミマガ』P.98
  4. 4.0 4.1 『超実録裏話ファミマガ』P.101

外部リンク