歳時記
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歳時記(さいじき)は、「歳事記」とも書き、もともと四季の事物や年中行事などをまとめた書物のことであったが、江戸時代以降の日本では主として俳諧・俳句の季語を集めて分類し、季語ごとに解説と例句を加えた書物のことを指す。現存する最古の歳時記は6世紀の中国・荊楚地方の年中行事を月ごとにまとめた『荊楚歳時記』であり、これが奈良時代に日本に伝来し「歳時記」という呼称が知られるようになった。日本独自の歳時記としては貝原益軒による『日本歳時記』(1688年)が始まりとされる。
一方、季語を収集した「季寄せ」や四季別の類題集句集は連歌のころから存在していたが、両者の要素を組み合わせたものとしては北村季吟の『山の井』(1647年)が最初であった。この種の書物で「歳時記」の名を最初に使ったのは滝沢馬琴の『俳諧歳時記』(1803年)で、明治になっても増補版が翻刻されていた。
1872年12月より日本に太陽暦が導入され、歳時記の内容に大きな混乱をもたらした。1874年の『俳諧貝合』(香夢)が陽暦による最初の歳時記であり、同年序の『ねぶりのひま』(四睡庵公壷編)では四季とは別に新年の部を立て、立春を2月において陰暦から1ヶ月遅れで調整しており、現在の歳時記の多くがこの方法を引き継いでいる。その後改造社の『俳諧歳時記』(1933年、全5巻)が出て近代の歳時記の体裁が整えられた。
参考文献
- 『現代俳句大事典』 三省堂、2005年
- 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年