徳山バイパス
テンプレート:Infobox road 徳山バイパス(とくやまバイパス)は、徳山ダム建設に伴う国道417号付替道路である。加えて、旧道の冬季通行止めや大型車のすれ違い困難といった諸問題を解消する目的も兼ね備えている。2006年9月22日に全線が供用開始された。本項では、徳山バイパス以外の付替道路についても記述する。
概要
徳山ダム建設に伴い、揖斐川沿いを走るこれまでの国道417号はダム湖に水没するため、既存道路の機能回復を目的にその付替道路として建設された。国道417号は主要地方道鯖江藤橋線が昇格した路線であり、それ以前は村道として整備されていたため、狭隘道路区間・線形不良区間が点在し、冬期には積雪による通行不能区間も存在した。そのため、付替工事ではそれらの諸問題の解消も併せて行っている。
2000年5月23日、付替道路の一部(鶴見ダムサイト線、および漆原乙女隧道までの区間)は、徳山ダムの工事用道路を兼ねて先行して供用が開始された。残りの区間について、当初はダム湖の湖岸沿いにバイパス道路を建設する計画だったが、計画ルートがイヌワシ・クマタカ等の猛禽類の行動範囲と重なったため、線形を見直して該当箇所をトンネル区間に変更した。同様に付替道路の建設に伴う地形改変(法面や擁壁の設置)を低減するため、全線に渡ってトンネル化・橋梁化を図った。それによりトンネル区間は全体の約7割、橋梁区間は約2割となり、改変面積を大幅に減少させている。
2006年9月22日、揖斐川町塚に至るバイパス道路の完成に伴い、徳之山八徳橋の橋上で開通式典を実施し、同日午後2時より全線が供用開始された。
また、事業中の冠山峠道路と接続する事により、岐阜県と福井県の短絡ルートとしても期待されている。国道417号は冠山付近が未整備であり、冠山峠を経由する林道冠山線を代替路として使用している。2012年現在、冠山直下を通る冠山トンネル及び冠山峠道路は事業中のため、徳山バイパスの終点は簡易ヘリポートを兼ねた駐車場として整備されており、その先は徳山ダムの管理用道路である仮付替道路(冠山連絡道路)を経て塚冠山林道(林道塚線と林道冠山線の共用区間)と接続している。
路線データ
- 起点:岐阜県揖斐郡揖斐川町鶴見
- 終点:岐阜県揖斐郡揖斐川町塚
- 事業延長:13.7km(付替国道全体では18.8km)
- 構造規格:第3種第4級
- 設計速度:50km/h
- 車線数:2車線
- 道路幅員:7.0m(一部のトンネルは6.5m)
- 事業期間:1990年度(平成2年度) - 2006年度(平成18年度)
- 計画交通量:1,500台/日
- 全体事業費:151億円
沿革
- 1990年度:事業化(都市計画決定なし)
- 1990年度:用地買収に着手
- 1990年度:着工
- 2000年5月23日:藤橋村(現揖斐川町)鶴見 - 藤橋村開田間、一部供用開始
- 2006年9月22日:開通式典実施、全線供用開始
主な構造物
下記は鶴見ダムサイト線、及び徳山バイパスの構造物一覧である。これらのトンネルや橋の名称には、旧徳山村の地名や名勝、伝説や伝承を基に命名されている。なお、トンネルは全て「隧道」と表記されている。難読地名から付けられた名称も多いので、振り仮名も併記する。
道路名 | 施設名 | 名称の読み方 | 完成年 | 全長 | 建設時名称 | 備考(構造、その他) |
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鶴見ダムサイト線 | 鶴見杉原橋 | つるみすぎはらはし | (111m) | |||
池太沢夜叉隧道 | いけんだざわやしゃずいどう | 1982年8月 | [1]881.0m | 鶴見トンネルとも呼ばれる | ||
藤橋川太郎橋 | ふじはしかわたろうばし | (126m) | ||||
花房猿巻橋 | はなふささるまきはし | (21m) | ||||
花房ビッキ橋 | はなふさびっきはし | (20m) | ||||
雷倉大岩魚橋 | かみなりくらおおいわなばし | (225m) | ||||
犬返歩危橋 | いぬかえりほきばし | (86m) | ||||
はるま平太郎橋 | はるまへいたろうばし | (193m) | ||||
小津瀬くらしし橋 | おづせくらししばし | (61m) | ||||
小津瀬もるぞ橋 | おづせもるぞばし | (41m) | ||||
小津瀬天狗橋 | おづせぐひんばし | (97m) | ||||
境の尾一里岩隧道 | さかいのおいちりいわずいどう | 1993年12月 | [2]761.0m | |||
大津瀬こえぐら橋 | おおづせこえぐらばし | (66m) | ||||
大津瀬三本松橋 | おおづせさんぼんまつばし | (110m) | ||||
徳山バイパス | (徳之山悠久橋) | とくのやまゆうきゅうばし | ダム公園及びダム堤体道路への連絡橋 | |||
大徳之山隧道 | だいとくのやまずいどう | 1993年5月 | (953m) 〔232.0m〕 |
建設時は3本のトンネルだったが、 現在は一体化されている[3] | ||
院谷百丈滝見橋 | いんだにひゃくじょうたきみばし | (63m) | ||||
美徳千丈滝見橋 | びとくせんじょうたきみばし | (55m) | ||||
雪姫万丈滝見橋 | ゆきひめばんじょうたきみばし | (94m) | ||||
道場山隧道 | どうじょうやまずいどう | 1996年10月 | 431.5m | |||
鏡山恵水橋 | かがみやまけいすいばし | 240m | 5号橋 | 3径間連続PCラーメン箱桁橋 | ||
漆原乙女隧道 | しっわらおとめずいどう | 1996年7月 | 559.0m | |||
徳之山八徳橋 | とくのやまはっとくばし | 2006年6月 | 503.0m | 6号橋 | 3径間連続PCエクストラドーズド箱桁橋 | |
洞山鬼岩隧道 | ほらやまおにゅわずいどう | 2006年7月 | 330.0m | 5号トンネル | NATM工法 | |
クツ尾山之神橋 | くぞやまのかみはし | 126.0m | 7号橋 | 3径間連続非合成箱桁橋 | ||
クツ尾杉の木橋 | くぞすぎのきはし | 36.0m | 8号橋 | 単純非合成鈑桁橋 | ||
クツ尾みかぐら橋 | くぞみかぐらはし | 66.5m | 9号橋 | 2径間連続非合成鈑桁橋 | ||
クツ尾ギソ見橋 | くぞぎそみはし | 47.0m | 10号橋 | 単純非合成鈑桁橋 | ||
つだウズキ橋 | つだうずきはし | 42.0m | 11号橋 | PC単純コンポ橋 | ||
クツ尾ゴンニョ橋 | くぞごんにょはし | 26.5m | 12号橋 | 単純非合成鈑桁橋 | ||
本郷カンタク隧道 | ほんごうかんたくずいどう | 2006年7月 | 1,630.0m | 6号トンネル | ||
漆谷上原橋 | しったにあんぎゃらはし | 322.5m | 17号橋 | 3径間連続PCラーメン箱桁橋 | ||
カンノセ合掌隧道 | かんのせがっしょうずいどう | 2006年6月 | [4]1,462.0m | 7号トンネル | NATM工法 | |
磯谷ベロリ橋 | いそんたにべろりはし | 252.0m | 25号橋 | 3径間連続PCラーメン箱桁橋 | ||
櫨原義徳隧道 | はぜはらぎとくずいどう | 2006年7月 | 1,292.0m | 9号トンネル | NATM工法 | |
扇谷姫街道橋 | おうぎたにひめかいどうはし | 280.0m | 27号橋 | 3径間連続PCラーメン箱桁橋 | ||
村平コト谷橋 | むらたいらことたにはし | 69.5m | 28号橋 | 2径間連続非合成鈑桁橋 | ||
シッペ由定橋 | しっぺよしさだはし | 119.0m | 29号橋 | 2径間連続PCラーメン箱桁橋 | ||
塚白椿隧道 | つかしろつばきずいどう | 2006年3月 | [5]3,330.0m | 10号トンネル |
- 全長はトンネルの扁額、銘板、及び橋脚看板に記載された値。()はGISデータ(県域統合型GIS ぎふ)に基づく推定値。
- 一部のトンネルは、地図上の長さや扁額の値と銘板の値が異なるため、銘板に記載された値を〔〕で併記している。
参考資料
脚注
関連項目
外部リンク
テンプレート:Asbox- ↑ 銘板が大日本土木施工の「1982年5月完成 延長440.5m」と佐藤工業施工の「1982年8月完成 延長440.5m」の2枚存在する。
- ↑ 銘板が日本国土開発施工の「1982年5月完成 延長378.9m」と竹中土木・福田組JV施工の「1993年12月完成 延長382.1m」の2枚存在する。
- ↑ 大徳之山隧道・同1号・同2号及び境の尾アツン谷橋で構成。
- ↑ 銘板が飛島・淺沼特定JV施工の「2006年6月完成 延長662m(全長1462m)」と鉄建・土屋特定JV施工の「2005年3月完成 延長800m(全長1462m)」の2枚存在する。
- ↑ 銘板が前田・森特定JV施工の「2005年11月完成 延長1706m(全長3330m)」と大豊・不動特定JV施工の「2006年3月完成 延長1624m(全長3330m)」の2枚存在する。