岡鹿之助

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岡 鹿之助(おか しかのすけ、1898年7月2日 - 1978年4月28日)は昭和期の洋画家である。

人物

劇評家岡鬼太郎の長男として東京に生まれる、実弟に岡畏三郎(美術史家、2010年に96歳で没)。

鹿之助は自分の絵のマチエールが西洋絵画のそれに比べて劣ることに悩み、試行錯誤の末到達したのが彼の作風を特徴づける点描画法である。西洋近代絵画史において点描画法を用いる代表的な作家としてジョルジュ・スーラが挙げられるが、当時の鹿之助はそのころまだ無名に近かったスーラの作品は知らなかったという。スーラの点描法は、キャンヴァス上に並置された異なった色の2つの点が視る人の網膜上で混合し別の色を生み出すという、「視覚混合」の理論を応用したものであったのに対し鹿之助の点描はむしろ同系色の点を並置することによって堅固なマチエールを達成しようとするものである。鹿之助はこの技法を用いて、静けさに満ちた幻想的な風景画(雪景色を描いたものが多い)を多く残した。

来歴

代表作品

  • 『遊蝶花』(1951)【下関市立美術館所蔵】 鹿之助は本作に不満で会場搬入後、持ち帰り2日間筆を加えたという逸話がある。なお『遊蝶花』という題は、グウルモンの詩『シモオヌ』上田敏訳で見つけたという。
  • 『雪の発電所』(1956)【ブリヂストン美術館所蔵】
  • 『花と廃墟』
  • 『三色スミレ』
  • 『塔』

脚注

  1. 尾崎正明監修 『すぐわかる 画家別 近代日本絵画の見かた』 東京美術、2003年、104-105頁