山南地区

山南地区（さんなんちく）は、中華人民共和国チベット自治区を構成する七つの地区のひとつ。公用語の正式呼称はチベット語名ロカ・サクル (ལྷོ་ཁ་ས་ཁུལ།　ワイリー転写lho kha sa kul) 、中国語名シャンナンティチュ（山南地区 shān nán dì qū）。「山南」はチベット名の「ロカ」を意訳した名称。日本語では、チベット名に由来するロカ地区、ホカ地区、中国名に由来する山南地区（さんなん-ちく）などの呼称が用いられている。

自治区の中央部に位置し、チベットの伝統的な地理区分では、この地区の北部に隣接するラサ市を構成する諸ゾン（県）とともにウー地方を構成し、その住人を「ウーパ (dbus pa) 」と称する。

地理

青蔵高原東南部、ヤルンツァンポ河中下流に位置し、西はシガツェ地区、北はラサ市、東北はニャンティ地区と接し、南はインド、ブータンと国境を接する。本地区のツォナ・ゾン（錯那県)、ルンツェ・ゾン（隆子県）の南部は、ニャンティ地区のメトク・ゾン（墨脱県）、ザユル・ゾン（察隅圏）とともにインドとの国境紛争地域となっており、名目上これらの諸ゾンの南部とされる領域で、インドが実効支配するマクマホン・ライン以南の部分に対し、インド政府はアルナーチャル・プラデーシュ州を設けている。

海抜3,700メートル、気候は温和。

歴史

吐蕃王家がチベット統一に着手しはじめた6世紀後半から7世紀にかけて本拠地をおいた地域で、その拠点テンプレート:仮リンクが史跡としてある（現存の建物は文化大革命による破壊後に再建された複製）。

行政区画

ファイル:Shannan Counties.png

山南地区の行政区分

12県を管轄する。

• ナンカルツェ県（sna dkar rtse rdzong, 浪卡子県）
• ゴンカル県（gong dkar rdzong, 貢嘎県）
• ダナン県（gra nang rdzong, 扎嚢県）
• ネドン県（sne gdong rdzong, 乃東県）
• チョンギェ県（'phyongs rgyas rdzong,瓊結県）
• ツォメ県（mtso smad rdzong, 措美県）
• ロダク県（lho brag rdzong, 洛扎県）
• サンリ県（zangs ri rdzong, 桑日県）
• チュスム県（chu gsum rdzong, 曲松県）
• ルンツェ県（lhung rtse rdzong, 隆子県）
• ツォナ県（mtsho sna rdzong, 錯那県）
• ギャツァ県（rgya tsha rdzong, 加査県）

年表

ロカ・チキャプ

• 1951年5月23日 - 中華人民共和国チベット地方ロカ・チキャプが成立。ネドンゾン・サンリゾン・ウェンゾン・ウォカゾン・ルンツェゾン・ラギャリゾン・ツォナゾン・ドワゾン・ションゲゾン・チョンギェーゾン・ダナンゾン・サムイェーゾン・ゴンカルゾン・ギャツァゾン・ナンゾン・チグシカ・ダマシカ・ラカンシカ・チャキシカ・ドイシカ・ラスイシカ・グラムナムギェシカが発足。(15ゾン7シカ)
• 1952年 (17ゾン13シカ)
  • ギャツァゾン・ナンゾン・ラスイシカ・グラムナムギェシカがタクコン・チキャプに編入。
  • ネドン・ゾンの一部が分立し、ヤドイゾン・ポジャンシカが発足。
  • ド・ゾンの一部が分立し、ナンカルツェゾン・リンシカが発足。
  • サンリ・ゾンの一部が分立し、ツェタン・ゾンが発足。
  • ゴンカル・ゾンの一部が分立し、ペデゾン・ジェデショシカが発足。
  • ルンツェ・ゾンの一部が分立し、ギョラシカ・チャユルシカが発足。
  • ツォナ・ゾンの一部が分立し、モンタワン・シカが発足。
  • ラギャリ・ゾンの一部が分立し、シャロシカ・シャジャンシカが発足。
• 1955年3月9日 - ロカ・チキャプが山南弁事処に改称。

山南弁事処

• 1955年3月9日 - ロカ・チキャプが山南弁事処に改称。(13ゾン12シカ)
  • ウー・チキャプザシカ・ルンバシカ・チェンゴシカ・ナムジェゴンシカを編入。
  • ナンカルツェゾン・ペデゾン・リンシカがギャンツェ弁事処に編入。
  • ヤドイゾン・ポジャンシカがネドン・ゾンに編入。
  • ツェタン・ゾンがシカに移行し、ツェタン・シカとなる。
  • モンタワン・シカがツォナ・ゾンに編入。
  • シャロシカ・シャジャンシカがラギャリ・ゾンに編入。
  • ナムジェゴン・シカがジェデショ・シカに編入。
• 1957年 - チョンギェー・ゾンが県制施行し、チョンギェー(窮結)県となる。(1県12ゾン12シカ)
• 1959年4月12日 (3県8ゾン11シカ)
  • ネドンゾン・ツェタンシカが合併し、ネドン県が発足。
  • ウェンゾン・サンリゾン・ウォカゾンが合併し、サンリ県が発足。
• 1959年5月5日 (5県6ゾン11シカ)
  • ラギャリ・ゾンが県制施行し、ラギャリ(拉加里)県となる。
  • ツォナ・ゾンが県制施行し、ツォナ県となる。
• 1959年5月 (9県2ゾン1シカ)
  • ルンツェゾン・ギョラシカ・チャユルシカが合併し、ルンツェ県が発足。
  • チグシカ・ダマシカが合併し、チグ(哲古)県が発足。
  • ゴンカルゾン・ドイシカ・ザシカ・ルンバシカ・チェンゴシカ・ジェデショシカが合併し、ゴンカル(貢噶)県が発足。
  • ダナンゾン・サムイェーゾン・チャキシカが合併し、ダナン(札嚢)県が発足。
• 1960年1月7日 - ネドン県・ルンツェ県・ラギャリ県・ツォナ県・チョンギェー県・サンリ県・チグ県・ダナン県・ゴンカル県・ドワゾン・ションゲゾン・ラカンシカが山南専区に編入。

チベット地方山南専区

• 1960年1月7日 - 山南弁事処ネドン県・ルンツェ県・ラギャリ県・ツォナ県・チョンギェー県・サンリ県・チグ県・ダナン県・ゴンカル県・ドワゾン・ションゲゾン・ラカンシカ、タクコン弁事処ナン県・ギャツァ県を編入。山南専区が成立。(11県2ゾン1シカ)
• 1960年4月 - ドワゾン・ションゲゾン・ラカンシカが合併し、ロダク県が発足。(12県)
• 1964年10月31日 (13県)
  • ギャンツェ専区ナンカルツェ県・ダルン(打隆)県を編入。
  • ダルン県がナンカルツェ県に編入。
• 1965年8月23日 - チベット自治区の成立により、チベット自治区山南専区となる。

チベット自治区山南地区

• 1965年11月3日 (13県)
  • ラギャリ県がチュスム県に改称。
  • チグ県がツォメ県に改称。
• 1970年11月20日 - 山南専区が山南地区に改称。(13県)
• 1974年2月18日 (13県)
  • ゴンカル(貢噶)県がゴンカル(貢嘎)県に改称。
  • ダナン(札嚢)県がダナン(扎嚢)県に改称。
• 1983年10月8日 (11県)
  • ナンカルツェ県がギャンツェ地区に編入。
  • ナン県がニンティ地区に編入。
• 1986年4月7日 - チョンギェー(窮結)県がチョンギェー(瓊結)県に改称。(11県)
• 1986年9月12日 - ギャンツェ地区ナンカルツェ県を編入。(12県)

外部サイト

• 山南地区人民政府