宇宙機
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宇宙機(うちゅうき、テンプレート:En スペースクラフト)とは、打ち上げロケット(launch vehicle)を用いて大気圏外で使用される人工物のこと[1]。
概要
英語ではspace(宇宙)という語とcraftという語を組み合わせた用語である。
大気圏外(宇宙空間)で使用することを想定した人工物がspacecraftと総称されており、日本語では「宇宙機」という訳語が当てられている。※[2]また(航空機という表現にならって)「航宙機」と呼ばれることもある。
宇宙機には人を乗せない無人機も、人を乗せることを想定した有人機も含まれる。無人機の場合は、「人工衛星」や「人工惑星」と呼んでもよい[1] (つまり別の言い方をすると、宇宙機にはそれらが含まれる)。宇宙探査機も宇宙機に含まれる。
人を乗せることを想定したものは特に「有人宇宙機」や「宇宙船」と言う[1](つまり人を乗せることを想定しているものも宇宙機に含まれる)。宇宙ステーションも含まれる。
一般に、物体を宇宙空間まで運ぶために大気圏を上昇するための推進装置はローンチ・ヴィークル(launch vehicle, LV)[3]と呼び、宇宙機とは別のものとして区別されている。
周回軌道上にある宇宙機は、一般に、普段はみずから推進はしていない[4]。ただし、軌道を変更させるために推進装置を備えているものも多数ある。
呼称と分類
無人・有人
軌道による分類
条件
宇宙機は一般に次のような条件を満たさねばならないテンプレート:要出典。
- 打ち上げ時の振動に加え、宇宙空間における極低温から数千度の高温までの温度変化・宇宙線・高真空・磁気といった過酷な環境に耐え得る構体を有するテンプレート:要出典。
- 様々な装置を動かすための動力源(通常は電力源)を持つテンプレート:要出典。
有人宇宙機
- カプセル型宇宙船(使い捨て宇宙船) - 使い捨てを前提とする有人宇宙機。ロシア(ソ連)、欧州、アジア諸国(日本、中国等)で広く用いられている。ロシア(ソ連)のソユーズや米国のアポロ司令・機械船などに代表される。米国では、一時期スペースシャトルが用いられるようになると使い捨て型が用いられなくなったが、その後シャトルはコストや安全性の問題によりシャトルは廃止、使い捨て型が再評価されオリオンが選択されるようになった。
- 宇宙往還機
- 地上と軌道上とを繰り返し往復する有人宇宙機(宇宙船)。あるいはLVやブースターを合わせたシステム全体をそう呼ぶこともある。システムの全体または一部の再使用を前提としており、一般に帰還時のための翼を備える。「再使用型宇宙往還機」(RLV)、「再使用型宇宙輸送システム」などとも呼ばれる。米国のスペースシャトルが代表的。狭義には、スペースプレーンは含まない[5]。ブースターを用いない単段式宇宙往還機 (SSTO) も研究されているが、技術的な面で課題が大きい。
脚注
関連項目
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Yahoo!百科事典「宇宙機」新羅一郎、久保園晃 執筆 [1]
- ↑ ただし、最近のYahoo!百科事典でそう解説はされてはいるが、そうした用法が広く人々に定着しているかどうかは怪しい点がある。craftという英語は、15世紀から「to make skilfully」(たくみに作る)の意味で使われていた[2]、ので、そのようにskilfullyに作られる物までも意味するようになったわけであるが、その結果として、1903年の辞書には「船」を意味する、とも記述されるようになっており[3]、現在では「船」という意味が一般的でもある[4]ので、結果として現代ではcraftとshipの間では語義に重複があり2つはすっきり区別しきれるわけではない。また日本語の「船」という語にも、「箱型の容器」という意味もあり(出典:広辞苑 第五版 p.2354「船」)、広辞苑の第五版p.247「宇宙」-【宇宙船】の説明で「宇宙空間の飛行用に作られた容器」とし(宇宙機のかなりの部分が含まれるような説明がされ)、また「宇宙機」の説明は全く無く無視されているので、全ての日本人が以前から、宇宙機を総称と認知し、宇宙船という言葉をその下位分類として用いているわけではなく、現在でも両者は人によって異なった使い方をされ、いくらか混線も生じている。つまり英語でも日本語でも、すっきりしない点がある。
- ↑ 「ローンチ」とは打ち上げのこと
- ↑ 自由落下状態であることによって周回する。
- ↑ テンプレート:Cite web