原野商法

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原野商法(げんやしょうほう)とは、原野などの価値の無い土地を騙して売りつける悪徳商法のことをいう。1960年代から1980年代が全盛期であり、新聞の折り込み広告や雑誌の広告などを使った勧誘が盛んに行われていた。

手口

  • 虚偽のリゾート開発や計画段階の新幹線高速道路建設の計画とリンクさせ、土地の値上がり確実であるとの虚偽の説明を行う。勧誘する地域とは遙かに離れた土地が投機目的の理由で斡旋されることから、現地を訪問して土地を検証することが困難であり、訪問したとしても売りつける土地とは違う他人の土地に案内するなど、追及をかわすさまざまな手口が用意されている。
  • 所有者は元々は一筆である土地の区割りを自由に分筆登記できる制度を悪用して、一坪数円程度の評価額しかない広大な原野の中に、あたかも区画整理が行われたかのような整然とした街区や道路の絵図を描くように細切れの分筆登記を行い、この架空の街区や道路の区画を一区画数百万円という高値で多数の被害者に売り捌くのである。
  • 被害者は虚偽のリゾート開発や公共事業の計画イメージが描かれたパンフレットと、街区状に分筆登記された公図に騙される形で、価値の無い土地を購入してしまう。こうした販売に先立ち、原野商法業者は芸能人政治家などの著名人やプロスポーツ選手等に無償で一部の街区を譲渡し、「○○氏も所有するリゾート計画地!」等といった騙し宣伝を行う布石を打つ場合もある。
  • 原野商法の舞台となる土地は、余りにも急峻で人里からも離れ過ぎているために、物理的に居住も耕作も不可能な場所である事が殆どで、現地を訪問しようとしても購入した区割りを特定することすら困難である場合も多い。当然ながらこうした人跡未踏の地は市街化区域としての範疇にすら入らない場所のため、宅地造成を始めとする開発行為を申請して許可を得ることもほぼ不可能に近い。
  • ネットのgoogle mapなどで現地を確認すれば被害を防げる可能性があるが、それでも騙されるのが詐欺であり、2010年代以降でも金山や水源地などと称する新手が登場している。

水源地投資詐欺

「水源地」と称して無価値な土地を売りつける商法。2010年代になって被害が急増した原野商法で、舞台となった鳥取県や北海道などの自治体や国民生活センターが注意を呼び掛けている[1][2]。 「大手飲料メーカーが関与している」と称するもの、また日中関係の悪化を背景に、「日本の水源地の買収を進めている中国から日本の水源を守るため」などと愛国心を利用した手口も目立っている。

ちなみに河川法に基づかない水利権の売買はできず、水源地の土地を購入しても水利権は得られない。また森林法林地開発許可制度により1ha以上の森林の開発には都道府県知事の許可が必要など複数の法的な制約があるため、日本人だろうと中国人だろうと大手飲料メーカーだろうと「水源地」を購入しても水源を利用できることはまずない。

二次被害

  • 原野商法に騙された人はカモリストに登録され、別の悪徳商法に遭うなど二次勧誘の対象となることが多い。悪徳商法業者にとっては格好の餌食である。
  • 原野商法の舞台となった土地で、「買い手が見つかった」とか地籍調査公共事業が行われると称して測量代を巻き上げる二次的な詐欺が存在する。本来、地籍調査や公共事業の測量は無料であるが、数十万円の高額な測量代を請求するケースがほとんど。中には、実際に測量もしていないのにその費用を詐取する業者もある。
  • 原野商法に騙された人は高齢化が進んでいて、二次被害も70代以上の高齢者が多い。一方原野商法を展開する業者サイドも高齢化が進んでいる。というのも二次勧誘に使うカモリストは以前に原野商法を展開していた業者が契約者リスト(通称カモリスト)を温存していてそれを再利用するからである。原野商法の土地は価値がなく転売される可能性がゼロであるためカモリストが更新されることもなく、業者にとっては好都合である。
  • 2006年にいくつかの原野商法業者が東京都により公表された。

その他

  • 原野商法に遭った土地は、地形の緩急に関係なく格子状に所有権が細分化されている。こうした土地に、後日、バイパス道路など本当の公共事業が計画されることがあるが、用地買収は難航する(地権者が遠方でかつ人数が多く、高い補償料を要求する)ため、再迂回ルートが設定されるなど、原野商法で売買された地域は忌避されることがある。
  • 原野商法の舞台は北海道の山奥、栃木県の那須、三重県の奥地山間部などに多い。

関連項目・人物

参照

  1. 山林の権利購入における投資トラブルについて 鳥取県 森林・林業振興局
  2. 環境保護にもなるもうけ話?水源地の権利を売ります!買います! 国民生活センター

外部リンク

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