伊予鉄道700系電車
(2006年、松山市駅)
(2008年)
伊予鉄道700系電車(いよてつどう700けいでんしゃ)は、伊予鉄道の鉄道線用電車。
1987年(昭和62年)から1994年(平成6年)にかけて京王帝都電鉄5000系電車を京王重機整備にて改造の上、購入したものである。
概要
110系、120系などの置き換え目的で投入された。松山市寄りから、クハ760形 (Tc) - モハ710形 (Mc) - モハ720形 (Mc) の3両編成またはクハ760形 (Tc) - モハ710形 (Mc) の2両編成を組む。2009年度末現在、3両編成8本(24両)と2両編成2本(4両)の計28両が在籍し、営業運転では2両編成を2本併結した4連での運用もある。伊予鉄道の鉄道線用電車の過半数を占める同社の主力である。
京王帝都電鉄の軌間が1,372mmであるのに対して、伊予鉄道の軌間は1,067mmであるため、電動車は廃車発生品の台車に交換し、制御車は車軸を交換して軌間変更に対応した。電動車の大半(種車がデハ5101 - 5112)は吊り掛け駆動車であったが、台車交換とともにカルダン駆動に変更している。種車の関係から狭幅車(旧番号の下2桁01 - 06・51 - 56)と広幅車(同07 - 14・57 - 62)がある。
種車はモハ727以外は非冷房車であったが、運用開始後に自社で改造を実施して全車同一のCU-127R形冷房装置を搭載している[1]。冷房化された当時は800系と同じように「今年も涼しい冷房電車増車」のマークが取り付けられたが、後に側面の窓にステッカーで表示されるようになった。
後期の譲受車の一部は種車となる制御電動車が払底したため、京王時代の中間電動車の電装品を移設して制御車を電装した。そのため、制御装置は東洋電機製造製ES-556B(モハ711 - 719・721 - 723の12両)と日立製作所製MMC-HTB-20B(モハ710・720・724 - 727の6両)というように異なっている。このうち、ES制御器の方は元来京王2700系が使用していたものを流用しているため、製造から半世紀以上経過している。なお、ES制御器は発電ブレーキ(電制)を使用できないため、MMC制御器装備車も合わせて電制を使用していない。
610系に合わせた新塗装化(旧色は市内線車両と同色)は1994年から開始され1997年に完了している。過渡期には新旧混色での運転も見られた。
なお、610系との併結運転も可能だが、放送設備などのサービス機器の相違から、実際に連結して運用された例はない。
編成及び旧番号(譲受年)
斜字は狭胴車、*はES-556B制御装置搭載車
- クハ761 - モハ711* - モハ721* ← クハ5851 - デハ5105 - デハ5106(1988年)
- クハ762 - モハ712* - モハ722* ← クハ5852 - デハ5102 - デハ5104(1987年)
- クハ763 - モハ713* - モハ723* ← クハ5854 - デハ5103 - デハ5101(1988年)
- クハ764 - モハ714* - モハ724 ← クハ5858 - デハ5108 - クハ5703(1989年〈モハ724は1991年〉)
- クハ765 - モハ715* - モハ725 ← クハ5857 - デハ5107 - クハ5704(1989年〈モハ725は1991年〉)
- クハ766 - モハ716* - モハ726 ← クハ5859 - デハ5109 - クハ5710(1989年〈モハ726は1994年〉)
- クハ767 - モハ717* - モハ727 ← クハ5860 - デハ5110 - デハ5114(1989年〈モハ727は1994年〉)
- クハ768 - モハ718* ← クハ5862 - デハ5112(1989年)
- クハ769 - モハ719* ← クハ5861 - デハ5111(1989年)
- クハ760 - モハ710 - モハ720 ← クハ5754 - クハ5701 - クハ5702(1991年)
- 上記は『鉄道ファン』408号および『鉄道ピクトリアル』678号より[2]
台車
- モハ710形は、東武2000系廃車発生品のFS340に交換されている。
- モハ720形は、721・723・726・727・720の5両は東武2000系廃車発生品のFS340、722・724・725の3両は小田急2220形廃車発生品のFS316に交換されている。
- また、モハ710形の中には小田急デハ2217・2218号車の廃車発生品の空気バネ台車であるFS321を装着していた車両がいたが、のちに全車がFS340に統一されている。
今後
伊予鉄道では2009年度から2011年度にかけて郊外線向けの新型車両である3000系(3両固定編成×10本。元京王3000系)を導入した[3]。本系列はこれにより3両編成3本が廃車される予定[4]である。
脚注
関連項目
他社の京王5000系譲渡車