京急ウィング号
テンプレート:出典の明記 テンプレート:列車名 京急ウィング号(けいきゅうウィングごう)とは、京浜急行電鉄が運転する列車愛称である。
平日夜間帯に下り列車のみ、品川駅 - 京急久里浜駅・三崎口駅間を京急本線・久里浜線経由で運転される。品川駅乗車時のみ、座席定員数の着席整理券(乗車整理券)を発行することにより、品川駅からの長距離旅客に対し着席を保証している列車である。1992年(平成4年)4月16日に運行を開始した。
運行概要
『京急電車時刻表 2012年10月21日(日)ダイヤ改正号』および『東京時刻表』(どちらも交通新聞社発行)では種別欄に「快特」(京急ウイング○号)と表記される。
平日夕ラッシュ時、最も利用の多い時間帯を過ぎた後、品川駅18時45分発の1号から22時5分発の11号まで20分間隔で運転される。3号までは京急久里浜行、4号からは三崎口行となる。品川駅では他の列車の運行に支障しないよう全列車が行き止まり式の3番線発となっており、在線時間を長く確保している。車両は横浜・横須賀方面から回送され、そのまま3番線に入線する。号数は発車順に1から順番に付与している。
京急久里浜行きは終点で先発する三崎口行きに接続する。三崎口行きは京急久里浜駅で後発の京急久里浜終着列車の接続を受けてから発車する。
特別料金不要列車の最上位種別である快特(エアポート快特を除く)より停車駅が少なく、快特停車駅のうち、京急蒲田駅・京急川崎駅・横浜駅を通過する。上大岡より先の停車駅は快特と同様である。ただし過密ダイヤにより所要時間は同一時間帯の快特とほぼ同等で、先行列車に接近して運転する時間が長い。最高速度は横浜以北でも110km/hに抑えられており、遅延回復時以外120km/h運転は行わない[2]。なお前述したように、京急線で運行される一般の快特とは停車駅が異なるが、正式な列車種別としては、同様に「快特」となっている。そのため公式ホームページの時刻表では着席整理券が必要な品川駅では「京急ウィング号」となっているが、それ以外の不要な駅は「快特ウィング号」となっている。
- 停車駅
- 品川駅 - 上大岡駅 - 金沢文庫駅 - 金沢八景駅 - 横須賀中央駅 - 堀ノ内駅 - 新大津駅 - 北久里浜駅 - 京急久里浜駅 - YRP野比駅 - 京急長沢駅 - 津久井浜駅 - 三浦海岸駅 - 三崎口駅
種別・行先表示器には、(1) 種別表示器に終着駅名を表示し行先表示器に「Wing」と表示しているものと、(2) 種別表示器に「Wing」と表示し行先表示器に終着駅名を表示しているものがある(いずれも「Wing」のロゴは京急ショッピングセンターと同じものを用いている)。
列車種別表示灯の表示は、品川駅ではテンプレート:Colorsが、上大岡駅以南の停車駅は快特と同様になるためテンプレート:Colorsが、通過駅では他種別と同様に通過列車を意味するテンプレート:Colorsがそれぞれ表示される。
事故や災害などで大幅な遅延が発生している場合、また並行するJR東海道本線系統の運転見合わせ、ダイヤ乱れ発生による振替輸送の依頼を受諾した場合は、運転を取りやめ、「ウィング号」用の車両を青物横丁駅および平和島駅に臨時停車する快特列車として運転することがある。
着席整理券
品川駅から乗車する場合は、乗車券の他に着席整理券(200円、大人・小児共通)が必要となる。上大岡駅以南は乗車券のみで乗車できるが、着席は保証されない。
整理券確認のため、品川駅では1編成のうち2つのドアのみ非常コックを使用して手動で開閉している。着席整理券には乗車位置として「前4両」もしくは「後4両」が記載され、前者の場合は前から4両目、後者の場合は最後尾の車両後方のドアから着席整理券を係員に渡して乗車する。なお、4両目と5両目との間は品川駅発車直前まで通り抜けができない。これは、京急ウィング号に2000形が充当されていた頃の名残で、4両編成を2編成使用して運行される場合もあったためである。
着席整理券の自動券売機は「前4両」が品川駅1番線の中央と横浜寄り階段上、「後4両」が高輪口改札と3番線のホームにある。満席などの場合を除き、券売機に近い位置で乗車するためのものが販売される。当初この券売機は現金のみ対応で、パスネット・PASMO・Suicaなどには対応せず、1,000円札以外の紙幣も使用できなかったが、2007年12月3日より新型の券売機が使用開始となり、PASMO・Suicaや1,000円札以外の紙幣が使用可能となったほか、直近の列車の空席状況も「○」「△」「×」で表示されるようになった。なお、品川駅の発車標の備考欄には、着席整理券について“空席あり”・“残りわずか”・“満席”の表示が出る。なお、ウイング号に使用される2100形電車には補助席があるが、この補助席の部分は着席整理券の座席数に数えられない。ただし補助席そのものはロックされておらず使用可能な状態であるため、補助席に座ることも可能である。
当初は京急線各駅で1週間前から購入できたが、2010年現在は品川駅のみで当日分を午前6時から発車5分前まで販売している。また、京急カード会員は携帯電話による着席整理券購入システム「京急ケータイdeクィックサービス」が利用可能で、電話機画面に表示された着席整理券を係員に提示するだけで乗車できる。
車両
運行開始当初は2000形(当時は集団見合式クロスシート)が使われていたが、1998年3月28日より転換クロスシートの2100形車両の使用が始まり、翌1999年より全列車が2100形で運行している。ただし、2000年まではダイヤの都合により2000形で運行されることもあった。
片側2ドアのクロスシート車両である2100形は混雑時の運用に適さないため、本線下りの夕ラッシュ時においては、「京急ウィング号」以外の列車には使用されない[3]。初代の車両である2000形は、京急ウィング号の開始以前に平日の夕方ラッシュ時の運用実績がある。
品川での特殊なドア扱いのため、2100形の品川方海側の再開閉ボタンにはロックが取り付けられている。品川では乗務員が非常コックを用いて必要なドアを開けた後にこの再開閉ボタンをロックし、非常コックを復帰することで開扉を維持する。発車時の閉扉は、再開閉ボタンのロック解除を持って行う。
1号・2号・3号は京急久里浜駅まで運行したあと、品川駅まで回送し、それぞれ8号・9号・10号として、ふたたび三崎口駅まで運行する。
歴史
- 1992年(平成4年)4月16日 品川駅 - 京急久里浜駅間にて運行開始。使用車両は2000形。1号 - 8号までの8本が設定された。
- 当時の停車駅:品川駅 - 上大岡駅 - 金沢文庫駅 - 横須賀中央駅 - 京急久里浜駅
- 1993年(平成5年)4月1日 4号以降が三崎口駅まで延長。京急久里浜駅 - 三崎口駅間は各駅に停車した。快速特急は、野比(現・YRP野比)駅・京急長沢駅を通過していたため、この区間でのみ停車駅の逆転現象が起こっていた。[4]
- 1996年(平成8年)7月22日 2本増発(9・10号設定)。
- 1998年(平成10年)3月21日 2100形使用開始。
- 1999年(平成11年)7月31日 快特(快速特急から改称)が久里浜線内各駅停車になったのに伴い、「京急ウィング号」も久里浜線内各駅停車となる。
- 2000年(平成12年) 全列車2100形を使用しての運転となると同時に、1本増発(11号設定)。
- 2010年(平成22年)5月16日 快特が金沢八景駅停車になったのに伴い、「京急ウィング号」も金沢八景駅停車となる[5]。
- 2011年(平成23年)
脚注
関連項目
- 快速特急
- ホームライナー
- 通勤輸送向け着席保証列車
- TJライナー - 東武東上本線で運行される「京急ウィング号」とほぼ同じ形態の座席定員制列車。
外部リンク
- ↑ 大塚良治『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』東京堂出版、2013年12月、34頁。
- ↑ そもそもダイヤが乱れた場合、ウィング号の運転を取り止めることが多い。
- ↑ 上り列車においても、三崎口駅15時17分発快特品川行を最後に京急久里浜以北へは回送列車のみの運用となり、2100形の使用した運用は京急久里浜以南に限定される。
- ↑ とはいえ、当時三崎口駅発着の快速特急は1往復のみ(該当列車は「マリンパーク号」と呼ばれていた)で、それ以外の快速特急は京急久里浜駅発着であった。なお、三崎口発着の快速特急は1996年以降に順次増発している。
- ↑ 5月16日(日)ダイヤ改正を実施します - 2010年5月7日、京浜急行電鉄報道発表資料