二宮周平
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二宮 周平(にのみや しゅうへい、1951年5月27日 - )は、日本の法学者。立命館大学法科大学院教授。専門は民法(家族法)。法学博士(大阪大学、1991年)(学位論文「事実婚の現代的課題」)。
略歴
神奈川県横浜市生まれ、愛媛県松山市育ち。愛媛県立松山東高等学校を経て、大阪大学大学院法学研究科で学ぶ。松山商科大学(現在の松山大学)助教授を経て1985年に立命館大学着任。2009年より法学部学部長。
2011年12月5日より、ジェンダー法学会の理事長に就任した[1]。
人物
新しい家族像を求めて選択的夫婦別姓制度の問題など家族法の問題に精力的に取り組んでおり、高度な理想を掲げて研究活動を行う一方で、現実的に可能な方策も模索するという堅実な学風をも有しており、評価も高い。ことに事実婚については国内の第一人者である。近年では、家庭におけるジェンダーの構造について言及している。教育者としても法学教育に熱心であり、民法分野では近年、内田貴の著作が教科書として猛威を振るっている中で、二宮の著書『家族法』は初版以来、教育的配慮に富んだ家族法教科書として健闘している。また、性的少数者にも関心をもち、同性愛者や性同一性障害者の人権問題についての発言も目立つ。岩波書店より刊行された『家族と法』は家族法の入門的書籍として定評がある。 夫婦別姓訴訟において原告側の主張を支持する立場の意見書を書いた[2][3]。民法改正運動を行っているmネットの呼びかけ人でもある[4]。
岡村隆史(ナインティナイン)が退学の際にその事務を取り扱う[5]。
門下生には佐々木健(札幌学院大学准教授)らがいる。
家族法に関する主張
- 選択的夫婦別姓制度については、「氏名は個人個人の人格の象徴であって、氏名権は人格権の一部だと考えられる。結婚によって自分の意思にかかわらず一方が変えなけれならないということは許されない」「2010年の国勢調査で、一番多い世帯は単独の世帯で32.4%。夫婦と子どもから成る世帯は1970年には46.1%もあったのに27.9%に減った。もちろん三世代同居やひとり親の家庭もある。家族が多様化する中で求められているのは、個人一人ひとりを大切にする社会のシステム」と述べている[6]。
- 婚外子差別問題について、 「不倫を助長するという意見があったが、逆だ。婚外子の相続差別は、『俺はおまえ以外の女性と子どもをつくったが、相続分は半分だから心配しなくていい』という言い逃れに使われてきた。」と述べ、差別解消に賛同する[6]。
脚注・出典
著書
- 『家族と法』(岩波書店、2007年)
- 『事実婚の現代的課題』(日本評論社、1990年)
- 『家族法第2版』(新世社 2005年)
- 『家族法第3版』(新世社 2009年)
- 『21世紀のジェンダー論(改定版)』(池内靖子と共著、晃洋書房、2004年)
- 『同性パートナー』(赤杉康伸・土屋ゆき・筒井真樹子編、社会批評社、2004年)
- 同性結婚に関する論文を寄稿。テンプレート:Law-stub
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 別姓訴訟を支える会
- ↑ http://www.ritsumeilaw.jp/column/column201308.html
- ↑ mネット
- ↑ 本人談テンプレート:要出典
- ↑ 6.0 6.1 日本経済新聞 「家族はどこへ向かうのか」 2014年4月15日