両生類

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両生類(りょうせいるい)とは、脊索動物脊椎動物亜門両生綱 (Amphibia) に属する動物の総称である。

概論

約4億年前に最初に陸上生活を始めた脊椎動物。古生代石炭紀頃より、多くの化石種が知られる。現在生息しているものは、有尾目無足目無尾目の三群である。その体の構造、生活史、生理等において、陸上生活への適応を示しながらも不十分で、水への依存が大きいのが特徴となっている。

現生の種はほぼすべてが淡水域を生活の場としている。原始的な形では卵を水中で産卵し、幼生は四肢を持たない形で生まれ、鰓呼吸で水中生活を行う。その後変態を経て肺呼吸で陸上生活の出来る成体になる。ただし、多くの例外があり、その生活は多様である。現生のものは長い尾を持ち、短い四肢のある有尾目(サンショウウオなど)、尾がなく体幹が短くまとまって四肢の発達した無尾目(カエル類)、それに四肢を失い、細長い体の無足目の三群からなる。

基本的に乾燥に弱いため、水辺などの湿った環境が生息域の中心であり、陸上で活動可能な体を持ちながら、生活や繁殖を水に依存した生涯を送ることからこの名がある。「両生」類の名は、水中生活と陸上生活の両方が可能という意味ではなく、両方の環境が必要な動物であるという意味である(これが近年の両生類の減少に繋がっているとの指摘もある)。

本来、欧名を漢訳した両棲類両棲綱であったが、「棲」の字が常用漢字に含まれないため、現在は多くの場合「両生類」「両生綱」と書かれる。

20世紀後半から、世界的に両生類の減少が著しく、多くの両生類が絶滅しつつある。カエルツボカビ症をはじめとする感染症や吸虫の被害のほか、粘膜に覆われた脆弱な皮膚が、環境変化への対応を困難にし、個体数の減少をもたらす原因になっていると考えられている。一説に因ればこのままのペースで減少が続くと、100年以内に全ての両生類が絶滅するともいわれている。

外部形態

成体は原則的には指のある四肢を持つ。ただし様々な程度にそれを退化させたものもある。無足目は完全に四肢を失っているが、化石種では四肢を持つものが知られている。有尾目のサイレン科は前肢しか持たない。

現存種は前脚には親指がないため前肢の指は基本的に4本で、後肢の趾は5本である。有尾目では後肢の指が4本であったり、前後肢とも3本以下であったり、アンフューマ科のように指趾が1-3本という種類もある。

両生類の皮膚は分泌腺や毒腺が多くなめらかである。爬虫類のように、をもっておらず、表面が角質化していたりしない。これは皮膚が呼吸器としての役割(皮膚呼吸)が多くの割合を占めているからであるが、それゆえ乾燥に弱いという弱点にもなっている。 なお、アシナシイモリの体のしわの間に小さな鱗がある。また、化石種には鱗をもったものもある。

生理

  • 生息域は川、沼、湖などの淡水およびその周辺であることから、海水魚からではなく、淡水魚から派生して誕生した動物群であると考えられている。実際に、両生類の体は塩分に対する耐性が低く、海産の種も確認されていない。(汽水域に生息する種はいる:カニクイガエル)ただし化石種には海に住むものも存在した。

生活史

卵から直接発生するカエルや幼体を産む卵胎生、ある程度成長した幼体を産むサラマンダーなど繁殖形態は様々。産卵場所は多種多様で、池や川などの水中から伏流水中、地上、地中、地底湖や樹上で産卵し、卵は殻を持たない。また、幼生は基本的にはえら呼吸で水中で生活し、変態して陸上に上がることができるようになる。カエルは基本的に成体は肺呼吸をし、四本の足を持ち、ほとんどの種では陸上での活動が可能である。一部水棲でほとんどを皮膚呼吸に頼り、空気呼吸せずに生活する種もいる。有尾類の一部では生涯えらが無くならないものや、肺を退化させたものもある。また無足類は四肢が退化し全く無く、水棲アシナシイモリはえらは無いが、陸上生活は出来ない。他のアシナシイモリも地中性で陸上生活ではない。


  • 卵生のものが多く、基本的には水中に産卵する。産卵時に、水中で体外受精を行う無尾目やサンショウウオ上科など一部の有尾目と、多くの有尾目のように精包を受け渡す形で、体内受精するものと、無足目のように外部生殖器を持ち交尾するものがある。有尾目と無足目では卵胎生の種も多い。
  • 卵は殻を持たず、ゼラチン質で包まれ、水中に生み付けられる。しかし、ヤドクガエル科プレソドン科など陸上で産卵する種類も珍しくはない。有尾目と無足目には幼生や変態の終わった幼体を直接産む種類もいる。
  • 成長過程で、変態を行う。幼生の特徴は、えら呼吸を行い、尾にひれがあるなど、魚に近い姿である。外鰓を持つなど一般の魚類とは異なる特徴もある。肺魚類やポリプテルス類の幼魚は外鰓を持ち、両生類の幼生に似ている。変態の過程は、進化の流れを再現しているともいえる。
特にカエルの幼生はオタマジャクシと言う。
  • 成体は、肺呼吸をし(肺のない種も存在)4本足で陸上を移動することが可能であることが多い。
    • 有尾目の一部の種では、変態をしないで幼生の形態のままの成体になる幼形成熟ネオテニー)が知られる。また変態が途中で終了する種も存在する。例えばアメリカ合衆国に分布するヘルベンダー(アメリカオオサンショウウオ)は鰓孔が最後まで消えないためそういった考え方も出来る。逆に変態を終えた姿で生まれる種も多い。

絶滅の危惧

カエルツボカビ症による両生類の絶滅が危惧されている。致死率は90%にも上る。

飼育上の注意点として、麻布大学の宇根有美准教授(獣医病理学)は、「飼っている両生類に異変があれば、すぐに獣医師などに相談してほしい。水の管理が最も重要で、水槽の水を排水溝や野外に流さないでほしい」としている。

分類

下位分類体系の一例を以下に示す。

系統関係

ファイル:Prionosuchus DB.jpg
現在確認された中で史上最大の両生類とされている古生代ペルム紀後期のプリオノスクス

四肢動物デボン紀後期の約3億6000万年前に肉鰭綱から進化した。ハイギョ類とシーラカンス類のどちらに近いかは未だ決着がついていない。デボン期後期になり、両生類が初めて陸上に適応した脊椎動物として現れた[1]

最初期の四肢動物であるアカントステガイクチオステガは曲がりくねった大河川に住んでいたと思われるが、やや時代が下ったチュレルペトンのように海生と思われる種もいた。この時期の四肢動物は、まだ少なくとも一部はに覆われた魚類のような皮膚と、6本以上の指を持つ水を掻くのに適した四肢を持つ、ほとんどを水中ですごす動物であったらしい。

石炭紀になるとペデルペスのように陸上生活に適応した四肢を獲得し、二次的に水中に戻った種も含め多様な種が生まれた。石炭紀後期にはすでに有羊膜類が枝分かれして行き、これら迷歯亜綱に分類される動物たちは徐々に水中生活にウエイトを戻していく。これら古いタイプの両生類は、中生代になっても三畳紀には世界中の淡水系に数mにも及ぶ巨大な種が繁栄していたが、三畳紀末の大絶滅以降急激に衰えていき、白亜紀前期に絶滅した。

現生両生類である平滑両生亜綱に属する無尾目・有尾目・無足目の起源と関係は未だはっきりとわからないが、すでに約2億9000万年前のペルム紀前期に無尾目・有尾目・迷歯亜綱分椎目の特徴をモザイク状に有するゲロバトラクスが存在した。

三畳紀のマダガスカルには現生のカエルにある程度近い姿のトリアドバトラクスが生息し、ジュラ紀になると今と外見上は変わらないカエルが世界中に分布を広げていた。

有尾目もジュラ紀には現生の目すべてが生まれていたが、それまでの系譜はよくわからない。

無足目はジュラ紀初期のまだ四肢が残っているエオカエキリアの化石が見つかっており、分布から考えてパンゲア大陸が完全に分裂する白亜紀までには現生の目すべてが誕生していたはずだが詳しいことはわからない。

脚注

  1. ロナルド・ルイス・ボネウィッツ著、青木正博訳『ROCK and GEM 岩石と宝石の大図鑑』誠文堂新光社 2007年 349ページ

参考文献

  • 松井正文 『両生類の進化』 東京大学出版会、1996年

関連項目

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外部リンク

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