三間飛車

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三間飛車(さんけんびしゃ・さんげんびしゃ)は将棋の戦法の一つ。振り飛車戦法に分類される。   

概要

先手ならば飛車を7筋、後手ならば飛車を3筋に振る。名前の由来は、飛車を振った場所が左から3列目であることである。

角道を止めてから飛車を振る形の三間飛車(7七角・7八飛型)は居飛車穴熊の攻略が困難で相手に穴熊にされると勝率が低く、敬遠されるようになっていった[1]。また、急戦に対しては三間飛車は四間飛車より一手の差が大きいため、先手番・後手番で戦い方が全く異なる[2]プロ棋士には四間飛車の補助的戦法として指されることが多いが三間飛車を得意とする棋士もおり、中田功小倉久史はそのような棋士の一人である。中田が考案した中田功XPは穴熊崩しの新戦法として注目されている。

角道を止めないうちに7五歩と突く攻撃的な石田流という指し方もある。角交換をしない持久戦型と角交換も辞さない早石田に大別される。早石田はハメ手の要素が多かったが、升田幸三実力制第4代名人が升田式石田流を発案したことで、プロ間でも見直され本格的な戦法として発展していった[3]。『振り飛車には角交換』の常識が見直されたこともあって、三間飛車における居飛車穴熊対策の主流の指し方の一つになっている。

特徴

居飛車急戦において、四間飛車より1手得をすることがある。これは、飛車の移動にかかる手数によって起こる[4]。以下では、振り飛車側を先手として説明する。

三間飛車に対する居飛車の主な急戦策には4五歩早仕掛け三歩突き捨て急戦4六銀左戦法棒銀などがある。このうち、4六銀左戦法や棒銀など7筋から攻めて来る戦法対してに最初から戦いが起こる筋に飛車を振っているため、四間飛車より手得する[5]

四間飛車に対する長所としては、左銀の活用がしやすい(四間飛車は7八銀→6七銀と活用するに対し、三間飛車は6八銀→5七銀と活用できる)ことが挙げられることがある[6]。また、中飛車と比較しても金を5八に使えることから金の活用の自由度でも優っている。


戦法

石田流
石田検校考案。
早石田
石田流の早仕掛け。
新石田流
悪手とされていた手を、鈴木大介が研究し直した。第32回升田幸三賞受賞。
升田式石田流
升田幸三考案。この戦法で升田は、大山康晴に勝利。
楠本式石田流
アマ強豪楠本誠二考案。
鬼殺し
奇襲戦法。
新鬼殺し
米長邦雄考案。鬼殺しの改良型。
中田功XP
中田功考案。対居飛車穴熊戦法。
初手▲7八飛
別名「猫だまし戦法」。
2手目△3二飛
今泉健司考案。第35回升田幸三賞受賞。
真部流
真部一男考案。三間飛車+真部流高美濃囲い。
4→3戦法
後手番でいきなり三筋に振ると角を打たれるので、一度四間飛車にしてから振りなおす。

参考文献

  • 石川陽生中田功安西勝一『振り飛車党宣言2』毎日コミュニケーションズ、2003年、ISBN 4-8399-1210-6
  • 中田功『コーヤン流三間飛車の極意 急戦編』(毎日コミュニケーションズ 、2003年、ISBN 978-4839909390)
  • 中田功『コーヤン流三間飛車の極意 持久戦編』(毎日コミュニケーションズ 、2003年、ISBN 978-4839909406)
  • 中田功『コーヤン流三間飛車(実戦編)』(毎日コミュニケーションズ、2004年、ISBN 978-4839915872)
  • 藤井猛・鈴木宏彦『現代に生きる大山振り飛車』(日本将棋連盟、2006年、ISBN 978-4819702324)
  • 勝又清和『最新戦法の話』(浅川書房、2007年、ISBN 978-4861370168)

脚注

  1. 藤井猛は「いまの居飛車党は三間飛車に対しては穴熊さえ知ってれば対応できる」と発言したことがあるという(勝又『最新戦法の話』232頁)
  2. 『現代に生きる大山振り飛車』57-66頁。大山康晴は後手番で三間飛車を用いることはほとんどなかったという(『現代に生きる大山振り飛車』56頁)。
  3. 勝又『最新戦法の話』208頁
  4. 石川陽生中田功安西勝一『振り飛車党宣言2』
  5. 中田功『コーヤン流三間飛車の極意 急戦編』13-14頁
  6. 中田功『コーヤン流三間飛車の極意 急戦編』12頁

関連項目

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