方程式

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テンプレート:仮リンクによる テンプレート:En (1557) に記されている、最も古い方程式。テンプレート:Math を表している。

方程式(ほうていしき、テンプレート:Lang-en-short)とは、さまざまな対象の間に成り立つ、等号を用いて表すことのできる関係およびその等式のことである。数学における用語だが、物理学化学などの自然科学をはじめとして、数学を利用するほとんどの学問で使われる。

概要

方程式の最も典型的な形は未知数 (テンプレート:En) と呼ばれる項を含んだ等式である。方程式における未知数はしばしば テンプレート:Mvar などの特定の慣習的な文字によって表され、「様々に値を変える数である」という観点から変数 (テンプレート:En) と呼ばれたり、あるいは「特定の値を持つわけではない」という観点から不定元 (テンプレート:En) と呼ばれることもある。

方程式に含まれる変数に対して、変域と呼ばれるある特定の範囲の値で変数を置き換える操作を考えることができるが、これは代入と呼ばれる。各変数に代入されるべきものは、数値関数など様々であり、それぞれの変数がどのような変域を持つかは文脈に依存している。

未知数に値の代入が行われて初めて、方程式が等式として成立するか否かの評価が行われる。そして、与えられた方程式を等式として成立させるような未知数の値を方程式の解と呼び、方程式の解を全て求めることを方程式を解くという。 ふつう方程式の解は変域のとりうる任意の値ではなく、何らかの特定の値に制限を受け、時には存在しない場合すらありうる。

実数(または単位的環)全体を変域とする変数 テンプレート:Mvar に関する等式

<math>\left(x + 1\right)^2 = x^2 + 2x + 1</math>

のような、変数にどんな値を代入しても成り立つ方程式はその変域上の恒等式と呼ばれる。

一般には一つの方程式に変数が一つであるとは限らない。代入の際に同じ文字は同じ値をとるという約束の下で変数が複数存在する方程式を多元方程式あるいは多変数方程式 (multiple variable equation) などという。あるいはさらに、方程式として与えられる等式が一つである必要はない。方程式が一つではなく複数あるとき、やはり同じ文字は同時に同じ値をとるという前提が成り立つならば、方程式は系をなす連立するなどといい、その複数本の方程式を一括りにして方程式系(ほうていしきけい、system of equations)もしくは連立方程式(れんりつほうていしき、simultaneous equation)などと呼ぶ。「多変数の方程式や連立方程式を解く 」という場合、それが「与えられた方程式系を、命題として同値性を保ちながら、より単純な形の方程式系に帰着させる 」という意味を指している場合もある。

分類

与えられた等式がどのようなものであるかということによって、方程式にはいくつかの分類がある。以下に代表的な方程式の種類を挙げる。

代数方程式

テンプレート:Main 両辺を多項式 (テンプレート:En) とする等式によって表された方程式を代数方程式という。多項式 テンプレート:Math によって与えられる変数の組 テンプレート:Math を未知数とする方程式[注 1]

<math>p(x, y, z, \dots) = 0</math>

の解 テンプレート:Math のことを テンプレート:Mvar (テンプレート:En) または零点 (テンプレート:En) ともいう。代数方程式はさらに、一次方程式二次方程式といったように、多項式の次数 (テンプレート:En) テンプレート:Mvar により テンプレート:Mvar 次方程式 (テンプレート:En) に分類される。

四次以下の一変数代数方程式は多項式の係数に関する四則演算と根号を用いて解を表すことができる。代数方程式の解のようすを調べる研究は、の概念の導入など、ガロア理論をはじめとする19世紀の代数学の発展の大きな原動力の一つとなった。

歴史上の数学の発展において様々な代数方定式の解を求める試みはそれまでになかった新しい数の体系を生み出してきている。その最も古い例として、古代ギリシアにおける無理数の発見をもたらした、正方形の辺と対角線 テンプレート:Mvar に関する方程式[注 2]

<math>x^2 - 2 = 0</math>

が挙げられる。さらに、三次方程式

<math>x^3 + px + q = 0</math>

の解の表示を与えるカルダノの公式

<math>x = \sqrt[3]{- {q \over 2} + \sqrt{\left({q \over 2}\right)^2 + \left({p \over 3}\right)^3}} + \sqrt[3]{- {q \over 2} - \sqrt{\left({q \over 2}\right)^2 + \left({p \over 3}\right)^3}}</math>

複素数の発見につながった。また、量子力学における粒子の位置と運動量の間に成り立つ正準交換関係

<math>pq - qp = i\hbar</math>

の状態を通常の数(C 数、テンプレート:En)の組でなく作用素で与えるパラダイムをもたらした。

関数方程式

テンプレート:Main 数の等式ではなく関数の等式で与えられる方程式を関数方程式と呼ぶ。

<math>F\!\left(x,y,z,\dots;f_1(x,y,z,\dots),f_2(x,y,z,\dots),\dots\right)=0</math>

関数方程式によって決定される関数を未知関数 (テンプレート:En) と呼び、方程式中のそれ以外の関数は既知関数 (テンプレート:En) として区別される。特に関数とその導関数に対して関係式を与えることで得られる微分方程式は、物理学の研究から興味深い実例を与えられ、逆にその研究成果が物理学に寄与するなど、物理学との関連が深い。一方純粋数学的には層の理論などと結びついて興味深い結果が得られている。微分方程式はさらに常微分方程式偏微分方程式に別けられる。

連続的な変数に関する微分の近似として、離散系における差分によって定式化された差分方程式の考察がしばしば有用である。微分方程式と差分方程式ではたくさんの類似概念や類似手法が並行して通用するため、同じ事象の連続的な側面と離散的な側面とを表していると考えることもできる。

また、方程式の形のみならず「重ね合わせの原理が働く」か否かという、解の状態についての分類が考えられる。解の重ね合わせが考えられる方程式を線型方程式、そうでないものを非線型方程式と呼ぶ。解の重ね合わせはベクトル空間の概念と結びつき、線型性という観点から線型代数学の様々な概念や手法を適用することが可能になる。とくに微分方程式を代数的に取り扱うという立場においては線型微分方程式は最も基本的な対象となる。

重要な数学的概念の導入・発展をもたらした関数方程式に、熱方程式超幾何関数の微分方程式、可積分系にたいするKdV方程式KZ方程式が挙げられる。

関数方程式の解の種類

微分方程式や差分方程式の解は、一般解と特異解とに分類されることがある。

一般解
微分方程式や差分方程式の解の多くは、積分定数などの任意定数や、任意関数を含む形で記述されることが多い。例えば、テンプレート:Mvar 階の常微分方程式であれば テンプレート:Mvar 個の積分定数を持つ。このように、任意定数や任意関数を含む形で書かれる解のことを 一般解 (テンプレート:En) という。また、一般解に含まれる個々の解のことを特殊解 (テンプレート:En) あるいは特解という。一般解に含まれる任意定数や、任意関数に特定の値や関数を与えることによって得られる解はすべて特殊解である。一般解が任意定数を係数とする関数の線型結合で表される場合、この既知の関数の組を基本解系と呼び、その要素を基本解 (テンプレート:En) という(基本解系を単に基本解と呼ぶこともある)。
基本解に関しては線型微分方程式も参照。
特異解
一般解はその名前から「方程式の解のすべてを表現したもの 」と誤解されることが多いが、一般解だけでは表現できない解が存在することがある。この一般解で表されない解を特異解 (テンプレート:En) という。

有名な例としては、クレローの方程式

<math>y = x \cdot \frac{dy}{dx} - \left(\frac{dy}{dx}\right)^2</math>

は、一般解

<math>y=Cx-C^2</math>

の他に特異解

<math>y=\frac{x^2}{4}</math>

を持つ。

自然科学における方程式

テンプレート:Main 自然科学が取り扱う様々な量の間に成り立つ関係は方程式として記述されている。とくに17世紀のガリレイケプラー以降の物理学における種々の基本的な法則はふつう数学的な方程式によって表されてきた。また、化学における様々な媒質の平衡常態や生物学における大規模な個体群における個体数の変移に関する種々の法則も数学的な方程式によって表されている。

転用表現

方程式は数式を利用して問いを解くという観点から、「公式」と同様に諸問題を解決するときに最も適切な方法という様に転用して使われることもある。恋愛の方程式、勝利の方程式などの言葉がスポーツ新聞や読み物に分類されるような書籍、インターネット上の一般サイトなど、それほど形式張らない場ではしばしば見うけられる。

脚注

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参考文献

関連項目

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外部リンク

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