ワンジェサン軽音楽団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox ワンジェサン軽音楽団( - けいおんがくだん)は北朝鮮の音楽グループ。金正日からの指令により発足され、1983年7月22日創立。楽曲は平壌放送朝鮮中央放送などでしばしば放送される。

「ワンジェサン」の名前は、金日成の革命の戦跡地のひとつにちなんでいる([1])。漢字では「旺載山」と書かれることが多く、「王在山」とする場合もある。また、一部CDなどは"WJS"と略している場合もあるが、2010年に発売された最新の第86集では、ジャケット表記が「ワンジェサン軽音楽団」から「ワンジェサン芸術団」に改められている。

楽曲の内容

歌は、金正日や金日成など一族や北朝鮮の政治を称える内容の曲が多いが、一部朝鮮民謡なども歌う。 また舞踊音楽や器楽音楽など演奏のみの軽快な音楽も多い。

演奏形態

CD目録によると、演奏形態は主に「歌」「軽音楽」「舞踊」の3種類に分けられる。「歌」は楽曲により独唱や2重唱、3重唱となり、歌手の後方には指揮者とオーケストラが控えて伴奏を担い、さらにバックコーラスがつくこともある。

「軽音楽」も楽曲により2種類に分かれ、全ての楽器が出演するものと一部の楽器にソロが与えられるものがあり、前者は単純に「軽音楽」、後者は「バイオリンのための軽音楽」や「トランペット4重奏」と表記されている。

「舞踊」は歌手やオーケストラの伴奏に合わせて5人から10人程度のダンサーたちが踊る。しかしVHSの映像では舞台上に伴奏はおらず生演奏に合わせているのか録音かは不明である。

楽器編成

軽音楽団という名の通り、基本編成はヨーロッパやアメリカのそれとあまり変わらない。ただし楽曲により変動があり、ここでは最大時の編成を記す。

指揮者、ピアノ、ギター、ベース、ドラムス、パーカッション、シンセサイザー、クラリネット:各1人

トランペット:1~4人 サクソフォン:1~4人 トロンボーン:1~4人

バイオリン:1~8人前後 シンセサイザー:2人 アコーディオン(バヤン):1~2人

ちなみに2000年頃にシンセサイザーが1人から2人に増員され、新たにアコーディオンも加わった。またバイオリンもそれまでの木製からエレキバイオリンに変わり、時代とともに編曲や演奏技術も多様かつ複雑化してきている。

代表曲

オリジナル曲もあるが、日本でさらに有名な普天堡電子楽団功勲国家合唱団のカバー曲(主に歌詞なしでカバーしている)が少なくない。

オリジナル曲

など。

カバー曲

  • バイオリンのための軽音楽「我が国が一番 내 나라 제일로 좋아」(普天堡電子楽団音楽)
  • 金管4重奏「まだ言えない 아직은 말못해」(普天堡電子楽団音楽)
  • 軽音楽「金正日花メドレー 김정일화련곡」(普天堡電子楽団音楽)
  • ピアノのための軽音楽「雲を越え愛しい将軍星へ 구름 넘어 그리운 장군별님께」(普天堡電子楽団音楽)
  • トランペット独奏「懐かしき将軍はいずこに 어디에 계십니까 그리운 장군님」(普天堡電子楽団音楽)
  • サクソフォン4重奏「思郷歌 사향가」(功勲国家合唱団音楽)
  • トロンボーン独奏「忘れられない三日浦のこだま 못잊을 삼일포의 메아리」(功勲国家合唱団音楽)
  • 舞踊「聞慶峠 문경고개」(功勲国家合唱団音楽)
  • 舞踊「北岳山の歌 북악산의 노래」(普天堡電子楽団音楽)
  • 舞踊「明けないでおくれ平壌の夜よ 지새지 말아다오 평양의 밤아」(普天堡電子楽団音楽)

など。

主な歌手

  • 廉青(リョム・チョン、렴청
  • 金花淑(キム・ファスク、김화숙
  • 張允姫(チャン・ユンヒ、장윤희
  • 黄淑京(ファン・スッキョン、황숙경
  • 呉情潤 (オ・ジョンユン、오정윤
  • 金明玉 (キム・ミョンオク、김명옥


など。

日本でのワンジェサン軽音楽団

以前は専門家などが中心に聞いていたとされているが、近年の北朝鮮への注目度の高まりから、テレビなどのメディアを通じて朝鮮中央放送などとともに流れる事が多々ある。 また、すでに放送終了しているが日本テレビ系列のブラックワイドショーや各種報道番組でも流され(特に前記「律動体操」「テコンドー体操」はこの番組で初めて日本で取り上げられたとされる)、北朝鮮に興味がある人を中心に知られ始めている。

楽曲の入手方法

朝鮮中央放送平壌放送動画投稿サイトで聞く事ができる他、CDも多数発売されている。ワンジェサン軽音楽団のCDアルバムは80年代から2010年までに第86集まで、VHSは27巻まで発売が確認されているが、日本で入手できる場所は限られている。また韓国でも一部で人気がある。

最近ではインターネットが普及したこともあり、MP3ファイルでの交換も盛んである。

北朝鮮の他の楽団

他にも、普天堡電子楽団(ポチョンボ電子楽団)や、牡丹峰楽団(モランボン楽団)、朝鮮人民軍による功勲国家合唱団朝鮮人民軍協奏団、銀河水管弦楽団、三池淵楽団などの音楽グループがある。

外部リンク