ヤマザクラ
ヤマザクラ(山桜、学名:Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba, 1992)(Synonym : Prunus jamasakura Sieb. ex Koidz., 1911)[1] はバラ科サクラ属の落葉高木。日本の野生の桜の代表的な種で、和歌にも数多く詠まれている。サクラの仲間では寿命が長く大木になる。ヤマザクラを原種として品種改良された種も多い。多くの場合葉芽と花が同時に展開する(開く)ので、これがソメイヨシノと区別する大きな特徴となる。日本、台湾、韓国、北朝鮮に分布。開花時期は3-4月頃。
分類
サクラの属名は日本では長いことPrunus、和名ではスモモ属とする分類が主流だったが、昨今の研究ではCerasus(サクラ属)とするものがある。日本では前者、分けてもサクラ亜属(subg. Cerasus)とするものが多かったが、近年は後者が増えてきているしかしCerasusとすることで決着した訳ではない。海外では、現在もPrunusに分類するのが主流である。
概説
ヤマザクラは同一地域の個体群内でも個体変異が多く、開花時期、花つき、葉と花の開く時期、花の色の濃淡と新芽の色、樹の形など様々な変異がある。
同じ場所に育つ個体でも一週間程度の開花時期のずれがあるため、同じサクラでもソメイヨシノと異なり、短期間の開花時期に集中して花見をする必要はなく、じっくりと観察できる。ソメイヨシノの植栽の普及する前の花見文化はむしろ、このように長期間にわたって散発的に行われるものであった。
新芽から展開しかけの若い葉の色は特に変異が大きく、赤紫色、褐色、黄緑色、緑色などがあり、裏面が白色を帯びる。 花弁は5枚で、色は一般的に白色、淡紅色だが、淡紅紫色や先端の色が濃いものなど変化も見られる。樹皮は暗褐色または暗灰色。
家具の材料としても人気が高い。樹皮は樺細工などに利用される。
「吉野の桜」とは、本来この山桜を指すものであり、日本の象徴とされた桜でもある。長寿な種であり、尾所には樹齢500年を越えるものが見られる。
地方自治体の木
ギャラリー
ヤマザクラ群
ヤマザクラに類する品種の桜をヤマザクラ群と呼ぶ。オオシマザクラやオオヤマザクラ、カスミザクラなどが有名である。
野生種
- アサギリザクラ(朝霧桜・毛山桜)
- ウスガサネオオシマ(薄重大島)
- オオシマザクラ(大島桜) - カスミザクラの島嶼種もしくはヤマザクラの海岸型。
- オオヤマザクラ(大山桜・蝦夷山桜・紅山桜)
- カスミザクラ(霞桜)
- カタオカザクラ(片丘桜) - カスミザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
- キビザクラ(吉備桜)
- ケエゾヤマザクラ(毛蝦夷山桜)
- シオカゼザクラ(潮風桜) - オオシマザクラの一型。
- ツクシザクラ(筑紫桜・筑紫山桜)
- ハツユキザクラ(初雪桜)
- ヤマザクラ (山桜)
園芸品種
- アオバ(青葉)
- アカツキザクラ(暁桜・霞蝦夷山桜)
- アカミオオシマ(赤実大島)
- イズザクラ(伊豆桜)
- イチハラトラノオ(市原虎の尾)
- イボザクラ(伊保桜・井保桜)
- イヨウスズミ(伊予薄墨)
- ウンリュウオオシマ(雲竜大島)
- オウシュウサトザクラ(奥州里桜)
- カンザキオオシマ(寒咲大島)
- キクシダレ(菊枝垂)
- ギジョウジギジョザクラ(祇王寺祇女桜)
- キヌガサ(衣笠)
- キリフリザクラ
- クチナシザクラ(梔子桜)
- ケタノシロキクザクラ(気多の白菊桜)
- ケンロクエンクマガイ(兼六園熊谷・兼六熊谷)
- コウホクニオイ(江北匂)
- ゴザノマニオイ(御座の間匂)
- コトヒラ(琴平)
- コノハナザクラ(木の花桜)
- コンゴウザクラ(金剛桜・源氏車・小督) - 国の天然記念物。
- サノザクラ(佐野桜)
- シダレオオヤマザクラ(枝垂大山桜)
- ジョウニオイ(上匂)
- シンスミゾメ(新墨染)
- スルガダイニオイ(駿河台匂)
- ゼンショウジキクザクラ(善正寺菊桜)
- センダイヤ(仙台屋)
- ソウドウザクラ(宗堂桜) 2種がある。
- タイザンフクン(泰山府君)
- ダイリノサクラ(内裏の桜)
- タカネオオヤマザクラ(高嶺大山桜)
- タキニオイ(滝匂)
- ナラノヤエザクラ(奈良の八重桜・奈良八重桜)
- ニドザクラ(二度桜)
- ノナカノサクラ(野中の桜)
- ハチスカザクラ(蜂須賀桜)- 沖縄系カンヒザクラとヤマザクラの一代交雑種カンザクラ
- ヒウチダニキクザクラ(火打谷菊桜)
- ヒロシマエバヤマザクラ (広島江波山桜)
- ヒヨシザクラ(日吉桜)
- ベニタマニシキ(紅玉錦・松前紅玉錦)
- ベニナンデン(紅南殿)
- ホソカワニオイ(細川匂)
- マツマエウスベニココノエ(松前薄紅九重)
- ミナカミ(水上)
- ミョウジョウ(明星・松前明星)
- ヤエノオオシマザクラ(八重の大島桜)
- ヤエノカスミザクラ(八重の霞桜)
- ヤエベニオオシマ(八重紅大島)
- ヤツブサザクラ(八房桜)
- ヤマゴシムラサキ(山越紫)
- ヨウロウザクラ(養老桜)
- ライコウジキクザクラ(来迎寺菊桜)
- ワカキノサクラ(稚木の桜) - ヤマザクラの幼形開花型。ヤマザクラに戻ってしまうことが多い。
関連項目
脚注
米倉浩司・梶田忠 (2003-) YList:ヤマザクラ- ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) YList:ヤマザクラ 2012年4月29日閲覧。