メタルコア
ハードコアから派生したという見解と、ヘヴィメタルから派生してできたという解釈がある。
メタルコアという呼称が一般化する以前には、アメリカのニュースクール・ハードコア・シーンでEarth Crisisなどの一部のバンドがメタルコアと呼ばれることもあった。
目次
音楽的特徴
ハードコア、メロディックデスメタル、ヘヴィメタルの性質が混交したスタイルを特徴とする。スクリーモにみられる甲高い咆哮を歌唱法に採用するスタイルと、従来のデスメタルで用いられる歌唱法を軸とするスタイルが存在しており、ミクスチャーと重複する点も散見される。
このジャンルはヘヴィメタルとハードコアの明確な線引きが難しく、シャドウズ・フォールやトリヴィアムなどのヘヴィメタルとしかいえない音楽性を備えたバンドも出現しており、単にハードコア出身でヘヴィメタルの要素を持っているバンドのことを指すこともある。
歴史
黎明期
テンプレート:Main ブラック・フラッグ[1]、バッド・ブレインズなどをはじめとするオリジネイター達は[2]ブラックサバスを尊敬し、彼らを追い抜こうと切磋琢磨していた。英国のディスチャージやエクスプロイテッドらもメタルから影響を受けた[3]。ミスフィッツはEarth A.D.をリリースし、スラッシュメタルに絶大な影響を与えた[4]。しかし、それでもパンクとメタルの両シーンは1980年代半ばまで断絶されたままであったといえる。1984年になると、メタルとハードコアの相互作用は最終的にはRuthie'sと呼ばれるカリフォルニア州バークリーのクラブでクロスオーバースラッシュシーンを作り出した[5]。"メタルコア"という言葉は元々このようなクロスオーバースラッシュのバンドを指すものであった[6]。Corrosion of Conformity[7]、Dirty Rotten Imbeciles、Suicidal Tendencies[8]はメタリカ、スレイヤーのようなスラッシュメタルバンドとプレイしていた。このシーンは1984年に産まれたニューヨークのハードコアシーンに影響を与えた。このシーンに存在したバンドとしてはクロ・マグス、Murphy's Law、Agnostic Front[9]、Warzoneなどがいる[10]。クロ・マグスはこの中でも最も影響力を持ったバンドで、彼らもBad Brains、モーターヘッド 、Black Sabbathなどから影響を受けていた[11]。また、クロ・マグスはストレート・エッジ、クリシュナ意識国際協会を信条としていた[12]。ニューヨーク出身でメタルに影響を受けたストレートエッジのバンドには1982年結成のCrumbsuckersがいる。1985年になると、ブレイクダウンが大流行。これはバッド・ブレインズがレゲエとメタルのバックグラウンドを持っていたからである[13]。この間、スラッシュメタルバンドはハードコアから多大な影響を受けており、その証拠に1987年にはメタリカがDischargeとMisfitsのカバーを行ったりしていた[14]。
余談ではあるが、1980年代の日本のハードコア・パンク・シーンではG.I.S.M.や初期のGASTUNKがメタルコアと呼ばれた[15]。これは一時代の局所的な呼称であり、本記事で扱うメタルコアとは直接の関連性はない。
1990年代(メタリックハードコア)
1984年から1995年にかけて新しいタイプのハードコアバンドが現れた[16]代表的なバンドにはHogan's Heroes,[17][18]、Merauder、All Out War[19]、Integrity[20]、Biohazard、Hoods、Earth Crisis[20][21]、Converge[21]、Shai Hulud[22][23][24]、Starkweather、Judge[21]、Strife[20]、Rorschach[25]、Vision of Disorder[25]、Hatebreedなどがいる[20][25]。
Hogan's Heroesは主にGovernment Issue、Bad Brains、Misfitsといったハードコアバンドや、NWOBHMの要素、Venomのようなバンドから影響を受けていた[26]。IntegrityはG.I.S.M.、Slayer、Septic Death、Samhain、Motörhead、Joy Divisionらから主に影響を受けた[27]。Earth Crisis、Converge、Hatebreed[28]らはハードコアパンクやデスメタルの影響が大きい[29]。Earth CrisisのアルバムDestroy the Machinesはこのシーンにおいて特に重要な作品である[30]。Biohazard、Coalesce、Overcastらも重要な役割を果たした[31][32]。
2000年以降
2000年頃からアメリカ マサチューセッツ州のハードコアシーンで活躍していたニュースクール・ハードコア出身のキルスウィッチ・エンゲイジやシャドウズ・フォールといったバンドがアット・ザ・ゲイツやイン・フレイムスの影響を受けて音楽性が急速にメタルに接近して誕生した音楽を呼称したのが始まりだと言われている。
また、スウェーデンのイン・フレイムスやソイルワークといったバンドもアメリカへ進出した際に、現地のバンドの影響を受けて従来のメロディックデスメタルの音楽性からメタルコアに近い音楽性に変化している。
新しい形のニューメタルとしてジャンルを確立しつつあり、近年の人気に伴いフォロワーが次々と生まれ飽和状態となった。その結果、本来メタルコアがあるべき姿である「非主流派」から主流派になってしまったという批判を受けており、そこから新たな非主流派たるデスコアが誕生することとなった。
サブジャンル
メロディック・メタルコア
2000年初頭になると、メロディに重きを置くバンドが雨後の筍のごとく多数現れた。このようなバンドの多くはメロディックデスメタルとハードコアパンクを融合させるスタイルをとっていた[33]。
代表的なバンドにはKillswitch Engage、As I Lay Dying、Trivium、All That Remains[34]、Atreyu[33][35][36]、Bullet for My Valentine[37]、Bury Tomorrow[38]、Darkest Hour[35]、August Burns Red[39][40][41]などがいる。彼らはAt the Gates[35]、Arch Enemy、In Flames、Soilworkといったスウェーデンのメロデスから大きな影響を受けている[42]。クリーンヴォーカルを用いることが多いのも特徴である[43][44]。中には、Shadows Fallのように80年代のグラムメタルへの愛を表明するものもいる[45]。
マスコア/カオティック・ハードコア
テンプレート:Main マスコアは90年代中頃に発表されたコンヴァージ[46]、Botch[47][48]、デリンジャー・エスケイプ・プラン[49]らの作品から産まれたジャンルである。マスコアという用語はマスロックのアナロジーとして使われている。マスコアはスピード、テクニカルなリフ、普通とはちがったtime signaturesによって特徴づけることが出来る[50][51]。Fear Beforeのようなバンドはメタルコアの特徴とプログレッシブメタルの要素を組み合わせている[52]。
デスコア
テンプレート:Main デスコアはメタルコアとデスメタルを組み合わせたもの[53][54][55]。デスコアの特徴はブレイクダウン、ブラストビート、デスメタル的なリフ[56][57]。ギターソロを入れたり、メタルコアに影響を受けたリフを導入するバンドもいる[53]。ニューヨーク出身のデスメタルバンドSuffocationはデスコアの出現に大きな影響を与えたといわれる[58]。代表的なデスコアのバンドにはSuicide Silence[59]、Whitechapel[59]、Knights of the Abyss[60]、Carnifex[59]、Chelsea Grinが挙げられる[61]。
主なバンド
- テンプレート:Flagicon アーキテクツ
- テンプレート:Flagicon アイ・キルド・ザ・プロム・クイーン
- テンプレート:Flagicon アイズ・セット・トゥ・キル
- テンプレート:Flagicon ジ・アカシア・ストレイン
- テンプレート:Flagicon ジ・アゴニーシーン
- テンプレート:Flagicon ジ・アゴニスト
- テンプレート:Flagicon アズ・アイ・レイ・ダイング
- テンプレート:Flagicon アスキング・アレクサンドリア
- テンプレート:Flagicon アズ・ブラッド・ランズ・ブラック
- テンプレート:Flagicon アタック・アタック!
- テンプレート:Flagicon アトレイユ
- テンプレート:Flagicon アビゲイル・ウィリアムズ(最初期)
- テンプレート:Flagicon アフター・ザ・ベリアル
- テンプレート:Flagicon アフターショック
- テンプレート:Flagicon アヴェンジド・セヴンフォールド
- テンプレート:Flagicon ア・デイ・トゥ・リメンバー
- テンプレート:Flagicon アンアース
- テンプレート:Flagicon アンダーオース
- テンプレート:Flagicon イーチ・オブ・ザ・デイズ
- テンプレート:Flagicon イット・ダイズ・トゥデイ
- テンプレート:Flagicon イン・ディス・モーメント
- テンプレート:Flagicon イン・フィアー・アンド・フェイス
- テンプレート:Flagicon ウィズ・パッション
- テンプレート:Flagicon ウィックヘッド
- テンプレート:Flagicon エイッツ
- テンプレート:Flagicon エマージェンシーズ
- テンプレート:Flagicon オーガスト・バーンズ・レッド
- テンプレート:Flagicon オーバーキャスト
- テンプレート:Flagicon オール・ザット・リメインズ
- テンプレート:Flagicon キャリバン
- テンプレート:Flagicon キルスウィッチ・エンゲイジ
- テンプレート:Flagicon キバオブアキバ
- テンプレート:Flagicon クリスタル・レイク
- テンプレート:Flagicon クロスフェイス
- テンプレート:Flagicon ゴッド・フォービッド
- テンプレート:Flagicon サイロシス
- テンプレート:Flagicon シャドウズ・フォール
- テンプレート:Flagicon スタンピン・グラウンド
- テンプレート:Flagicon スティル・リメインズ
- テンプレート:Flagicon スマッシュ・ザ・ブレイン
- テンプレート:Flagicon スローモーション・アポカリプス
- テンプレート:Flagicon シナイ・ビーチ
- テンプレート:Flagicon ゼイオー
- テンプレート:Flagicon ソーシャル・エンド・クリスマス
- テンプレート:Flagicon ソニック・シンディケイト
- テンプレート:Flagicon ダーケスト・アワー
- テンプレート:Flagicon テイク・マインズ・プレイス
- テンプレート:Flagicon ディヴァイン・ヘレシー
- テンプレート:Flagicon デッドロック
- テンプレート:Flagicon デヴィル・ウェアーズ・プラダ
- テンプレート:Flagicon トリヴィアム
- テンプレート:Flagicon ニーエラ
- テンプレート:Flagicon パークウェイ・ドライヴ
- テンプレート:Flagicon ビトウィーン・ザ・バリード・アンド・ミー
- テンプレート:Flagicon ビフォア・マイ・ライフ・フェイルズ
- テンプレート:Flagicon フィア・マイ・ソーツ
- テンプレート:Flagicon フェイト・イン・スパイラル
- テンプレート:Flagicon ザ・ブラック・ダリア・マーダー
- テンプレート:Flagicon ブラッドジン
- テンプレート:Flagicon ブリーディング・スルー
- テンプレート:Flagicon ブレイク・ユア・フィスト
- テンプレート:Flagicon ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン
- テンプレート:Flagicon プロテスト・ザ・ヒーロー
- テンプレート:Flagicon ヘイスト・ザ・デイ
- テンプレート:Flagicon ヘイトブリード
- テンプレート:Flagicon ペイン・コンフェッサー
- テンプレート:Flagicon ヘヴン・シャル・バーン
- テンプレート:Flagicon ペリフェリー
- テンプレート:Flagicon MYPROOF
- テンプレート:Flagicon マルーン
- テンプレート:Flagicon ライズ・トゥ・リメイン
- テンプレート:Flagicon ラウンチー
- テンプレート:Flagicon ラム・オブ・ゴッド
- テンプレート:Flagicon リフラックス
- テンプレート:Flagicon 黒い巨塔~0281~
- テンプレート:Flagicon ハガネ
- テンプレート:Flagicon ドラゴン・ドラゴン
註
関連項目
- ハードコア・パンク
- ニュースクール・ハードコア
- カオティック・ハードコア
- エモーショナル・ハードコア
- スクリーモ
- ラウドロック
- ニュー・メタル
- メロディックデスメタル
- デスメタル
- スラッシュメタル
- ヘヴィメタル
- デスコア
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- ↑ * McClard, Kent. Hogan's Heroes |quote="Hogan's Heroes is a four piece that plays a speedy type of clean metallic guitar orientated hardcore.Their approach is unique and up-beat. Attitude wise, they are right on. Built To Last is more than an acetylene burst of energy. It is a positive affirmation of the greatness of the alternative hardcore scene.". No Answers, November 1988, p. 13, 14, 15, 16.
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