ホーボー
ホーボー(Hobo)は、アメリカで19世紀の終わりから20世紀初頭の世界的な不景気の時代、土地から土地へ働きながら渡り歩いた渡り鳥労働者のこと。ホームレスのサブカルチャーの一員。
鉄道に無賃乗車を決め込みながら、時には追い立てられ、アメリカの自由なフロンティア・スピリットを自らに体現し、文学や音楽の世界で多くの人が彼らに憧れと共感を示した。ウディ・ガスリー、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、ティム・バックリィ[1]などフォークをベースにした音楽を作った人たちには、ホーボーを歌った曲、タイトルがある。日本でも川村かおりに「ホーボー・ブルース」、山崎まさよしに「HOBO Walking」という曲がある。
文学上では、ジャック・ロンドンの『ザ・ロード』、ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間』、ドス・パソスの『USA』、ジャック・ケルアックの『路上(オン・ザ・ロード)』などが有名。なかでもジャック・ケルアックの『路上』は、若者に多くの共感者を見出し、ビート・ジェネレーションという精神的な運動を生み出した。短編小説の名手、オー・ヘンリーの作品のなかにもホーボーを描いたものがある。
映画では、『北国の帝王』(主演:リー・マーヴィン)が、列車の屋根に無賃乗車(トレイン・サーフィン)したホーボーとそれを取り締まる冷酷無慈悲な車掌との対決を描いて、その生活の実際をよく見せている。マーチン・スコセッシ監督の初期作品『明日に処刑を…』は、ホーボーにして政治活動家の女性を主人公とするベン・ライトマンの小説『Sister of the Road』を脚色したものである。
沖仲士の哲学者として有名なエリック・ホッファーも長くホーボーのような生活をしていて、彼の『エリック・ホッファー自伝』にはその生々しい実態が率直に語られている。
ホーボーの生活を体験したシカゴ学派の社会学者、N・アンダーソンに『ホーボー―ホームレスの社会学』(原著:1923年、ハーヴェスト社)がある。
ホーボーの語源についてはいくつかの説があるが、定説は無く、1890年頃にアメリカ英語に現れたとされる。
脚注
関連項目
- チャールズ・ブコウスキー
- ヒッピー
- トラヴェラー
- ボヘミアン
- 明日に処刑を…:1972年のアメリカ映画
- 北国の帝王 : 1973年のアメリカ映画
- イントゥ・ザ・ワイルド : 2007年のアメリカ映画。
- クリストファー・マッカンドレス : 『イントゥ・ザ・ワイルド』の主人公