ジョン・スタインベック
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ジョン・アーンスト・スタインベック(John Ernst Steinbeck, 1902年2月27日 - 1968年12月20日)は、アメリカの小説家・劇作家。
概要
1902年カリフォルニア州サリナスで生まれる。祖父は多くの農地を所持したドイツ系移民で、父はドイツ系2世の出納吏。母はアイルランド系の小学校の教師だった。
経歴・生涯
1902年2月27日、カリフォルニア州モントレー郡サリナスに産まれる。姉2人、妹1人の長男。サリーナス高等学校卒業。幼い頃からドストエフスキー『罪と罰』、ミルトン『失楽園』、マロリー『アーサー王の死』などを読み耽る文学好きの少年であり、学級委員も務めていた。高校卒業後一時砂糖工場で働く。
1920年、スタンフォード大学入学。1921年度は授業を全休し、牧場や道路工事、砂糖工場などで様々な労働を経験する。この時の経験がのちの彼の作品の世界観に現れていった。1925年、海洋生物学を学んだのちスタンフォード大学を学位を取らずに退学、その後帰郷し、3年間山小屋やマス孵化場などで働きながら作品を書く。1929年、『黄金の杯』で作家デビュー。1930年、キャロル・ヘニングと結婚。
1934年4月短編作品『殺人』がO・ヘンリー賞を受賞。1935年1月、アムニージア・グラスコックの筆名で「モントレー・ビーコン」誌に詩八編を発表。同年5月、作品『トーティーヤ大地』出版。カリフォルニア・コモンウェルス・クラブから金メダルを受賞。同作品の映画化権料を手に入れる。1937年、『二十日鼠と人間』を発表。1938年、『長い谷間』を発表する。この頃から注目を集め始める。
1939年4月、大干ばつと耕作機械によって土地を奪われた農民たちのカリフォルニアへの旅を描いた壮大な作品『怒りの葡萄』出版。作品は賛否両論を引き起こす。1940年、怒りの葡萄がピューリッツァー賞、全米図書賞を受賞。 同作品はヘンリー・フォンダが主演を務め、7万5000ドルの映画化権料で映画化され、2つのオスカーを獲得したこの作品で一躍その名声を不動のものとする。
1942年3月、『月は沈みぬ』出版。独裁国に対するノルウェー市民の抵抗を書き、ノルウェー国王から勲章を授けられた(1945年)。ナチスに対抗するパリのレジスタンスから1944年、『闇夜』の名前で刊行された。アメリカ空軍の依頼により、アメリカ空軍の実体を国民に宣伝する『爆弾投下』を発表。1942年、キャロル・ヘニングと離婚。1943年、女優グウィン・ヴァードンと結婚するも、1948年に離婚。1950年、舞台監督エレイン・スコットと結婚。
1950年、聖書の物語と南北戦争から第一次大戦までの時代を背景に、カリフォルニアの一家族の歴史を描いた大作『エデンの東』を発表。5年後この作品も映画化。主演のジェームズ・ディーンの演技が話題を呼び、大ヒットを記録した。その後も意欲的な作品を書き続け、1962年にはノーベル文学賞を受賞したが、国内の批評家からの評価は必ずしも芳しくなく、晩年の生活は決してめぐまれたものではなかった。1968年、ニューヨークで心臓発作をおこして死亡。テンプレート:没年齢。
主要著作
- スタインベック全集 全20巻 大阪教育図書 1996-2001
長編小説
- 『黄金の杯』"Cup of Gold"(1929年)
- 鍋島能弘,乾幹雄訳 和広出版 1978.11
- 浜口脩,加藤好文訳 全集
- 『知られざる神に』"To a God Unknown"(1933年)
- 高橋悦男訳 現代出版社 1969
- 山下光昭,中山喜代市訳 全集
- 『おけら部落』"Tortilla Flat"(1935年)
- 『疑わしき戦い』"In Dubious Battle"(1936年)
- 疑わしい戦い 橋本福夫訳 ダヴィッド社 1954
- 廣瀬英一,小田敦子訳 全集
- 『二十日鼠と人間』"Of Mice and Men"(1937年)
- 『怒りの葡萄』"The Grapes of Wrath"(1939年)
- 『月は沈みぬ』"The Moon is Down"(1942年)
- 『赤い小馬』"The Red Pony"(1945年)
- 『キャナリー・ロウ』"Cannery Row"(1945年)
- 罐詰横町 石川信夫訳 荒地出版社 1956
- 井上謙治訳 福武文庫、1989 全集
- 『気まぐれバス』"The Wayward bus"(1947年)
- 大門一男訳 六興出版社 1951 のち角川文庫、新潮文庫
- 杉山隆彦,酒井康宏,山下巌訳 全集
- 『真珠』"The Pearl"(1947年)
- 大門一男訳 角川文庫、1957
- 佐藤亮一訳 現代アメリカ文学全集、荒地出版社、1958
- 中山喜代市訳 全集
- 『爛々と燃える』"Burning Bright"(1950年)
- 中島最吉,田中啓介訳 全集
- 『エデンの東』"East of Eden"(1952年)
- 『たのしい木曜日』"Sweet Thursday"(1954年)
- 『ピピン四世三日天下』"The Short Reign of Pippin IV"(1957年)
- ピピン四世うたかた太平記 中野好夫訳 角川書店 1963 改題、文庫
- ピピン四世の短い治世 橋口保夫訳 全集
- 『われらが不満の冬』"The Winter of Our Discontent"(1961年)
- 野崎孝訳 新潮社 1962
- 井上博嗣,要弘訳 全集
- 『アーサー王と気高い騎士たちの行伝』"The Acts of King Arthur and His Noble Knights"(1976年)
- 多賀谷悟,橋口保夫訳 全集
短篇集
- 『天の牧場』"The Pastures of Heaven"(1932年)
- 加藤光男,西村千稔,伊藤義生訳 全集
- 『長い谷間』"The Long Valley"(1938年)
- 石川信夫訳 河出文庫、1954
- 菊・大連峰 阪田勝三,森清訳 英宝社 1956
その他
- 『コルテスの海航海日誌』"The Log from the Sea of Cortez"(1941
- 『コルテスの海』吉村則子・西田美緒子訳 工作舎 1992) ISBN 4-87502-209-3
- 仲地弘善訳 全集
- 『ロシア紀行』"A Russian Journal"(1948年)
- 戦後ソヴェート紀行 角邦雄訳 北海道新聞社 1948 のち角川文庫
- 今村嘉之,藤田佳信訳 全集
- 『かつて戦争があった』"Once There was a War"(1958年)
- 角邦雄訳 弘文堂 1965
- 小野迪雄訳 全集
- 『チャーリーとの旅』"Travels with Charley"(1962年)
- 『アメリカとアメリカ人』"America and Americans"(1966年)
- 大前正臣訳 サイマル出版会 1969 のち平凡社ライブラリー
- 深沢俊雄訳 全集
- 『エデンの東:創作日誌』"Journal of a Novel"(1969年)
- 創作日記“エデンの東"ノート 田辺五十鈴訳 早川書房 1976
- 八淵龍成,川田郁子訳 全集
- 『スタインベック書簡集』"Steinbeck : A Life in Letters"(1975年)
- 浅野敏夫,佐川和茂訳 全集
- 『収穫するジプシー』"The Harvest Gypsies"(1988年)
- 『怒りの葡萄:創作日誌』"Working Days"(1989年)
- ロバート・ドゥモット編 中田裕二訳 全集
- スタインベックの創作論 テツマロ・ハヤシ編 浅野敏夫訳 審美社 1992.11
受賞歴
アカデミー賞
外部リンク
- National Steinbeck Center in Salinas, CA
- John Steinbeck Collection - Ball State University Archives and Special Collections Research Center
- テンプレート:Imdb name
- Nobel Laureate page
- 1989 Audio Interview with Robert Demott talking to Don Swaim about John Steinbeck, RealAudio
- 1989 Audio Interview with Elaine Steinbeck talking to Don Swaim about John Steinbeck, RealAudio
- C-Span American Writers Series
- FBI file at The Smoking Gun
- A Tour of John Steinbeck's "Valley of the World"
- Biography of John Steinbeck
- Oprah's Book Club
- WorldCat Identities page for 'Steinbeck, John 1902-1968'
- Official Homepage for Thomas Steinbeck, Writer and Son of John Steinbeck
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