ヘキサン

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ヘキサン (hexane) は有機溶媒の一種で、示性式 CH3(CH2)4CH3 で表される直鎖状アルカンである。常温では無色透明で、灯油の様な臭いがする液体。水溶性は非常に低い(20テンプレート:℃で13 mg/L)。

構造異性体、すなわち、分子式 C6H14 と表される枝分かれアルカンとして、2-メチルペンタン3-メチルペンタン2,2-ジメチルブタン、および 2,3-ジメチルブタンの4つが知られる。それらの異性体と区別するため、ヘキサンは特にノルマルヘキサン (n-hexane) と呼ばれることもある。また、これらの異性体を含めた炭素6個のアルカン群の呼称として、ヘキサン (hexanes:複数形) という言葉を使うこともある。

ヘキサンはガソリンに多く含まれている。また、ベンジンの主成分である。

反応

600–700テンプレート:℃熱分解を起こし、水素メタンエチレンなどを生ずる。

用途

極性の低い溶媒として、油脂の洗浄・抽出をはじめ様々な用途に用いられる。 大豆の脱脂加工にも用いられ、大豆油はヘキサンを溶剤として油脂を抽出したものである。大豆油製造を行なった際の副生産物(油粕)である脱脂加工大豆を用いて醤油の醸造が行なわれる。

一般用途では、ホームセンターなどで「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」という名称でイソヘキサンを主成分とするスプレーが販売されている。これらの商品はイソヘキサンの溶剤としての効力を高圧ガスの噴射力でさらに高めており、油脂や金属粉による汚れを効果的に除去できる。自動車整備用途だけではなく、機器や部材のグリスや油脂汚れの除去にも応用されるが、プラスチックゴムを侵す作用がある。

安全性

ヘキサンは、引火点が−22テンプレート:℃可燃性液体である。空気中の爆発限界濃度は1.1–7.5体積%であるので、使用する際は十分な換気が必要である。日本では、消防法により危険物第四類(第一石油類 危険等級3 非水溶性)に指定されている。


慢性毒性として、アルカンの中でヘキサン(ノルマルヘキサン)は特異的に毒性を有する。代謝系でヘキサンが酸化され2,5-ヘキサンジオンが生成し、これが末梢神経を侵すために歩行困難などの多発性神経症が発症する。

急性毒性としては500ppm以上の濃度のヘキサンに曝露する事で頭痛や軽度の麻酔作用が現れることがある。

関連項目

C5:
ペンタン
直鎖アルカン C7:
ヘプタン