ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女
テンプレート:Infobox 『ファミコン探偵倶楽部PARTII うしろに立つ少女』(ファミコンたんていくらぶパートツー うしろにたつしょうじょ)は、任天堂から発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステム用アドベンチャーゲーム。「ファミコン探偵倶楽部」シリーズの第2作。
前編後編の2部構成になっていて、1989年5月23日に前編が、同年6月30日に後編が発売された。1998年4月1日にスーパーファミコンでリメイク版も発売された。
目次
概要
本作は前作『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』がヒットしたのを機に制作された。原作は坂本賀勇、作曲は山本健誌、シナリオはあさまなぎひろ[1]、制作は横井軍平が各担当している。
物語は前作の3年前のストーリーとなる。原作を担当した坂本は、自らが強い影響を受けその演出手法を学んだイタリアの監督ダリオ・アルジェントのホラー映画『サスペリア』『サスペリアPART2』へのオマージュであると語っている[2]。青少年にはふさわしくない(喫煙や殺害などの)シーンが含まれている。
1998年4月1日にニンテンドウパワーの書き換え用ソフトとして、グラフィック・サウンドを大幅にリニューアルし、スーパーファミコンでリメイクされた。こちらも企画、制作、脚本は坂本賀勇、作曲は山本健誌が担当している[3]。
2004年8月10日には、ディスクシステム版の前後編を忠実に移植収録したゲームボーイアドバンス版(ファミコンミニ ディスクシステムセレクション)も発売された。なお、この作品は、前述の喫煙シーンの影響から、CEROレーティングで15歳以上対象とされ、任天堂発売のタイトルで初のCEROレーティングによる対象年齢付きソフトとなった。
更にWiiバーチャルコンソールとして、2008年4月30日からスーパーファミコン版が、2009年12月22日からディスクシステム版が配信されている。また、ニンテンドー3DSバーチャルコンソールとして2013年5月1日からディスクシステム版が配信され、Wii Uバーチャルコンソールでは2013年7月31日からスーパーファミコン版が配信されている。ディスクシステム版はゲームボーイアドバンス版と同様に前編と後編を1本に収録している。スーパーファミコン版は800ポイント、ディスクシステム版は500ポイントまたは500円。
- スーパーファミコン版ではクラシックコントローラーかゲームキューブコントローラーがないとプレイできない。
- ディスクシステム版では前編をクリアすると後編がプレイできるようになって、以降からは前編と後編のどちらかでプレイできるようになる。
ゲーム内容
本作は、舞台となる私立高・丑美津高校(うしみつこうこう)に伝わる『後ろの少女』という怪談話を軸に、丑美津高校の生徒が被害者となった殺人事件と、別件である時効寸前の殺人事件を同時に読み解くデュアル(二重)ストーリー形式のミステリーアドベンチャーゲーム。学校の怪談をモチーフにした不気味な舞台設定と雰囲気が特徴的である。
基本的なシステムは前作と同様で、主人公の操作方法はコマンド選択方式となっており、「ばしょいどう」「きく」「よぶ」「みる・しらべる」などのコマンドを選択し、ゲームを進行する。本ゲームの特徴的なコマンドとして、前作では「おもいだす」「すいりする」の2つのコマンドがあったが、本作では「かんがえる」「すいりする」の2種類となっている。前作における欠点であった、登場人物が何度も同じ内容を語る部分が改善されるなど、全体的に前作よりもスムーズに進行するように配慮されている。
なお、オリジナル版では後編の序盤で擬似3Dマップを移動しての捜索シーンがあるが、SFC版ではこのシーンを削除し、テキストによる回想に替えている。
ストーリー
今(1989年)から3年前(1986年)のある日の夜、主人公は2人の警官に追われていた。夜中にうろついていると思われる未成年の少年である主人公を尋問しようとしていたのだ。しかしそこで主人公は空木俊介という探偵に出会い、彼に助けられる。
主人公は、行方不明となっていた彼の両親を探すべく単身飛び出し、空木いわく「もっか家出中」だったのである。話し合った結果、主人公は、両親を見つける手がかりにもなるのではと考え、空木の元に身を寄せ彼の助手として働く事となった。
そして数ヵ月後のある日の朝、空木探偵事務所に鳴り響く1本の電話のベルが、恐怖の事件の幕開けを告げる。
登場人物
- 主人公
- 少年探偵。15歳。空木探偵事務所の助手。助手となって数ヶ月の駆け出しである。プレーヤーはこの主人公になって事件の謎を解く。空手三段の腕前。
- 空木 俊介(うつぎ しゅんすけ)
- 私立探偵兼空木探偵事務所の所長。36歳。探偵であるが警察の信頼も厚い人物。「金田源治郎殺害事件」の捜査に専念するため、今回の事件を主人公に任せる。
- 橘 あゆみ(たちばな あゆみ)
- 丑美津高校1年生。15歳。サークル「探偵クラブ」のメンバー。親友を殺され、事件解決のために主人公に協力する。事件に対する強い思いから、思いがけない行動力を見せることも。
- 小島 洋子(こじま ようこ)
- 丑美津高校・1年A組。15歳。親友のあゆみと一緒に、「探偵クラブ」というサークルを作っていた。丑美津高校に古くから伝わる怪談話「うしろの少女」の噂を調べていくうちに、何者かによって殺害される。
- 日比野 達也(ひびの たつや)
- 丑美津高校の英語教師。31歳。小島洋子のクラスの担任で、洋子の死に強いショックを受けている。浦部を慕っている。が、反面誰かのことを庇っているように見えなくもないのだが...
- 小島 秋江(こじま あきえ)
- 洋子の母。42歳。洋子が亡くなった直後はショックに陥っていたが、徐々に主人公に対して協力的となる。
- 駒田 哲治(こまだ てつはる)
- 丑美津高校の美術教師。59歳。勤続年数35年の学校一の古株。「うしろの少女」のこともそれなりに知っており、校長の浦部とは古くからの付き合いでもある。
- 前作に登場した熊田と同様、語尾の「じゃ」が「ぢゃ」になる印象深い人物。
- 浦部 忠志(うらべ ただし)
- 丑美津高校校長。57歳。教育者の鑑として生徒・教職員の信頼も厚い。今回の事件では冷静となりつつも、生徒を守れなかったことを悔いている。それにしてはかなり怪しい。
- 葉山 久子(はやま ひさこ)
- 丑美津高校の生物教師。32歳。丑美津高校の卒業生でもある。
- 田崎 敏夫(たざき としお)
- 丑美津高校の用務員。58歳。
- 少々変わり者だが、普段は温厚。しかし一旦カッとなると何をするか分からない程、激情的な性格でもある。高校には20年ほど勤めている。以前は、左官業を営んでいた。
- 丸山(まるやま)
- 空木の知り合いの刑事。48歳。空木とは古くからの付き合いで、主人公にも協力的。現在は15年前に発生した時効寸前の「金田源治郎殺害事件」の最終捜査に追われている。
- 浅川 しのぶ(あさかわ しのぶ)
- 15年前に失踪した丑美津高校の女性徒。当時15歳。未だ行方不明。
- 金田 源治郎(かねだ げんじろう)
- 丑美津高校の近くに住んでいたスナック経営者。15年前、スナック経営のかたわら、高利貸しによる過剰な取立てや詐欺行為も行っていた。多くの人々から被害の訴えが起こり、警察が捜査に乗り出そうとした矢先に自宅で殺害された。時効寸前の「金田源治郎殺害事件」の被害者。
- 金田 五郎(かねだ ごろう)
- 源治郎の養子。31歳。父が殺された後は職にも就かず、その遺産を食い潰して豪遊している遊び人である。
- 河合 ひとみ(かわい ひとみ)
- 丑美津高校の1年生。15歳。丑美津高校番長を自称する不良少年。いわゆるツッパリだが正義感に溢れており、生前の洋子と仲が良かった。主人公を不審人物と思い込んでいたが、誤解が解けてからは捜査に協力する。
- 本作におけるコメディリリーフ的キャラクター。
- 水野(みずの)
- スナックの経営者。33歳。事件当時の五郎とは遊び仲間だった。
- アパートの隣人
- 田崎が住んでいるアパートの隣人。51歳。
- 田崎 文(たざき ふみ)
- 田崎の母。81歳。東北の小さな漁村に住んでいる。
- 加藤(かとう)
- スナック「サンボラ」のマスター。25歳。冷たそうな外見だが、ひとみが中学生の時に世話になっていた。
- 桂木 良子(かつらぎ りょうこ)
- 丑美津高校の卒業生。31歳。しのぶの知り合い。
- 石橋 さやか(いしばし さやか)
- 桂木の友人。31歳。しのぶとは中学校の同級生。
- 内田 輝彦(うちだ てるひこ)
- 工場経営者だったが、金田の詐欺に遭い、工場を騙し取られる。金田事件発生当初は有力な容疑者と目されていたが、数日後、自殺体となって発見された。
移植版
No. | 発売日 | 対応機種 | タイトル | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 価格 | 売上本数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1998年4月1日 | スーパーファミコン | ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女 | 任天堂 | 任天堂 | フラッシュロムカセット | SHVC-BTCJ | 2,100円(税込) | - | リメイク版 |
2 | 2004年8月10日 | ゲームボーイアドバンス | ファミコンミニ ディスクシステムセレクション ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女 |
任天堂 トーセ |
ロムカセット | AGB-P-FTUJ-JPN | 2,000円(税込) | - | ||
3 | 2008年4月30日 | Wii (バーチャルコンソール) |
ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女 | 任天堂 | ダウンロード | - | 800Wiiポイント | - | スーパーファミコン版の移植 | |
4 | 2009年12月22日 | 任天堂 トーセ |
- | 500Wiiポイント | - | ディスクシステム版の移植 | ||||
5 | 2013年5月1日 | ニンテンドー3DS (バーチャルコンソール) |
- | 500円(税込) | - | |||||
6 | 2013年7月31日 | Wii U (バーチャルコンソール) |
任天堂 | - | 800円(税込) | - | スーパーファミコン版の移植 |
開発
本作の開発に関して、原作者である坂本は「『消えた後継者』は時代錯誤っぽいイメージで、物語性はともかく、世界観の魅力がないなと。もっと華やかなものにしたいなということで、自分の好きなパターンのホラーにもっていったんですね」と語っている[4]。
また、好きな映画として『サスペリアPART2』(1975年)を挙げており、「『うしろに立つ少女』は、あの映画に刺激されて作ったようなものです。あの監督(ダリオ・アルジェント)さんは、音楽や映像のつなぎ方が巧い。自分がやってみたいなと思ったことが、そこにあったんです。小説だと無理でも、ファミコンというメディアならそれができる」と語っている[4]。
さらに音楽に関しては「たとえば『寂しい場所のイメージ』は、言葉でとうとうと語るより、音楽によって「ジメッとしている」「ヒンヤリしている」といった雰囲気までをも伝えたほうが効果的ですから。いいタイミングで効果的な音が鳴る、ということには、強いこだわりを持っているつもりです」と語っている[4]。
スタッフ
ディスクシステム版
- 原作 - 坂本賀勇
- 演出 - 大澤徹
- 美術 - たなかてつじ
- 技術監督 - わかながよしひと
- 技術 - たかいえかんじ、なかむらゆずる、きたやままさし、あらいもとお
- 音楽 - 山本健誌
- 脚本 - あさまなぎひろ
- 進行 - はちすかけい
- アシスタント - やまなかまさる、すぎのけんいち、よしとみりょうじ、寺崎啓祐
- 協力 - 加納誠、おかだまさる、坂下雅史
- 監督 - 岡田智
- 製作 - 横井軍平
- 企画 - チームシカマル
スーパーファミコン版
- 作画、美術 - 山根知美
- 美術 - 橘英児、城山功、原子芳紀、生岸康高
- 作画協力 - 佐藤範之
- 音楽、音響効果 - 山本健誌
- ロジックエディター - 平野勲
- プログラマー - 広尾敏文、櫻木啓二
- 制作進行 - 下河康、真田雅之
- プロデュース - 出石武宏、川口孝司
- 原作、脚本、監督 - 坂本賀勇
- 企画 - チームシカマル (R&D 1)
評価
ファミリーコンピュータMagazineの読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、25点満点中20.90点となっている[5]。また、同雑誌1991年5月24日号特別付録の「ファミコンディスクカード オールカタログ」では「本格的ホラーの第2弾」、「前作にも増して、さらに怖くなったアドベンチャー。プレイする価値あり」、と紹介されている[5]。
項目 | キャラクタ | 音楽 | お買得度 | 操作性 | 熱中度 | オリジナリティ | 総合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
得点 | 4.25 | 4.31 | - | 4.05 | 4.40 | 3.89 | 20.90 |
関連作品
- TOY MUSIC2 FIRE EMBLEM(東芝EMI)
- 1991年6月26日発売TOTT-5711
- 題名に『FIRE EMBLEM』と表しているが、この作品と『ふぁみこんむかし話 遊遊記』との合同CDである。
- 任天堂 サウンドヒストリーシリーズ「ディスクシステム レアセレクション」
- 2005年4月6日発売
- ディスクで発売された任天堂制作のADVゲームの内、初音源化となる4作品のサウンドトラック。
- 『ファミコン探偵倶楽部』シリーズ、『ふぁみこんむかし話 遊遊記』『タイムツイスト』の音源が全収録されており、Disc1に1作目及び2作目のBGMが収録されている。
脚注
外部リンク
- ニンテンドウパワー版 ファミコン探偵倶楽部2のページ
- テンプレート:Wiiバーチャルコンソール
- テンプレート:Wiiバーチャルコンソール
- テンプレート:3DSバーチャルコンソール
- テンプレート:Wii Uバーチャルコンソール