ファトワー

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ファトワーテンプレート:Rtl-lang fatwā, 複数形 テンプレート:Rtl-lang fatāwā)は、イスラム教イスラーム)における勧告・布告・見解・裁断のこと。

概要

ファトワーとは、ムフティーと呼ばれる、ファトワーを発する権利があると認められたウラマー(イスラム法学者)が、ムスリム(イスラム教徒)の公的あるいは家庭的な法的問題に関する質問に対して、返答として口頭あるいは書面において発したイスラム法学上の勧告のことである。ファトワー自体には法的拘束力はないが、著名なムフティーによるファトワーはファトワー集に編纂され、各イスラム法学派の個別事例に対する見解を示すものとして重視された。また、イスラム法にのっとって裁判を行うカーディーは、法学書の意見とともに権威あるファトワーの説に従って判決を下す義務があるとみられており、裁判の過程において裁判官が判決の参考とするためにファトワーを要請したり、原告や被告が自身の主張を法的に裏付けるためにファトワーを勧告してもらうこともあった。

高位のムフティーの発するファトワーはジハードの呼びかけや君主の改廃など政治的な目的に使われることがあり、現在でも、イランではファトワーが実際の政治に影響力を持つと言われる。また、エジプトの首都カイロにあるスンナ派イスラムの最高学府アズハルの法学者たちが発したファトワーは、スンナ派世界では高い権威をもつ勧告として尊重されている。

なお、アルカーイダオサマ・ビンラディンもファトワーの語を用いている。

ファトワーが法的効力を持つ国ではファトワーを発する権限を持つ行政機関が存在しており、それ以外の者がファトワーを発することを禁じている。 アラブ首長国連邦ではイスラム宗教局(Department of Awqaf and Islamic Affairs)が発行した物をファトワー調査・執行局(Research and Fatwa Administration)が承認することで法的拘束力を持つ。

サウジアラビアではファトワーは法律に優先する場合があり、超法的手段を必要とする事態に対応するためにファトワーが発行されることがある。アル=ハラム・モスク占拠事件ではモスクの中で銃撃戦を行う許可を得るためにファトワーが発行された。

ファトワーの乱用問題

テンプレート:独自研究 ムフティーであれば誰でもファトワーを発行することが出来るため、ムフティーが偏見や私見に基づいてファトワーを乱発する事例が頻繁に起きている。 また、自称ムフティーがファトワーを発行する事例も多くオサマ・ビンラディンも自称ムフティーとしてテロや殺人を奨励するファトワーを乱発している有名人である(1996年と1998年の二回にわたり、アメリカがイスラエルを支持するのをやめ中東から軍を引かない限り、ムスリムはアメリカとその同盟国の軍人や市民を殺すべきだと述べた)。 乱発される事例として多いのがイスラム教からの棄教者に対する死刑がある。簡単に死刑を乱発することはファトワーの権威を失墜させることになり問題になっている。 ファトワーの効力は全てのムスリムに及ぶわけではなく、一つの国や特定の宗派の集団など通常は限られた範囲内でしか効力を持たない。 しかし、ポケモン禁止のファトワーのように、一国でだされたファトワーが連鎖的に他の国のムフティーにも影響を与え、同じ内容のファトワーが各地で発行された事例もある。

場合によってはムフティー同士で相手の出したファトワーの非難合戦になることもあり、人の出したファトワーを否定するファトワーを出し合う醜い争いになり、一般のイスラム教徒が両方のムフティーの言う事を無視してしまうようになり、イスラム教の権威失墜という事態に陥ることもある。 サウジアラビアで出されたミッキーマウス抹殺ファトワーは他のムフティーからも冷笑され、一般人どころか他のイスラム法学者からも支持されなかった。

このような安易な死刑、抹殺、禁止のファトワーは欧米メディアで面白おかしく取り上げられ、また人権侵害として問題になることもあり、イスラム教への偏見を助長することにもなっている。

著名なファトワー

非常事態への対処を行うためのファトワー

  • 2005年のパリ郊外暴動事件において、フランス国内のイスラム団体、仏イスラム教団連盟(UOIF)が暴力をいさめるファトワーを発令した。
  • スマトラ島沖地震の被害を受けたインドネシアのイスラム教における最高権威「インドネシア・ウラマー評議会」が、外国からの援助食料を食べる事を許可するファトワーを発令した。当時、援助食料はあってもイスラム教に則った処理が行なわれていない、あるいは豚肉などが含まれている可能性もある事から、ムスリムの中には援助食料に手を付けられない者もいるという状況であった。

科学や技術の発展に伴うファトワー

  • 2007年マレーシア人の宇宙飛行士、シェイク・ムザファ・シュコアの任務に際し、マレーシアのファトワー評議会は、ムスリムの宇宙滞在中の過ごし方について18ページに及ぶファトワーを発令した。宇宙空間ではキブラ(礼拝の方角)やラマダーンに伴う断食時間の決定が困難であることなどによる。
  • オーストラリアのムフティー、シェイク・タージ・アルディン・アル・ヒアリは、頭髪および体の線が出ないように設計されたイスラム女性用水着「ブルキニ」が合法(ハラール)であるとのファトワーを発した。

表現に関わるファトワー

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  • 2008年8月27日にサウジアラビアのムフティーであるムハンマド・アル=ムナッジド(الشيخ محمد صالح المنجد)がアル・マジドテレビに出演し、「ネズミはシャリーアの国では殺されねばならない存在であるため、ミッキーマウスなども禁止されねばならない」とのファトワーを読み上げた。このファトワーは外国のマスメディアでも取り上げられた。

関連項目

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