ハンター・キャッツ

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsハンター・キャッツ』はあろひろしによる日本漫画作品、および作中に登場する主人公たち賞金稼ぎのチーム名。

概要

月刊少年キャプテン』(徳間書店)にて1993年頃より連載開始。同誌の後期の看板作品の一つとして、休刊(事実上の廃刊)寸前の1996年8月号まで連載された。 単行本は全5巻。

同作者による漫画作品『シェリフ』と背景設定と登場人物の一部を共有しており、本作は『シェリフ』の4年後の世界を描いた姉妹作に当たる。 ただし、連載誌・読者層が異なるために主人公交代が行われており、また描かれる内容も前作よりも広い舞台でのものとなった。

なお、第5巻の最終頁では「第一部 完」と明記されているが、その後の展望については2012年秋現在に至るまで告知などはなされていない。


あらすじ

  • 世界観については『シェリフ』を参照のこと。

ハンター・キャッツは荒事の多い賞金稼ぎ業界にしては珍しい、若い女性3人構成という変り種の賞金稼ぎ(ハンター)チーム。だが、彼女たちは普通のちょいと腕の立つ女性……などではなかった。彼女たちはそれぞれにとんでもない特技を持つプロフェッショナルなのである。

  • 名人と呼ばれた江戸っ子巾着きり(スリ)の技を持つリーダー神速の輝(ヒカル)。
  • 偉大なる闇の暗殺者の武技をその身に仕込まれた鉄拳の晃(アキラ)。
  • 全てのコンピュータを跪かせる名ハッカー電脳女王(サイバー・クィーン)(メイ)。

3人はその特技を活かし、今日も悪党退治に精を出す。凶悪化したこの世界で犯罪に立ち向かう賞金稼ぎチームハンター・キャッツ。日常の小さな事件から国際犯罪組織が絡む大事件まで、彼女たちに解決できない事件はない!

登場人物

四龍(スーロン)の構成員については「四龍」の項目を参照する事

ハンター・キャッツ

早房輝(はやぶさ ヒカル)
賞金稼ぎ(ハンター)チームハンター・キャッツの最年長(20歳)にしてリーダー。名人と呼ばれた巾着きり(スリ)であった祖父に育てられ、その際に祖父のスリ技の全てを仕込まれている。その高い技術は拳銃に装填された銃弾を抜き取ることはおろか、発射された銃弾さえも空中で掴み取り、プロのスリや怪盗すら舌を巻くほど。4年前にこの世を去った祖父から「江戸っ子」「スリ」としての常識で育てられた事から、子供のころは一般常識とのギャップに苦労していた。
メンバー唯一の成人(賞金稼ぎ営業許可証保有者)だが、童顔で小柄なため学生に間違われることも多い。同居者でもあるチームメンバーの家事を一手に引き受けている。言動の随所に天然の気が見られる。かつて彼女のスリの腕を狙った犯罪組織「四龍」に囚われるが、ある人物に助けられるという過去を持つ(『シェリフ』最終話「享悪の宴」の事件)。
早房晃(はやぶさ アキラ)
キャッツでは肉体派の格闘担当。18歳。全身に壮絶な古傷を持つ。赤子の頃に犯罪組織「四龍」に買われ、使い捨ての暗殺者針人形(ニードル・ドール)として育てられたが、輝の事件のドサクサに紛れて脱出した。そうした経緯があるために密入国・不法就労者の扱いだったが、ある事件によって永住許可を得る事になった。本名は晃晃(ホアンホアン)。便宜上、輝の姓である「早房」を名乗っている。
幼少時からの特殊な訓練により、その両手は猛毒を帯びた毒手掌(どくしゅしょう)となっており、擦過傷からでも相手を死に至らせることが可能。しかし素手のままでは日常生活に支障が出るため、戦闘時以外は(入浴時や睡眠時も含めて)常に特注品の手袋を身に着けている。
毒に関する知識を師から受け継ぎ、また暗殺者としての教育を受けたために主要数ヶ国語の全てを話すことができる(なぜか語をも解する)。それらを除けば頭脳レベルは小学生並みらしい(野性児のような言動も目立つ)。ドラム缶風呂を好むが、入浴頻度は5日に1度。極度の音痴
早房明(はやぶさ メイ)
コンピュータの天才少女。チーム最年少の17歳。南米の農園主の娘(日系四世)だったが、その才能を狙われて犯罪組織「四龍」にさらわれ、晃同様に輝の事件で助けられる事になる。彼女も日本に戸籍・身寄りがないために便宜上、輝の姓である「早房」を名乗っている。
彼女の両腕は「チャクラ」と呼ばれるコンピュータ内蔵義肢で、人間の精神をそのまま電脳世界にフィードバックする機能を持っている。しかし、「チャクラ」は装着者の精神と肉体に多大なる負担を与えるため、コンピュータ端末としての限界稼働時間は5分とされている。防水・絶縁などの観点から、「チャクラ」使用時以外は常に特注のロンググローブで義手を覆っている。
コンピュータに向かっている間は睡眠・食事・排泄を長時間我慢できるが、実はヤセの大食いで30人前近くの食料をあっという間に平らげる。その食べっぷりは見る者の気分を悪くさせ、拷問手段として通用するほど。自らのコンピュータ端末に名前をつけ可愛がり、セキュリティプログラムなどに対してサディストのような言動をとる。自らを機械と混同しているためか、風呂を極端に嫌い、入浴頻度は3週間に1度以下。

犯罪捕獲人互助組合(クライム・ハンターズ・ギルド)

作中の世界では警察業務が『半民営化』され、犯罪者を捕獲もしくは「処分」した者に賞金を支払う《賞金首制度》が施行されている。その賞金を得ることを生業とする『賞金稼ぎ』同士の相互扶助の為に設立された組織。警察に準じる規模を誇り、組合ビルには屋上ヘリポートや遺体安置室などが存在する。新規に賞金が掛けられた、または賞金額がUPした重犯罪者などは「入札」を行って捜査・捕獲の優先権を決めている他、成績の良い(または装備・人員が充実している)「大手」に優先して権利が斡旋される。

顔役
犯罪捕獲人互助組合の責任者。壮年の男性。個人的にキャッツのような変わり種(マイナー)ハンターが好きで、何かと気にかけている。
具麗寺華留奈(ぐれいじ かるな)
具麗寺財閥のご令嬢にして、道楽でハンター業「具麗寺H・O(ハンターズ・オフィス)」を営む女性。電波吸収材仕様の巨大飛行船事務所(ヘリポート装備)、私設軍隊級の実戦部隊を有し、これらを全て自費でまかなっている。
その目的は「合法的に人間を狩ること」と公言しており、「クレイジー・お嬢」のあだ名で呼ばれる。過剰なまでの貴族趣味に加え、狙った獲物を情報操作で賞金首に仕立て上げる、相場を無視した安値で賞金首の優先捕獲権を強引に落札する、捕獲した犯罪者の首のダミーを展示するなど、噂の種には事欠かない。しかし採算度外視ゆえに高い犯罪者捕獲率を誇り、また前述どおり安値で仕事を引き受けることもギルドの経費削減につながっているため、ギルド内での発言力は大きい。
氷室幽也(ひむろ ゆうや)
古参にして一匹狼の賞金稼ぎでキャッツの後見人。折に触れてキャッツの3人娘を気にかけており、3人からも「兄」と慕われる。『シェリフ』から引き続き登場するキャラクターで、かつては無類の武装マニアで「人を撃ちたくて賞金稼ぎになった」と豪語してはばからない危険な男だったが、現在は負傷のため一時的に現役引退しており、そのためか前述の性格も落ち着いている。
ハンター鬼堂(きどう)
氷室幽也の親友であるハンター・鬼堂支那虎(きどう しなとら)の遺児。氷室の紹介を受けてキャッツが見習いとして面倒を見る事になった双子。2人とも非常に可愛い顔をして、見るからに女性だが、実は男(要はオカマ)である。極度の潔癖症でもあり、平日は一日4回、学校のない休日は一日6回の入浴を日課としている。父譲りの才能から超能力テレパシーと幻術)を得意とし、また明ほどではないがコンピュータもそこそこに使える。なおテレパシー能力は血縁者間にしか作用しない。
元々「ハンター鬼堂」の名は父・支那虎の生前の通称であり、彼らは二代目に当たる。(女子生徒として)学校に通う傍ら、しばらくキャッツの元で見習いをしていたが、「蒼き龍」の事件でハンターとして正式にデビューした。
鬼堂ひとみ(きどう ひとみ)
見るからにフリル系の服を好み、髪型もふわっとしたパーマをかけている。見た目はアイドル系の女の子。水系の幻術を得意とする。
鬼堂かおる(きどう かおる)
ぴっちりしたスーツ系の格好を好む。髪型はワンレン。見た目はキャリアウーマン的な女の子。炎系の幻術を得意とする。
アレキサンダー・ライト
通称「ハンター・神父」。もと米軍特殊部隊従軍神父。陰惨な任務に参加する隊員たちの精神的負担を軽減する事が任務であったが、同様に作戦に参加している自分自身の精神的負担が救済されないため、ある作戦で部隊が壊滅したのを機に軍を除隊。その後、日本で引き継いだ教会兼孤児院の運営の為、戦闘術を活かしてハンターに転職した「変わり種」。人当たりは良いが日常技能は絶無に等しく、腰を伸ばして歩く事すら慣れていないため、何も無いところでいきなり転ぶなど、度を越えたドジさを見せる。
ちなみに輝の祖父は彼の運営する教会の墓地に葬られており、チャキチャキの江戸っ子だった祖父がなぜ教会に葬られる事を選んだのか輝も疑問を呈している(ライト神父が引き継ぐ以前は「年配のシスター」が管理していたそうだが…)。輝は墓参りに来た際に知り合った。
斬馬組(ざんまぐみ)
荒っぽい仕事で有名な、男性3人組の古参ハンター・チーム。それぞれが、銃火器による攻撃・その弾丸類の補給・耐爆スーツでの防御を専門に担当し、そのチームワークにより高い戦闘能力を発揮する。

その他

岩下(いわした)
警察組織の特捜二課に所属する警部。キャッツの受け持つ事件には必ずといっていいほど顔を合わせる。年若く破天荒なキャッツだが、そのウデが確かであることを認め、それなりの信頼を寄せて面倒を見ている。スキンヘッドでコワモテだが寿司好きな気のいいオヤジ。ちなみに仕事に生きるダンディーな独身である。
政(まさ)
岩下警部の行きつけの寿司屋「寿司政」の板前であり店長。かつては裏街道に名の知られた男であったが、岩下警部の世話になり足を洗って寿司屋となった。現在でも裏街道の一部には顔が利く模様だが、昔ゆえのトラブルに巻き込まれることも多い。
MORUMO 1/10』の新装版単行本の書き下ろしページにて、「怪しい」キャラクターの一例として取り上げられている。

単行本

  • 少年キャプテンコミックススペシャル(徳間書店) 全5巻
  1. 1993年10月10日 ISBN 4-19-833100-6
  2. 1994年5月20日 ISBN 4-19-830006-2
  3. 1995年4月25日 ISBN 4-19-830067-4
  4. 1996年1月15日 ISBN 4-19-830116-6
  5. 1996年11月25日 ISBN 4-19-830147-6テンプレート:Asbox