ハバネロ
テンプレート:生物分類表 ハバネロ[1](英:Habanero chilli、西:chile habanero、学名:Capsicum chinense)はトウガラシ属の植物の一種で、シネンセ種の品種の一つ。実の大きさは2 - 6センチメートル。名称はハバナにちなみ、スペイン語では"H"を発音しないためチレ・アバネロとなる。
ハバネロの熟す前の実は緑色だが、熟すると様々な色に変わる。最も一般的なのはオレンジ色だが、白、ブラウン、ピンクなどもみられる。
概要
ハバネロの辛さはおよそ300,000スコヴィル(辛さの単位)で、ギネスブックにはGNS Spices Inc. が1994年に申請した最高記録として577,000スコヴィルが掲載されている。その起源は中央アメリカから南アメリカで、アマゾン盆地かその近くの沿岸部である確率が最も高いと考えられており、そこからユカタン半島に伝わったようである。ユカタンでは現在年に1500トンが生産されており、その他の産地としてブラジル、コスタリカ、ベリーズ、アメリカ(テキサス州、アイダホ州、カリフォルニア州)がある。
ハバネロは単に猛烈に辛いだけでなく、柑橘系のフルーティーな香りがある。したがってハバネロは鳥、牛肉料理やカレーなどに用いることにより、料理全体の食味を向上させることができる。逆に日本食のうどんなどの淡白な風味の料理に用いるとハバネロの風味が勝るために使用には注意を要する。日本では東ハトが「暴君ハバネロ」を2004年に発売して以来、激辛スナックブームが起こり、急激に知名度が上がった。
なお、現在ではハバネロよりも遥かに辛いトウガラシが存在する事が分かっており、2006年12月にエスビー食品が開発した品種「SBカプマックス」が、2007年2月にはインド・バングラデシュ産のシネンセ種の一つブート・ジョロキア[1]が世界一辛いトウガラシとしてギネスブックに認定された。また、SBカプマックス以前にギネス記録とされていた、ハバネロから選抜改良されたレッドサビナ種(Red Savina pepper)も、従来のハバネロより2 - 3倍程度スコヴィル値が高いとされている。
近年、テキサス州の研究者がユカタン半島の辛いハバネロとボリビアの辛くないシネンセ種を掛け合わせ、風味はハバネロそのものだが、辛くないハバネロを作出した[2]。
激烈な刺激性を持っており、飛沫したハバネロの野菜汁が眼の周辺、鼻、耳、皮膚の弱い部分等に付着した場合はすぐに洗い流す必要がある。しばらく放置した場合、火傷のように爛れる場合があるので注意が必要。
ハバネロ等唐辛子を使った料理には、脂肪を燃やす働きがあり“やせる”と考えられることが多いが、「ハバネロ料理」又はスパイスとしてハバネロが用いられている料理には肉類やコーン類・油脂等総合的に見れば高カロリーになっているものもあるので注意が必要。
栽培
日本国内における栽培は、野菜としてはかなり容易である。ただし需要が無いので、大規模に商業的に栽培されている例は日本にはほとんどない(現在、京都府亀岡市で、比較的大規模に生産がされており、名産品として認知されつつある)。日本国内で栽培する場合は一年草として扱うが、室内栽培であれば比較的容易に越冬させられる(以下に示した月数は東京を基準としている)。
- 育苗 4月初めから5月初め
- 定植 5月中
- 育苗したら、畑の場合0.5m間隔ぐらいに植える。鉢の場合、7 - 8号鉢以上に植え、日当たりの良い所に置く。腐植質をしっかりと混ぜて、かつ水はけを良くしておく。元肥も一般的な野菜よりやや多めにすれば収量も多くなるが、もともと強い植物なのでそれほど気を使わなくても良い。
- 仕立て 6月終わりから7月初め
- 特に仕立てを行わない場合には草丈100 - 120cm程度に生長する。しかしハバネロを含むトウガラシの仲間は根が浅く、そのまま栽培すると倒伏しやすくなるため、高さが60cmを超えたら頂芽を摘芯して脇芽3本を生育させるようにする。こうすると、最終的な開花数が増えて収量も増える。だいたい摘芯する頃に開花が始まる。
- 開花と着果 7月の中頃から9月の終わり
- 側枝の分岐点より複数の花芽を伸ばし、下向きの白い花を咲かせる。自家受粉する。いったん開花し始めると、1ヶ月ほどの間にかけて次々に開花し、3つの花に1つずつぐらい実がつく。摘果する必要はない。実は、初めは綺麗な緑色をしているが、着果後25 - 40日をかけて成熟した後、緑色からやや黄色みがかった橙色に色が変わる。実の色が変わり始めてから完全に橙色になるまでに要する時間は1 - 2日。だいたい10月の終わり頃まで収穫できる。
- 病害虫
関連項目
脚注
- ↑ なお一部の辛味商品では、南米風に伸ばした「ハバネーロ」と云う呼び方もされるものがある。