トラフグ
テンプレート:生物分類表 トラフグ (虎河豚、英: Japanese pufferfish、学名: Takifugu rubripes)は、フグ目フグ科に属する魚類。
分布・生息域
分布は、太平洋北西部、日本海西部、黄海、東シナ海など。北海道室蘭付近が北限。湾内などに多く、成長するまでは河口の汽水域にもいる。
形態・生態
体長 70 cm 程度になる。産卵は春。
人との関わり
食用として取引されるフグの中では最も高級とされる。他のフグ類同様、テトロドトキシンという神経毒を含むため、調理には免許が必要である。特に毒性が強い部位は肝臓と卵巣である。
石川県では1年以上も卵巣を塩漬けにしたうえ、さらに糠に漬け込んで毒を抜いた珍味「河豚の卵巣の糠漬け」が食用として供されている。ただし、解毒に至るプロセスは依然解明されていない。
本種は養殖もされる。近年では、毒をもたないトラフグの養殖がされるようになり、今後の動向が注目される。(海のフォアグラも参照。)
ゲノムプロジェクト
トラフグのゲノムにはジャンクDNA配列が非常に少なく、ゲノムサイズは 3.5-4 億塩基対と脊椎動物では最も小さい(ヒトゲノムは30億塩基対)が、遺伝子の数はヒトとほぼ同じであると考えられる。つまり遺伝子密度が高い生物といえる。これはゲノミクスなどでの遺伝子解析を容易にする。線虫をモデル生物として有名にしたシドニー・ブレナーは、このことに注目し、フグゲノムプロジェクトを立ち上げた。これによってトラフグは生物学において一躍有名になった。
トラフグの自然免疫システム
テンプレート:出典の明記 ゲノムプロジェクトから明らかになったトラフグの免疫システムのうち、自然免疫系で重要な働きをするTLR遺伝子が明らかとなった。ヒトは10種類のTLR分子で体内に侵入する微生物を発見するが、トラフグにもヒトと殆ど同じ種類のTLR分子を持っており、ヒトと同様のシステムでトラフグ体内に侵入する微生物を認識すると考えられている。
しかし、トラフグにはヒトには存在しないTLR分子として、TLR21やTLR22分子を持っており、ヒトよりも、より鋭敏に体内に侵入した微生物を認識できると予想されている。
関連項目
外部リンク
- 天然トラフグ肝臓の毒性分布 食品衛生学雑誌 Vol.54 (2013) No.4 p.277-281テンプレート:Fish-stub