ツガミ
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株式会社ツガミ(テンプレート:Lang-en-short)は、日本の工作機械製造者の一社であり、主に比較的小型のCNC旋盤や、円筒研削盤、転造盤を手掛ける他、マシニングセンタなどを生産している。第二次世界大戦前からの工作機械製造者で、主力工場を新潟県長岡市に置く他、長野県佐久市にも工場を構える。
略歴
- 1923年(大正12年) - 津上退助(1893年 - 1974年)が東京でゲージブロックの研究を始める。
- ゲージブロックの生産するため、新潟県長岡市に「津上製作所」を設立、1939年頃から工作機械の製造を始める。
- 戦後の工作機械製造禁止令下ではミシンなどを生産した。
- 1949年(昭和24年)5月 - 東京証券取引所、大阪証券取引所、新潟証券取引所上場。
- 1970年(昭和45年)11月 - 社名を「津上」に変更。
- 1982年(昭和57年)10月 - 現社名に変更。
- 2009年(平成21年)10月30日 - 大阪証券取引所上場廃止。
スイス式自動旋盤
しばしば「ピーターマン型」とも呼ばれるスイス式自動旋盤の分野で、ツガミの製品は高い加工精度と機械剛性を持つ。だが、営業面では、日本国内における知名度・販売量共にシチズンマシナリーのシンコム(Cincom)に及ばず、後塵を拝している。
2000年(平成12年)には森精機製作所(現・DMG森精機)とヨーロッパでの自動旋盤の販売で提携を結んでいる。
過去に生産した製品
現在のツガミは工作機械の製造が事業の中心であるが、研究開発を重視した企業であり、過去には工作機械以外に多種多様な製品を開発、製造していた。
- 印刷活字の母型を高精度で彫刻するベントン母型彫刻機を国産化した。国内でベントン母型彫刻機を所有し、長期に渡って運用した企業は三省堂のみであったため、三省堂の協力を得て国産化した。(大蔵省印刷局も所有していたが、研究用だった) これは多くの活字メーカー、印刷所に導入され、活字印刷の品質を向上させた。
- 当初、花山天文台に設置され、その後、飛騨天文台に移設された。現在(2010年)でも主要観測機材のひとつとして運用され続けている。光学系はニュートン焦点とカセグレン焦点の兼用、架台は変形ドイツ式となっている。だが、ツガミによる天体望遠鏡の製造はこれ1台限りであった。
- ツガミラマ(Tsugami-rama)の開発(1969年)
- 35mm 5パフォレーションのフィルムを使い、画角160°の魚眼レンズで16〜20mのドームスクリーンに投影するパノラマシステム。生駒山宇宙科学館など、国内数ヶ所に導入された。フライトシミュレータなどの応用も期待されたが、開発は中断された。