ゾンビ (映画)
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox Film 『ゾンビ』(原題: Dawn of the Dead, 国際題: Zombie)は、1978年9月にイタリアで公開されたジョージ・A・ロメロ監督のホラー映画。日本では1979年3月に公開された。
数多くのホラー作品を手掛けている映画監督のダリオ・アルジェントが音響効果、ヨーロッパ公開版の監修及び一部プロデュースを担当して制作費を集め、ヨーロッパでの配給権を得た。当時、無名だったロメロは、本作で一躍有名監督となった。
目次
ストーリー
ある日、全米各地で突如死体が蘇えり生者を々と襲い始めた。 社会は大混乱に陥り既に三週間が経過した。
フィラデルフィアのテレビ局WGONに勤めるフランと恋人のスティーブンは悪化していく現状に見切りを付け、 ヘリで都市からの脱出を決意する。 ヘリでの出発前にスティーブンの友人でSWAT隊員のロジャーが同僚のピーターを伴って合流し 彼らの乗ったヘリはあるショッピングモールへと辿り着く。 モール内部はゾンビの巣窟と化していたが、物資は手付かずのまま残されていた。
食料と安全な場所を求めていたスティーブン達は、ピーターの提案により事態が収束するまでモール内に留まる事に決める。 しかし、モール入口をトラックで塞ぐ作戦中に正気を失ったロジャーがゾンビに腕と足を噛まれ負傷してしまう。 犠牲を出しながらもモールの封鎖を完了し、内部のゾンビを一掃してピーター達はモール内の物資を独占する事に成功した。 モール内部の最上階の隠れ部屋に物資を運び込み新たな生活を始めた彼等だったが、負傷したロジャーの容態は日毎に悪化していく。 ロジャーは「自分がもし蘇ったら撃て」と言い残し死亡する。 そして間もなくゾンビ化したロジャーはピーターの手によって永遠の眠りに就く。
三人となったピーター達は外部と隔絶したモール内での閉塞感に満ちた日常を続けていた。 ある日、30人近いヘルスエンジェルの一団がモール内の物資を狙って襲撃して来た。 搬入口からモール内に入って来たゾンビの大群と略奪者、ピーター達が入り混じってのモール内は乱戦となる。 銃撃戦でエレベーターに隠れたスティーブンは腕を撃たれ負傷してしまい、そこへ入って来たゾンビ達に襲われて命を落とす。
ピーターとフランは何時間もの間、スティーブンの帰りを待ち続けたがスティーブンはゾンビに変わり果てた姿で最上階の隠れ部屋までゾンビの群れを引き連れて戻って来た。 ピーターは無言で彼の頭を撃ち抜くとフランと共に僅かな燃料しかないヘリに乗って夜明けの空へ飛び去るのだった。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
テレビ放映版 | DVD版 | ||
ピーター・ワシントン | ケン・フォリー | 内海賢二 | |
フランシーン・パーカー | ゲイラン・ロス | 宗形智子(林真理花) | 林真理花 |
スティーブン・アンドリュース | デビッド・エンゲ | 津嘉山正種(森田順平) | 森田順平 |
ロジャー・デマルコ | スコット・H・ライニガー | 石丸博也 | |
ブレイド | トム・サヴィーニ[1] | 池田勝(古宮吾一) | 古宮吾一 |
フォスター博士 | デヴィッド・クロフォード | 池田勝 | 星野充昭 |
バーマン | デヴィッド・アーリー | 筈見純 | 長島真祐 |
ラウシュ博士 | リチャード・フランス | 渡部猛(星野充昭) | 星野充昭 |
ロイ | ロッド・ストファー | 大滝進矢 | 呉圭崇 |
ウーリー | ジョン・パフィシコ | 安西正弘 | 高宮武郎 |
テレビディレクター | ジョージ・A・ロメロ | 屋良有作 | 古宮吾一 |
ギブンズ | ダニエル・ディートリヒ | 塚田正昭 | 高宮武郎 |
括弧内はDVD化された際の追加収録でのキャスト
舞台
- 撮影に使用したモンローヴィル・モール(英語版)は、昼間は通常営業をしていたため、撮影は営業終了後の夜から早朝にかけて行われた。
- 映画本編ではモールの屋上はパーキングから入れない設定となっているが、実際はパーキングの裏から屋上へ続くスロープがあり、簡単に歩いて入れる造りとなっていた。
- 銃器店は元より存在しない。近郊の銃器店を借りてロケ撮影したものをモール内に存在しているように編集している。
- 2013年現在のモンローヴィル・モールにはスケートリンクはなく、食堂街。また、本作撮影当時から残っている店舗は「J.C.ペニー」のみ。
バージョン違い
本作には大きく分けて下記のバージョンが存在する。「日本劇場公開版」以外はブルーレイ・DVDで視聴可能。
- 「米国劇場公開版」
- 北米で劇場公開されたバージョンで、日本ではCICビクターから最初にソフト化されたバージョン。本編127分。
- ロメロ独特の暗い味付けが特徴。ただし、ソフト化の際には若干の修正が加えられたため、厳密な意味での米国劇場公開版ソフトは存在しない。
- 「ダリオ・アルジェント監修版」
- アジアやヨーロッパなどで世界中で一番多く劇場公開されたバージョン。日本劇場公開版のオリジナル版でもある。本編119分。
- サバイバルアクション風な編集が特徴。ゴブリンの曲が全面的に使われている他、音響効果も全てダリオ・アルジェントによる編集で差し替えられている。
- 「日本劇場公開版」
- 日本ヘラルド映画配給。「ダリオ・アルジェント監修版」を元に一部シーンのカット、残酷シーンの修正、冒頭に日本オリジナルの惑星爆発[2]の追加映像を加えて劇場公開されたバージョンで、本編115分。
- 残酷なシーンが削除&静止画やモノクロに処理されているうえ、オープニングには惑星爆発のシーン(『メテオ』の未使用映像の流用)とそれによるゾンビ発生の説明が加えられ、エンドクレジットが削除されている。
- 「ディレクターズ・カット版」
- ロメロがカンヌ国際映画祭出品のために作ったバージョン。本編139分。
- ショッピングセンター内の生活描写や、警察署での偽警官たちとの遭遇シーンが長くなっている。撮影終了から映画祭開催までの期間が短く粗編集しかできなかったため、ロメロは後のインタビューで「不満足な出来だ」と公言している。
その他のバージョン
- 「ラフカット版」
- 本当のノーカットオリジナル(ラフカット版)とされるものが存在する。約3時間。
- 『ゾンビ』メイキング映像を収録したソフト『ドキュメント・オブ・ザ・デッド』で、その一部を見ることができる。
- ドイツ語の「ファイナルカット版」
- ドイツで発売されたPAL仕様のDVDソフト。アルジェント版をベースにディレクターズカット版のシーンを強引に編集したもの。約156分。
テレビ放送バージョン
本作は東京12チャンネルの『木曜洋画劇場』で2回放映され、それぞれが微妙に異なる内容となっている。また、冒頭の惑星爆発シーンも「日本劇場公開版」とは編集が全く異っている。
- 深沢哲也版(『サスペリア』版)
- 1980年10月16日に放映された初放映バージョン。タイトルは『衝撃SFサスペンス ゾンビ 地球SOS 死者が甦った日』。
- 解説は映画評論家・深沢哲也。「日本劇場公開版」を元に残酷シーンのほとんどと、主人公たちがヘリでフィラデルフィアを飛び立ってからショッピングセンターへ着陸するまでの経過などが削除され、約90分に収められている。特徴的なのは音楽で、多くが同じゴブリンによる映画『サスペリア』と『ローマ麻薬ルート大追跡』のBGMや、ジャン・ミシェル・ジャール『軌跡』の曲(ショッピングセンターへ着陸する部分で流れる曲)へ差し替えられてる。オープニングBGMはイエスの『海洋地形学の物語』の曲を使用。
- 台詞についても、内容を分かりやすくするために日本語吹き替え独自のものへ変更される。冒頭のテレビ局で博士が自説を開陳するシーンでは「惑星イオスが爆発したために死者が甦った」などと、テレビ放映独自の設定が強調されている。また、フランの妊娠に対するピーターの立場はオリジナルと正反対となっており、ラストでヘリの燃料の残量を訊ねるピーターの台詞が「赤ん坊を育てる場所を見つけなきゃ」と「まかしときぃ〜!」へ変更され、ハッピーエンド色が強くなっている。
- 河野基比古版
- 『木曜洋画劇場』の解説者が映画評論家・河野基比古へ交代後に放映されたバージョン。分数や編集は深沢哲也版とほぼ同じであるが、音楽は「日本劇場公開版」に即して戻された。ラストのピーターの台詞も「日本劇場公開版」に即したものへ変更されている。
幻のエンディング
インターネットの映画脚本サイト等に掲載されている同作の草稿"DAWN OF THE DEAD The working draft 1977"では、エンディングはピーターが拳銃で自殺し、フランも回転するヘリコプターのローターへ自らの頭部を突っ込み自殺、夜明けの空を背景にフランの死体を喰っているゾンビたちをバックにエンドクレジットが流れ、クレジットが終わると同時にローターの回転が徐々に遅くなり、止まる、といったものだった。 ピーターとフランが脱出するのに十分なヘリコプターの燃料が元々無かった事を暗示している。
ロメロによると、実際に撮影が始まる前にこのエンディングは破棄され、すぐに書き直された。
- フランがヘリの羽によって頭部を断裁される為のテスト用ダミーを捉えた写真が現存している。
- フラン役のゲイラン・ロスが雑誌のインタビューで、このシナリオの存在と撮影に関して言及している。
以上の事から、このシナリオのエンディングも一旦は撮影されたのではないかと言われていたが、ブルーレイBOX封入ブックレットのスタッフインタビューによりこのエンディングは撮影されなかったことが判明している。ちなみにフランのテストダミーは、映画序盤のプエルトリコ人達が住むアパートにおいて、SWAT隊が黒人と思われる男性の頭を銃で撃ち破壊するシーンに再利用されている。
サウンドトラック
サウンドトラックCDは通常盤(10曲収録)とコンプリート盤(16曲収録)の2種が発売済み。コンプリート盤にも収録されていない曲もある(フランがクリッシュナゾンビに襲われるシーンで流れる曲)。
製作メモ
ナタで頭を割られるゾンビ役のレナード・ライズは、アメリカで開催されているホラー映画コンベンションの常連である。自分のブースでは、撮影に使ったナタと同型の模型や自分の頭を割られるシーンをプリントしたTシャツなどを販売している。
脚注
- ↑ ちなみにトム・サヴィーニは、ランド・オブ・ザ・デッドで本作のブレイドがピーターに射殺された後にゾンビとして蘇ったという設定の同名の鉈を持ったゾンビ役を演じている。
- ↑ それまでの「米国劇場公開版」や「ダリオ・アルジェント監修版」では明確に説明されなかった「死者たちの復活する理由」を補完するために、オープニングに「ある惑星の爆発で、死体を蘇らせる光線が発せられ、それが地球で眠る死者に影響を与えたため蘇った」という説明のテロップを付加している。
外部リンク
- モンローヴィル・モールのウェブサイト
- モンローヴィル・モールをツアーで訪れた『ゾンビ』ファンの体験記
- テンプレート:Movielink
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- DAWN OF THE DEAD(The working draft 1977)-インターネット・ムービー・スクリプト・データベース(英語)
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