ゼク・アイン

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テンプレート:Pathnav ゼク・アインは、雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場する架空の兵器。

ニューディサイズ(地球連邦軍教導団)が使用する汎用量産型モビルスーツ (MS) である。

当記事では、系列機のゼク・ツヴァイゼク・ドライについても記述する。

機体解説

テンプレート:機動兵器 ジオン公国軍が開発したザクIIは、非常に汎用性に優れた機体であったが、グリプス戦役期のMSは大型化・大火力化に突き進んでしまい、MSの汎用性は失われていった。そこでザクの設計思想をもう一度採用することで、新世代の汎用量産機を目指して開発されたのが本機である。

アインは独語で数字の1の意味で、ゼクシリーズ(Xシリーズ)の1番目でもあった。

かつてペズン計画がおこなわれていたジオンのMS工廠、小惑星ペズンで設計、開発された。そのためかジオン系の技術色が強い。意匠の点では、モノアイや小隊長機の頭部のザクIIやゲルググ等と同様のブレードアンテナなどにそれが反映されている。

また、実行する作戦に合わせて両肩の各ラッチに各種兵装を装備できる。このコンセプト自体は、ジオン公国軍のMS開発計画の一種である「MS-X」プロジェクトにおいて既に確立されており、同時期のネオ・ジオンにおいてもザクIIIによって採用されている。

ペイロードには充分に余裕を持たせ、目的別のオプション交換で幅広い運用を可能にするため、ムーバブルフレームもシンプルかつ堅牢に設計された。また、乗員優先の設計としてコクピット付近は重点的に重装甲化された。

これらの特徴は「MS-X」計画をベースとしながら[1]も、連邦系のMS設計思想を合流させたものである。

既存の完成された技術をまとめあげて信頼性を確保するなど、本機自体は完成度の高い設計である。しかし、後の系列機をみるにゼクシリーズ自体の方向性は確立されているとは言い難く、大量生産配備には問題が残っていた。それに加え、本機開発当時の連邦軍はティターンズ派が主流だったので、ジオン系技術を大幅に汲んだゼクシリーズはどう手を尽くしても政治的に受け入れられなかった可能性がある。

ただし、ティターンズはハイザック以下、外観上ジオン系とみなされやすいモノアイ装備の機体を主力として採用している事実はある。また、地球至上主義者の集団であるニューディサイズがジオン系のゼクシリーズを運用するということ自体、メカ設定とストーリー設定の間で矛盾が生じているとする考え方もある。

結果的に本機は、その手堅い造りからペズン駐留の連邦軍教導団によって戦術データ蓄積用に使われながら、研究開発を細々と続けるに留まった。

兵装
  • 第1種兵装:通常ビーム兵器携帯仕様。月面降下のために両肩にプロペラント・タンクも装備できる。携帯するビームライフルは若干の改修が見られるが、ガンダムMk-IIのものとほぼ同型である。
  • 第2種兵装:長距離攻撃(遠射ガンナー)仕様。左肩ラッチにディスク・レドームを搭載し、ビーム・スマートガンを装備する。右肩のシールドはスマートガンの重量を緩和するため、装備しない。
  • 第3種兵装:要塞戦仕様。実体弾によるマシンガンやバズーカなどを使用し、両肩のラッチにマガジンドラムを搭載する。マガジンドラムにはおよそ6000発入り、自動装填装置を内蔵している。専用マシンガンは極力単純な構造で設計され、信頼性および耐久性を向上。口径は120mm。弾種は徹甲弾など。毎分360発から540発射出する。
この他、6連装ミサイルランチャーを両肩のラッチに装備することもあったようである。また、上記の兵装のみに留まらず、豊富に用意されたオプション兵装を組み合わせることで様々な任務に対応した。
劇中での活躍
ニューディサイズによるペズンの反乱が勃発すると、本機はその主力MSとして実戦に投入されることになる。多数のオプション兵装に支えられた汎用性を十全に発揮し、ペズン防衛戦での長距離狙撃や月面のエアーズ市への降下など、あらゆる任務をこなした。

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ゼク・ツヴァイ

テンプレート:機動兵器 ゼクシリーズの2番目の機体であり、実戦本位の重MSとして開発された。「ゼク・アインに倍する性能」を謳い、高火力・高機動性を備えた大型MS。

後背部に接続された大型推進ブロック(バック・パック及びテール・パック)や増加ブースターによって、従来のMSに比較して前後幅が長大であることなどから、一概に人型とは言えない形態を持つ。

ジオン公国軍は80tクラスまでをMSの実用的限界と考え、それを超える大型機動兵器はモビルアーマー (MA) として計画したが、連邦軍ではRX-78の大戦果による「ガンダム信仰」や、MAの撃破をMSで果たした実績への重視が根強く、MSの大型化・高出力化へのこだわりがあった。ゼク・ツヴァイが人型からの逸脱をみせながらも、あくまでもMSとされたのはこれに起因するとされる。

両肩にマニピュレーター付きサブアームが2基ずつ計4基が設置され、武器の支持・操作などメインアームの補助に用いられる。両肩上部のラッチはゼク・アインの倍の計4基に増加、その他機体各部にハードポイントを備え、ゼク・アインと共通の各種オプション兵装を装備できる。中でも、ゼク・アイン第2種兵装のビーム・スマートガンは標準装備とされ、遠射戦能力も重視している。

雑誌連載時はいわゆる最終MSの位置づけだったが、単行本版ではゾディ・アックの登場により準量産型MSに改められた。

ゼク・アインと違い、グリプス戦役期から第一次ネオ・ジオン抗争期に懸けて、MSの重火力/多機能化に伴う大型化に至る、恐竜的進化の潮流に乗った機体の一つである。

高性能のみを追求する余り、兵器としての整備や運用面が無視される傾向にあり、特に本機は機体サイズから、連邦軍の標準的巡洋艦であるサラミス改ではエレベーターにも載らず、艦内へ収容不可能な為に、母艦としてアレキサンドリア級重巡洋艦以上が必要となる等、艦載運用面での致命的な欠点を抱えており、折角の高性能も価値が激減する結果になっている。

メッサーラバウンド・ドックの様な限定された条件下で使用される実験機と異なり、汎用MSを目指した本機にとって、これらは重大な問題だった。また、増加ブースター一つを取ってもゲターを用いれば不必要な装備であり(ゲターと違い、使い捨てとの点でも不経済)、MS単体で何でも可能とする思想の弊害を受けた「現場を無視して、技術者の興味本位で造られた機体」である観が強い。

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ゼク・ドライ

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ゼクシリーズ3番目の機体。2機種の発展型で、恐竜的進化を辿ったゼク・ツヴァイからゼク・アインのコンセプトに戻り、機体の小型化とゼク・アイン以上のバランス重視の機体を目指して設計された[2]

しかし、ペズンの乱が発生したことによって開発陣が拘束され、開発拠点のペズンも核で爆破されたことから、ゼクシリーズそのものの開発が中断された[3]

上記のように設定されているが、画稿は描かれていない。


脚注

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参考文献

関連項目

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  1. HGUCキットの説明では、本機の原形となる原設計案は既にペズン計画の計画機の範疇にあったとされている。また、本編冒頭部でも同様のことは語られている。
  2. モデルグラフィックス1989年2月号「ガンダム・センチネル」連載版第18回より。
  3. ムック『ガンダム・センチネル』110ページより。