スタン・ゲッツ
スタン・ゲッツ(Stan Getz、1927年2月2日 - 1991年6月6日)は、アメリカのサックス奏者。本名はスタンリー・ゲイツキー(Stanley Gayetzky)。
経歴
1927年2月2日、ペンシルベニア州フィラデルフィアのハーレムでユダヤ系ウクライナ人移民の家庭に生まれる。
それまでコントラバスを弾いていたが、13歳の頃、父に買ってもらったサックスで演奏を始めた。16歳頃からバンドに参加し、スタン・ケントン、ジミー・ドーシー、ベニー・グッドマンの各楽団で活躍した。1940年代後半に、ウディ・ハーマン第二期モダン・オーケストラ(セカンド・ハード)における組曲「サマー・シーケンス」の最終章「初秋(アーリー・オータム)」の名演を皮切りに、クール・ジャズを代表するテナー・サックスとして知られるようになる。
しかし、一方で麻薬にも手を染めるようになり、1954年には注射用のモルヒネ欲しさにシアトルの薬局で武装強盗未遂事件を起こして逮捕され、ロサンゼルス郡南カリフォルニア大学医療センターに収容されてしまう。
ヘロイン中毒で実刑判決を受け、半年間の服役生活を終えた後は北欧へと旅行をするが、その際に北欧に魅せられたためか、スウェーデンに移住し、民謡を題材にした作品を制作したりなどし、ジャズからは離れていた。
その後、1961年にアメリカに帰国し、当時注目されていたブラジル音楽のボサノヴァを採り入れたアルバム『ジャズ・サンバ』をチャーリー・バードと共に録音。それによってジャズ界におけるボサノヴァ奏者の第一人者としての評価を得る。1963年にはジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンと共に『ゲッツ/ジルベルト』を録音し、グラミー賞4部門を独占する大ヒットとなる。
1970年代になると、当時の流行であったフュージョンも取り入れ、1972年にはリターン・トゥ・フォーエヴァーのチック・コリアやスタンリー・クラークを従えたアルバム『キャプテン・マーヴェル』を発表。
1988年には、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのアルバムである『スモール・ワールド』にサックスのソロでゲスト演奏をしている。
その後、麻薬に代わってアルコール依存に悩まされつつも演奏活動を精力的に続け、癌との闘病生活を続けた末に1991年6月6日肝臓癌により亡くなった。
ディスコグラフィー
- 「スタン・ゲッツ・プレイズ」
- 「ジャズ・サンバ」
- 「ゲッツ/ジルベルト」