シトロエン・Hトラック

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タイプ H(タイプ アッシュ、Le Citroën Type H)は、フランス自動車メーカーシトロエンから1947年から1981年まで発売されていた貨物自動車である。正式には各国語共通名である タイプH、もしくはHバンと呼ばれるが、日本においてはHトラックの表記で発売されたという経緯があり、日本国内においてのみHバンとHトラックという二つの呼称が使われている。よって日本においてのみはHバンとHトラックという二通りの呼ばれ方をされているが、その実両者は同一のものである。シトロエン・Hバンの項目も参照されたい。

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

概要

駆動方式は当時としては画期的な前輪駆動方式で、それをさらに生かすプラットフォーム型シャーシと、トレーリングアームを用いたリアサスペンションとの組み合わせで、荷室の床は低く平らで天井も高く、荷室は広大である。また特徴的な波板プレスの外板は、軽量化と車体強度の両立に一役かっている。

生産期間が長かったこともあり、1990年代まではフランス国内のいたる所で見かけた車である。フランスのほか、ベルギーの工場でも生産された。総生産数は47万3289台。

テクニカル

エンジントランスミッション等の多くの部品を同時期の乗用車シトロエン・トラクシオン・アバンDSなどと共用しており、やはり車室にエンジンカバーが張り出している。床に配置されたシフトレバーは後方から前傾したかたちで生えている。ヘッドライトや速度計は2CVのものを流用する等、シトロエンらしい合理性も見られる。

架装性が良いことから、貨物車をはじめ救急車マイクロバスキャンピングカー現金輸送車等、様々なバリエーションが生まれ、フランスをはじめ各国で活躍した。救急車の中にはリアのみハイドロニューマチック・サスペンションとしたものがある。

1968年、安全面から、仕向け地によってはフロントドアヒンジが前側に変更されたので、写真のように乗り降りし易いようステップ形状を前側を厚くし傾斜させている。最終モデルの写真でも後ろヒンジであり、前開きドアーモデルのほうが多かった。

輸入実績

2回輸入されたと記録されている。 1回目は1967年 - 1968年に関西日仏自動車により100台とされる。当時作られた日本語カタログには貨物自動車として 2CV :AZU . AK . とともに H と記載されている。写真から1968年以前型の前ドアは後ろ開き、右側スライディングドア、リヤーフェンダーは円形である。ルーフ板には波型プレスがない。ガソリンエンジン : 4気筒 72 X 100. 1628cc. 45HP S.A.E.4250 r.p.m. トラクシオン・アバン - 7CV 用であるから軽荷重用 HZ - 1000kg : である。

2回目は1974年 - 1975年で、詳細は西武自販の記録によると前年モデルチェンジした、前ヒンジ、両側スライディングドア仕様である。当時作られたカタログによると、シトロエン HYIN2 : 1600 である。重荷重型の HY - 1600 : 全長 4280. ホイールベース 2560. ディーゼルエンジン : 1946cc. 8CV. 57CH. XDP - 488 ( INDENOR 社製 ) で、 東京三菱ふそうと西武自販とで 100台を輸入販売した。 予定では三菱ふそうが 80台、西武自販が 20台の予定であったが結果は西武自販が 25台販売した。したがって最大でも 200台とされる。 この時の販売時の呼称が Hトラックであったために、日本でのみトラックの名称で呼ばれている。販売用カタログでも強調されているように、購入企業がボディーに独自の広告を再塗装することによりイメージアップして売り上げを倍増できるとしている。 人目を引くデザインや人が立てる程の高い室内スペースを活かし、主に移動販売車などに使われた。

外部リンク

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