ケンプファー

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テンプレート:複数の問題 ケンプファー (KÄMPFER) はOVA機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』などに登場する架空の兵器。

ジオン公国軍の試作型強襲用モビルスーツ (MS)。デザインは出渕裕

ケンプファー

機体解説

テンプレート:機動兵器 一年戦争末期、ジオン公国軍ではMS-14 ゲルググに続くMS-16 ザメル、MS-17 ガルバルディ、MS-18 ケンプファーの3種のMS開発が検討されていた。このうちMS-18プランは新たなMSの運用法を模索して開発されたものである。

本機は初期開発型のYMS-18からスカートアーマーが廃された以外は大幅な変更は施されず、外装の変更程度である。運用もYMS-18と同様で、型式番号は襲撃型 (Einhauen typ) または試作実験 (Experiment) の頭文字からMS-18Eとされた。なお機体名の KÄMPFERとはドイツ語で「闘士」を意味する。

強襲用という目的のため、大推力のスラスターおよび姿勢制御用バーニアを全身に装備。前傾姿勢での滑走が可能で、高速で目標に辿り着くことができる。また武器はビーム系のような機体のジェネレーター出力を割く兵装を避け、実体弾系兵装を装備。これにより連続した攻撃を行っても機動用出力には支障が出ないよう意図されている。また装備武器は、弾薬を全弾射耗した後は専用ジョイントパーツごと排除・破棄可能で、デッドウェイトにならないように設計され、装甲も、前傾姿勢時に正面から見える部分のみに留めるなど、徹底的な軽量化が施されており、高い機動性に貢献している(前傾姿勢は、正面投影面積を極力減らすことによる被弾率低減およびMS-09 ドム以降改善の兆しが見えていなかったMSの空力特性の改善を意図したものである)。また、特殊部隊などでの使用を想定して開発され、分解した状態で搬送し、容易に組み立てられるように設計されている(この構造の目的はメンテナンスの円滑化にあったともいわれているテンプレート:誰2)。

極めて優秀な機体であり、徹底した強襲戦特化により爆発的な攻撃力を持つ。その戦闘力は地球連邦軍のRXシリーズにも引けをとらない程である。一方で軽量化による高速性・高機動性追求のため前面装甲以外は薄くなっており、スカートアーマーなど一部装甲も廃されている。一年戦争終戦直前の統合整備計画から誕生したため正確な生産機数は不明だが、運用試験を経てロールアウトした機体は特殊任務を行う部隊へと配備された。隠密行動を常とする部隊で使用されたため、MS-18タイプの存在は一般にはほとんど知られていない。しかし、解体組立の容易さからか数機が出回っており、戦後にアクシズ艦隊で使用されている。

武装

60mmバルカン砲
頭部に2門設置。
ビームサーベル
本機唯一のビーム兵器である。両大腿部に1基ずつ、計2基装備する。
197mm口径専用ショットガン(ヤクトゲヴェール、型式番号:ZUX-197)
信頼性を重視してポンプアクションによって装填するタイプである(電動機構による自動装填も可能)。ショットシェルから9発のルナチタニウムコーティングを施したOO(ダブルオー)バック弾を発射する。使用弾薬によって異なるが装弾数は3〜5発である。対MSはもとより、装甲車や宇宙艇などの小型目標の攻撃も目的としており、散弾により隊列を組んだ複数の目標を一度に撃破することが可能。
ジャイアントバズII
MS-09R-2 リック・ドムIIなどと同型。背部にラッチを介して2基装備する。
シュツルムファウスト
パンツァーファウストに似た、使い捨てロケット砲。脛部に2基装備する。
チェーンマイン
13基の吸着型機雷を連結したもので、敵MSや敵艦艇に絡み付き装甲を破壊する。

劇中での活躍

OVA機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』では、2話で一旦組み上げられた後に潜入作戦開始に向けハンガーで解体中の姿で登場し、3話で偽装した町工場内にて再度組み立てられた。その後4話においてサイクロプス隊ミハイル・カミンスキーが搭乗し、コロニー内部で戦闘を行った。高い機動性を生かし中立部隊であるリーア軍が所有する小型MSドラケンEを破壊しつつ街中を抜け、次に迎撃に出た連邦軍のグレイファントムに所属するスカーレット隊[1]と交戦、この部隊を瞬く間に全滅させた。その後、標的であるガンダムNT-1に迫るが、すんでの所でパイロットのクリスチーナ・マッケンジー中尉が乗り込んで緊急発進させたために抵抗を許してしまう。この時点までで手持ちの弾薬のほとんどを消費しており、最後に残った専用ショットガンでの一撃を加えた後はNT-1の頭部に装備された60mmバルカン砲による攻撃を巧みに回避した後、前もってトラックに隠匿しておいた機雷型兵器チェーンマインを使用する。その破壊力を生かしてNT-1を爆破するもチョバムアーマーに阻まれ本体の破壊には至らなかった。その後、ビームサーベルでの白兵戦に持ち込もうと突入するものの、チョバムアーマーが外れて腕部内蔵の90mmガトリングガンが使用可能になったNT-1の反撃を受け、蜂の巣になって破壊された[2]。5話では基地の敷地内に破壊された状態で寝かされており、ズタズタになった血まみれのコクピットが取り出されるなど、解体途中であることが伺える。本編における本機は戦闘シーンよりも、運用・移動・組み立て・調整・解体といったMSが持つ兵器としての姿が細かく描写されている[3]

漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、シャア・アズナブルらサイド3視察団に随行するファビアン・フリシュクネヒト少尉の乗機として登場。その後イリア・パゾムが乗り継ぎ、宇宙要塞アクシズで挙兵した真ジオン公国軍との戦闘で大破している。

漫画『GUNDAM LEGACY』では、宇宙世紀0084年にジオン残党が開発した、惑星間巡航用核パルス推進ブースター仕様「シルバー・ランス」の制御用ユニットとして当機が搭載されている。テロ組織「狼の鉄槌」によるジオン共和国に対するテロ計画「シルバー・ランス作戦」を行うため、気化爆弾を入手したリリア・フローベールが搭乗するが、サイド3近海で民間人マット・ヒーリィらによって阻止されている[4]

バリエーション

プロトタイプ・ケンプファー

プロトタイプ・ケンプファー (PROTOTYPE KÄMPFER) はバンダイのプラモデル『1/144 MS-18E ケンプファー』の組立説明書に登場する架空の兵器[5]。ジオン公国軍の試作型強襲用MS(型式番号:YMS-18)。 正規仕様のものとは頭部および胸部コクピット周りと肩部のアーマーや爪先等の形状、腰後部にスカートアーマーの有無などの違いがある。カラーリングは緑[6]

劇中の活躍

漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』では、宇宙海賊マリー一味に属するアキラが搭乗。試作型であるため予備パーツの補充が困難で、メンテナンスに苦労している。のちに大型重機関銃を装備している。宇宙世紀0087年、ルオイーコロニーでの攻防においてマリー一味の仇であるハンク・ライアン大佐の座乗艦アレキサンドリア級ベオグラードを追い詰めるが、その最中にエリシア・ノクトンが搭乗するダーグウェによって撃墜された。

ケンプファーF型

バンダイのプラモデル『1/144 MS-18E ケンプファー』の組立説明書に存在を示唆されているビーム兵器を中心として装備した機体。その詳細は不明。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:宇宙世紀

テンプレート:Gundam-stuben:MS-18_Kämpfer
  1. スカーレット隊の構成はジム・スナイパー2が4機、量産型ガンキャノンが2機という1年戦争当時ではかなりの部隊である。
  2. バンダイのプラモデル『SDガンダムBB戦士 ケンプファー』には、キットオリジナル要素としてNT-1のものと似た専用のチョバムアーマーが付属されている。
  3. しかし、単機での敵破壊数は0080劇中トップを誇る。
  4. 組織名および作戦名は、書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編I]』より。
  5. 組立説明書での名称は「MS-18試作案」とのみ表記。
  6. バンダイのフィギュア『ZEONOGRAPHY』では、商品の性格上カラーリングはケンプファーと同じ青に設定され、足首のデザイン変更、腰後部スカートアーマーは廃されている。漫画『エコール・デュ・シエル』では、表紙絵によって緑もしくは青とまちまち。アーケードゲーム『機動戦士ガンダム0083カードビルダー両雄激突』では、緑となっている。