ケンタウルス座
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ケンタウルス座(Centaurus )は、トレミーの48星座の1つ。
ケンタウルス座は、南天の明るい星座である。日本では星座の半分程度しか見えない場所が多く、全体が見えるのは鹿児島県奄美以南の沖縄県や小笠原諸島の一部地域のみである。
主な天体
恒星
テンプレート:See also 2つの1等星α星とβ星以外に、γ星[1]、ε星[2]、η星[3]、θ星[4]の4つの2等星がある。
- α星:全天21の1等星の1つであり[5]、リギル・ケンタウルス(Rigil Kentaurus)という固有名があるが、日本語では既に学名を訳さずそのまま読んだアルファ・ケンタウリ(α Centauri)というほうが通じやすい。この星は地球から4光年強の距離にあり地球から最も近い恒星系である[5]。太陽とよく似た黄色の主系列星のα星A[6]、オレンジ色の主系列星のα星B[7]、赤色矮星[8]α星Cプロキシマ・ケンタウリ(Proxima Centauri)の三重連星である。このプロキシマ・ケンタウリは太陽系から最も近い恒星である[8]。2012年に、α星Bに惑星が発見されている。
- β星:ハダルは、全天21の1等星の1つで[9]、青白い0.6等星[9]。アゲナとも呼ばれる。
- γ星:ムリファイン
- ε星:バーダン
- η星
- θ星:メンケント
星団・星雲・銀河
- ω星団:全天で最も明るい球状星団。ω(オメガ)という名がついているのは、肉眼でも見えるほどの明るさ(4等級)であったために恒星と誤認され、ケンタウルス座ω星としてバイエル符号が振られてしまったことに由来する。いて座のオメガ星雲(Ω型をしている)と名称が似ているが、無関係である。
- ブーメラン星雲:惑星状星雲。知られている中で最も低温(温度1ケルビン、-272°C)の天体である。
- NGC 5128(ケンタウルス座A):強力な電波を放出している銀河
その他
由来と歴史
古代メソポタミアでは、紀元前5千年紀に成立した最も古い星座の1つである。人頭牛身とされ、ケンタウルスに似た2腕4脚、または、直立した2腕2脚の姿に描かれた。これらはバイソンマン (テンプレート:En) またはブルマン (テンプレート:En) と呼ばれ、狂犬(現在のおおかみ座)と対をなす[11]。
紀元前3千年紀後半にはイノシシ (テンプレート:En) に変化した[11]。
この星座は紀元前4世紀のエウドクソスと紀元前3世紀のアラトスによる言及がある。プトレマイオスは、この星座の37の星のカタログを作った。現在はギリシャからこれらの星を見ることは困難だが、プトレマイオスの時代には歳差運動による地軸の向きの関係で見ることができたと考えられている[12]。
神話
古代ギリシャでは、想像上の動物ケンタウロス (ラテン語読みでケンタウルス) とみなされた。ケンタウロスが由来の星座はほかにもいて座がある。これらの2つの星座はその由来からしばしば混同された[注釈 1]。いて座は、ケイローンという名の、神の子たちを立派に育て上げたとされるケンタウロスで、ケンタウルス座は、ポロスという別のケンタウロスが由来だとされる。
呼称と方言
日本では、センタウル座、またはセルペンタリウス座と呼んだ時代がある。またしばしばケンタウロス座とも呼ばれる。